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【商品開発部メルマガVOL.7】溶融樹脂の離型問題を解決!最適コーティングの選定

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こんにちは、㈱吉田SKT商品開発部の白頭 菜帆(はくとう なお)と申します。
私たちがコーティングを開発する際、設計、評価、検討を繰り返し、より良い機能を持ったコーティングをつくっています。
その評価を正しく行うためには、評価結果にばらつきが生じにくい、定量的なデータを収集することが重要です。

今回ご紹介する測定は、“溶融樹脂シート離型・剥離力測定”です。
ものづくりの現場では、樹脂を溶融させて成型したり、樹脂を熱してシールする場合など、金属などに樹脂が付着して不良が発生したり、清掃に時間がかかってしまう場合があります。
お客様から、この不具合をコーティングで解決したいというご要望を多くいただきます。
その際、コーティング選定の指標となるのが、溶融樹脂の離型・剥離力測定です。
この測定を行うことで、コーティングの溶融樹脂に対する離型性能を知ることができます。

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 目次

  1. 溶融樹脂シート離型・剥離力測定とは?
  2. 測定方法
  3. 測定例
  4. 溶融樹脂離型が得意なコーティングのご紹介
  5. まとめ

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1.溶融樹脂シート離型・剥離力測定とは?

吉田SKTではコーティング選定のための評価のひとつとして、“溶融樹脂シート離型・剥離力測定”を行いコーティングの離型性能評価を行っています。
さまざまな使用条件(温度・樹脂材料など)でのテストを行うことで、実際の使用環境に近い形でコーティングの離型評価を行うことができます。
これにより、それぞれの条件に最適なコーティングを知ることができます。

2.測定方法

コーティング面を任意の温度まで加熱し、樹脂シートを融着させます。
その状態から樹脂シートを引きあげるのにかかる力を測定します。

コーティング面に樹脂が残るかの外観確認と、シートを引き上げるのにかかった力の大きさで評価を行います。
樹脂がコーティング面に残らず、樹脂シートを引き上げるのに必要な力が弱いほど、コーティングの離型性が良い(はがれやすい)と評価できます。

3.測定例

下表はPPシートを溶融樹脂とした、コーティングの溶融樹脂シート離型・剥離力測定の結果です。

フッ素樹脂のなかで、PFAやFEPは溶融樹脂の離型に優れた効果を発揮します。
しかし使用温度が高くなると塗膜が軟らかくなり、使用できないことがあります。
また、PTFEは熱がかかった際の硬度低下は低いものの、PFAやFEPに比べて離型しにくい場合があります。

PTFE、PFAで離型性能を比較した場合、表面張力が低い樹脂ほど離型性が良いことから、PFAがPTFEより優れた結果となります。

4.溶融樹脂離型が得意なコーティングのご紹介

通常のフッ素樹脂コーティングは、熱をかけた時の塗膜硬度の低下などが原因となり、
加熱の条件によっては溶融樹脂の離型性能を満足できない場合があります。

吉田SKTの開発品である“フロロスーパーリリース”は、
熱時硬度の低下を抑え、離型性を向上させたことで、
200℃以上の使用に耐える優れた離型性を実現したフッ素樹脂系コーティングです。
実際の試験条件と試験結果を下に示します。

〈試験条件〉
短冊状のPPシート(20×10×1mmt)に一定時間荷重をかけて融着させた後、PPシートを引っ張り上げてPPの付着の有無を確認します。

〈試験結果〉

※評価結果は実測値であり、保証値ではありません。
※実際の設計・仕様選定にあたっては、必ず当社までお問い合わせください。

今回ご紹介した溶融樹脂シート離型・剥離力測定において、フロロスーパーリリースは通常のフッ素樹脂コーティングと比較して、より高温での溶融樹脂離型を実現しています。

フロロスーパーリリースの優れた特長について、詳しく知りたい方はこちらをチェックしてみてください。

5. まとめ

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回ご紹介した溶融樹脂シート離型・剥離力測定、その他多様な測定を日々行い評価しています。
今後もメルマガにて、私が日頃行っている測定や、気になったことなどを配信していく予定ですので、次回もぜひご覧ください。

また弊社では、お客様のご要望に応じた塗膜サンプルを用意し、ご依頼条件での溶融樹脂シート離型・剥離力測定を行うサービスも提供しております。
詳しくは、こちらをご確認ください。

皆様のお役に立つ情報を月1回配信しています。