表面処理のご相談

【メルマガVOL.25】フッ素樹脂コーティングの密着検査とは?接着のメカニズムまでご紹介!

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こんにちは!㈱吉田SKTの小島と申します。

フライパンなどで「くっつきにくい」として有名なフッ素樹脂コーティング。
フッ素樹脂塗膜の密着検査はどのようにして行っているのか皆さんはご存じでしょうか?

今回は、一般的なフッ素樹脂塗膜の密着検査について、またフッ素樹脂塗膜を基材にくっつけるために行う処理をご紹介します。
ぜひご一読ください。

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■INDEX■
 1. フッ素樹脂塗膜の密着検査
   ~ 碁盤目テープ法~
   ~ピール強度試験法~
 2. フッ素樹脂塗膜を基材にくっつけるために
   ~粗面化によるアンカー効果~
   ~適切なプライマーの選択~
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1.フッ素樹脂塗膜の密着検査

皆さんもよくご存じの通り、フッ素樹脂は非粘着性(離型性)に大変優れています。
・・・ということは、基材にもくっつかないのでは?
と思いませんか?
実はその通りで、フッ素樹脂は一般的に自己接着性がありません。
しかし、フッ素樹脂コーティングを「機能膜」として利用するには、塗膜と基材が強固に密着している必要があります。
ここではフッ素樹脂塗膜の密着検査について一部をご紹介します。

~碁盤目テープ法~

一般的に薄膜の塗膜に対して適用します。
試験片上の塗膜にカッターガイドなどを用いて格子状の切り込みを入れて碁盤目を作り、その上からセロハン粘着テープを貼り、消しゴムでこすって塗膜にテープを密着させ、テープを瞬間的に引き剝がした後の試験片の塗膜面の剥離の状態を観察、評価します。
塗膜に入れる切り込み(ます目)の数や隙間間隔、判定規準はJISにて規定があります。

~ピール強度試験法~

塗膜の厚みが300μm以上で、塗膜・基材間の接着力を測定する場合に適用します。
試験片上の塗膜に10mm±0.2幅になるように、カッターナイフなどで刃先が試験片の素地に届くように切り込みを入れます。
塗膜の端を剥がし、端面を治具でつかみ、一定の速度で90°剥離による引張試験を行います。

上記でご紹介した密着検査はいずれも塗膜の破壊検査になるため、全ての加工品に対して行うわけではありません。
事前にお客様との打ち合わせ、取り決めをした場合に限り、通常は同条件で加工したテストピースを使用した検査となります。
さらに詳細な内容は弊社カタログにも記載されておりますので、下記よりダウンロードしてご覧ください。

テフロンコーティングカタログ

カタログをダウンロード

2. フッ素樹脂塗膜を基材にくっつけるために

ではそもそもフッ素樹脂コーティングはどのようにして基材とくっついているのでしょうか?
ここではその方法を少しご紹介します。

~粗面化によるアンカー効果~

フッ素樹脂コーティングの加工工程の中に、「サンドブラスト処理」という工程があります。
これは基材に高速で砂を打ち付け、基材表面の酸化膜や汚れを除去することで塗膜が密着しやすい表面を作ることが大きな目的ですが、もうひとつ、大事な役割を担っています。

サンドブラスト後の基材表面は、細かい凹凸のある梨地状になっています。
そこにフッ素樹脂塗料が入り込み、基材に食い込んだ状態で固化することで基材と塗膜との密着をあげることができます。
また、密着表面積も増加しますので、それによっても密着力は増大します。

<アンカー効果のイメージ>

アンカー効果

非常に薄い金属など、サンドブラスト処理に適さない基材に対しては、
基材状態に合わせてエッチング処理やサンドペーパー処理などの手法を用いる場合があります。

~適切なプライマーの選択~

プライマーは、基材とフッ素樹脂との密着性を高める接着剤の役割を担っています。
非常に多くの種類があり、お客様が求める機能や、ご使用環境に応じて適切なプライマーを選択する必要があります。

プライマーは、接着剤として開発されているためそれのみではフッ素樹脂の機能が充分に果たせません。
そのため、フッ素樹脂で形成されるトップコート(機能膜)の塗装が必要不可欠です。

プライマー処理が不要な、「変性タイプ」と呼ばれるフッ素樹脂塗料も一部ありますが、プライマー+トップコートの塗膜と比較すると変性タイプは耐熱性に劣る可能性が高いです。

上記でご紹介したように、もともと自己接着性がないフッ素樹脂を基材にくっつけるためにはさまざまな工程が必要で、加工メーカーのノウハウが問われる部分になります。
より詳細な加工工程の資料はコチラからダウンロードできます。

資料をダウンロード

加工工程は弊社ホームページ内でもご紹介しております。

フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)の方法、加工工程

弊社では、コーティングの仕様や、お客様との事前打ち合わせのうえで
・膜厚測定検査
・ピンホール検査
などの各種検査を行っております。
お気軽にご相談ください。

今回もメルマガを読んでいただきありがとうございました。

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 弊社ではお客様のご要望、ご使用環境を丁寧にヒアリングし、
 担当営業員が最適と思われるコーティングをご提案いたします。
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