表面処理のご相談

【メルマガVOL.38】PFASフリーでフッ素樹脂の代替としても注目!非フッ素系エンプラコーティングのご紹介

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こんにちは!㈱吉田SKTの小島と申します。
突然ですが、皆さまは「吉田SKT」と聞いて、どのような事業を思い浮かべられるでしょうか?
「フッ素樹脂コーティングの会社」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
確かにそれは間違いではありませんが、実はそれだけではありません。

吉田SKTは、表面処理の専門企業です。
フッ素樹脂コーティングはもちろん、多様な表面処理技術の研究・開発に取り組んでおり、さらに機能性の高い製品の取り扱いも行っております。
その技術のひとつが、「エンプラコーティング」です。
今回は、「フッ素を含まない」次世代の高性能コーティングとして、幅広い産業分野で注目を集めている非フッ素系エンプラコーティングをご紹介いたします。
近年注目されているPFAS規制への対応はもちろん、耐摩耗性や耐熱性の大幅な向上が期待できる点でも高い評価をいただいています。
ぜひご一読ください。

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■INDEX■
 1. “エンプラコーティング”って何?と思ったあなたへ
 2. 吉田SKTのエンプラコーティング
 3. なぜ今、「非フッ素系コーティング」が求められているのか?
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1. “エンプラコーティング”って何?と思ったあなたへ

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)とは、汎用プラスチックの性能を高めた材料で、航空宇宙、自動車、医療機器、電子部品などの分野で広く採用されている高機能素材です。
金属と比べると、大幅に軽量でありながら金属の代替ができるほどの機械的強度を持ち、絶縁性を備えます。
汎用プラスチックと比較すると耐熱性、耐薬品性、絶縁性などの特性に優れており、代表的なエンプラとしてはPEEK、PPS、PI、PAI、PESなどがあります。
これらのエンプラは、高強度、耐熱性、耐薬品性といった強みを持ち、用途によってはフッ素樹脂の代替候補としても注目されています。

エンプラコーティングとは、これらのエンジニアリングプラスチックが持つ優れた特性(高硬度、耐摩耗性、耐熱性、低摩擦性など)を、金属や他の素材の表面に薄い膜として形成する技術です。
性能面では、従来のフッ素樹脂コーティングでは対応が難しかった「硬度」「耐摩耗性」「高温環境での使用」といった課題を解決できる可能性があります。
例えば、PEEKコーティングは連続使用温度が260℃で、フッ素樹脂コーティングと同等の高い耐熱性があります。
さらに、一般的なフッ素樹脂コーティングを200℃に加熱した際の鉛筆硬度はBですが、PEEKコーティングは2Hと、フッ素樹脂コーティングと比較して高い熱時硬度を誇ります(弊社測定値)。

2. 吉田SKTのエンプラコーティング

吉田SKTの非フッ素系エンプラコーティングは、特定の用途において、フッ素樹脂コーティングと同等以上の性能を発揮します。
吉田SKTが提供しているエンプラコーティングは、以下の5種類です。

技術資料はコチラから↓

3. なぜ今、「非フッ素系コーティング」が求められているのか?

例えば製造現場で「部品の耐久性を上げたい、滑りを良くしたい…」
そう考えたとき、まず選択肢に挙がるのが「フッ素樹脂コーティング」ではないでしょうか?
従来、部品の滑り性向上や摩擦低減にはフッ素樹脂コーティングが広く使われてきました。
フッ素樹脂は「くっつきにくい」「滑りやすい」といった優れた特性を持ち、長年にわたり多くの現場で信頼されてきました。
しかし近年、環境意識の高まりとともに、有機フッ素化合物(PFAS)に対する規制が世界的に強化されています。
PFASは、その安定性から「永遠の化学物質」とも呼ばれています。
中でも一部のPFASは「特定PFAS」と呼ばれ、環境中での蓄積や人体への影響が懸念されることから、規制が強化されています。
また、PFASの使用等を規制する法令化のなかで、その規制の範囲にフッ素樹脂まで含めようとする案が検討されています(EU REACH規則の制限提案)。
この規制案が採択された場合、製造業全体に大きな影響が及ぶ可能性があり、代替策を迫られる可能性があります。
持続可能な社会への貢献、そして将来的なサプライチェーンリスクの回避のためにも、「非フッ素化」への対応を求められることが多くなってきており、研究開発が進められています。

これらの環境規制や機能的な課題に対し、吉田SKTはフッ素樹脂とは異なるアプローチで、より高い「硬度」「耐摩耗性」「耐熱性」を実現したコーティング技術を確立しました。

吉田SKTでは、お客様の具体的なご要望や使用環境に合わせて、最適な材料選定と加工技術を組み合わせた様々な非フッ素系エンプラコーティングを提供しております。
もし、下記のようなお悩みをお持ちであれば、ぜひ一度ご相談ください。

  • 環境規制(PFAS 関連)が気になっており、将来的な代替を検討したい
  • 生産設備/部品に「高負荷・高耐久性」が求められており、既存材料では不安がある
  • 樹脂成形品では実現が難しいが、金属などの基材に新たな機能を加えたい

今回もメルマガを読んでいただきありがとうございました。

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