【メルマガVOL.39】<モノづくりの豆知識>単位のない数値「比重」のお話
新年明けましておめでとうございます。㈱吉田SKTの小島と申します。
本年もよろしくお願いいたします。
皆様はどんな年末年始を過ごされましたか?
美味しいご飯をいっぱい食べて、体重がマシマシに…という方、仲間です。
そんな2026年一発目のメルマガは、重さに関係する、比重についてのお話です。
最後までお読みいただけると嬉しいです。
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■INDEX■
1. そもそも「比重」とは?
2. 重量級は◯◯!プラスチックの比重
3. 意外?それとも納得?金属と比べた時の「軽さ」
4. 比重や密度が製品に与える影響
5. 比重に影響を与えるものとは?
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1.そもそも「比重」とは?
「比重」とは、ある物質の密度と、基準となる物質(一般的には4℃の水)の密度の比のことです。
簡単にいうと、「水と比べて、その物体がどのくらい重い(または軽い)か」を数値化したものです。

例えば、比重が「2.2」のフッ素樹脂PTFEは、同じ大きさ(体積)の水と比べると
2.2倍の重さがある、ということになります。
現場や設計の打ち合わせで「密度」よりも「比重」がよく使われるのには理由があります。
密度は単位体積当たりの質量で「g/㎤、kg/㎥」などの単位を持ちますが、
比重は「密度比」なので単位がありません。
そのため、材料同士を「あちらはこちらの約数倍重い、軽い」と直感的に比較し易いのです。
2.重量級は◯◯!プラスチックの比重
突然ですが、クイズです。
「プラスチックの中で最も比重が大きい(=重い)材料」といえば、何だと思われますか?
実は、弊社ではおなじみの「テフロン™︎PTFE」がその筆頭なんです。※フィラー入りの樹脂を除く一般的なプラスチック(PPやPE)の比重が「1.0」前後で水に浮き沈みする程度なのに対し、PTFEの比重は「2.1〜2.2」。
なんともびっくり、PTFEはプラスチック界では群を抜いた「重量級」なのでした。
なぜPTFEはこれほどまでに重いのでしょうか?その理由は、分子構造にあります。
●重い「フッ素原子」:
構成要素であるフッ素原子は、プラスチックを形作る原子の中でも比較的重い部類に入ります。
●ぎっしり詰まった「密な構造」:
フッ素原子が炭素の周りを隙間なく覆い、さらに分子同士の距離が非常に短いため、構造が極めて「密」になっています。
「重い原子」が「ぎっしり詰まっている」。
これこそ、PTFEがプラスチック界の重量級である理由なのです。
3.意外?それとも納得?金属と比べた時の「軽さ」
「PTFE(=テフロン™︎フッ素樹脂)は重い」といっても、それはあくまでプラスチック界でのお話。
金属とPTFEの比重を比較してみると、その差は歴然です。

プラスチック界では重量級王者であっても、鉄やステンレスと比べると「4分の1以下」の軽さになるのです。
意外にもアルミと近い比重だったりします。
4.比重や密度が製品に与える影響
製品設計において比重や密度を考慮することは、単なる重さの計算以上の意味を持ちます。
例えば金属材料から樹脂材料への置き換えは、比重の差を活かした軽量化の代表例です。
自動車や航空機、あるいは高速で動く製造ラインの部品において、この比重差は消費電力の削減やタクトタイムの向上に直結します。
また、現在の設計において無視できないのが、製品廃棄時の「リサイクル性」です。
例えば、身近な「ペットボトル」を思い浮かべてみてください。
ボトル本体(PET)は水に沈みますが、キャップ(PP)は水に浮きます。
このように材料ごとの比重差をあらかじめ設計に組み込んでおくことで、製品を粉砕した後に水槽へ入れるだけで、「浮くもの」と「沈むもの」を自動的に精度よく分けること(=比重分別)が可能になります。
プラスチックと金属、あるいは異なるプラスチック同士を組み合わせる際、この「比重の差」を意識しておくことは、将来的な資源循環(リサイクル)をスムーズにするために重要なことなのです。
【設計時の豆知識:コーティングとライニングの重さ】
「表面処理をすると重くなるのでは?」と心配されるかもしれませんが、
20〜50μm程度の一般的なテフロン™フッ素樹脂コーティングであれば、製品重量への影響はごくわずかです。
ただし、腐食対策などで数㎜単位の「厚膜ライニング」を施す場合は、
ライニング層自体の重量も考慮した設計が必要になります。
5.比重に影響を与えるものとは?
同じプラスチックでも、実は比重は一定ではありません。
冒頭ではフッ素樹脂の代表としてPTFEの比重をざっくりと紹介しましたが、実は同じフッ素樹脂でも、種類によって比重に若干の差があります。
なぜなのでしょうか?

ここではプラスチックの比重に影響を与える代表的な要因についてお話しします。
●「結晶化度」というミクロの密度:
プラスチックの分子がどれだけ整然と並んでいるかを示すのが「結晶化度」です。
分子がぎっしりと規則正しく並ぶほど、隙間がなくなるため比重は大きくなります。
PTFEが重いのは、この結晶化度が非常に高いことも一因です。
●機能を付加する「添加剤」:
プラスチックにさらなる機能を求める場合、
ガラス繊維やカーボン、ブロンズなどの「充填剤(フィラー)」を配合することがあります。
これにより耐摩耗性などの機能が向上しますが、同時に比重も変化します。
比重という「数値」の裏側には、製品の性能やコスト、さらにはリサイクル性まで、設計者の皆様が向き合う多くの課題が隠れています。
「軽量化で樹脂材料への置き換えをしたいが、耐摩耗性や離形性も確保したい」
「強度を出すためには金属材が良いが、表面の滑り性、離形性を確保したい」
そんな時は、ぜひ吉田SKTにご相談ください。
数多くのラインナップの中から、最適な表面処理をご提案いたします。
表面処理に関するお悩みや、ちょっとした疑問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
今回もメルマガを読んでいただきありがとうございました。


