表面処理のご相談

【商品開発部メルマガVOL.9】フッ素樹脂コーティングで効率アップ!塗料の液切れ実験と事例をご紹介

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こんにちは、㈱吉田SKT商品開発部の白頭 菜帆(はくとう なお)と申します。
今回は、コーティングによる効果の一つである「液体の滑落性向上」について、具体的な事例をご紹介します。

塗料などの液体を取り扱う際、例えば漏斗を使って別の容器に移し替える場面で、漏斗の表面に液体が残ってしまうことはありませんか?
このように液体が付着すると、塗料のロスにつながるだけでなく、作業効率の低下や、製品の品質に影響を及ぼす可能性もあります。

こうした場合には、使用する漏斗にフッ素樹脂コーティングを施すことで、塗料の滑落性が向上し、作業効率の改善が期待できます。

今回は実際に使用する漏斗にフッ素樹脂コーティングを施し、塗料を流すことで液切れ性を確認しました。その結果と併せてご紹介します。

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目次

  1. 液体の滑落性とは?
  2. 滑落性を向上させる方法
  3. 金属漏斗へのフッ素樹脂コーティングの効果
  4. まとめ

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1.液体の滑落性とは?

液体が濡れ広がりにくい性質として、「撥水性」や「撥油性」があります。
これは、固体の表面がそれぞれ水や油をはじく性質のことです。
それに対し、液体の滑落性とは、水や塗料などの液体の流れやすさのことです。
滑落性が優れている表面は、液体が付着した際にも液滴がとどまりにくく、流れ落ちます。

固体表面の撥水・撥油性や、滑落性の評価方法について詳しく知りたい方はこちらのコーティング性能サービスをご確認ください。

2.滑落性を向上させる方法

私たち商品開発部では塗料を調製する際、ビーカーや漏斗、攪拌羽根など様々な器具を使用します。
その際、塗料の滑落性が悪いものを使用すると原料や調製した塗料のロスにつながるだけでなく、洗浄にかかる時間も長くなります。
そのため、使用する器具にコーティングを施して使用することが多くあります。

たとえばフッ素樹脂コーティングは、優れた耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性などを持ち合わせています。
これらの性質に加え、フッ素樹脂は、表面張力が小さく、液体が表面に広がりにくいという特徴があります。
そのため、フッ素樹脂コーティングを施すことで、液体の付着を抑え、滑落性を向上させることができます。

3.金属漏斗へのフッ素樹脂コーティングの効果

実際に、金属漏斗にフッ素樹脂コーティングを施すことで、塗料の液切れ性が向上し、作業効率の改善ができた事例をご紹介します。

【実験方法】
比較対象として金属漏斗、フッ素樹脂コーティングを施した金属漏斗、PP製漏斗の3種類を用意しました。
各漏斗に同じ量の塗料を注ぎ、塗料を注いだ直後と1分経過後の表面の観察を行いました。

【実験結果】

PP製漏斗とコーティングなしのステンレス製の漏斗は、注いだ際に付着した塗料が1分経過した後もほとんど変わらず残留していました。
それに対しフッ素樹脂コーティングを施した漏斗では、塗料の付着や停滞が抑えられ、時間の経過とともに流れ落ちました。

塗料の付着が少なくなり、付着した塗料の洗浄性も向上するため、作業効率を上げることができます。

4.まとめ

今回は、金属漏斗にフッ素樹脂コーティングを施すことで、塗料の滑落性が向上し、作業効率の改善ができた事例をご紹介しました。
様々な器具にコーティングを施せば、塗料ロスを削減するだけでなく、作業効率や製品品質の向上にもつながります。
貴社でも、液残りや滑落性の向上でお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

弊社では、お客様のニーズに合わせて最適なコーティングをご提案させていただきます。
コーティングに関するお問い合わせや、具体的なお困りごとがある方はこちらからご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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