【商品開発部メルマガVOL.12】離型性と表面粗さの関係とは?測定方法からTPコーティングまで解説
こんにちは、㈱吉田SKT商品開発部の白頭 菜帆(はくとう なお)と申します。
私たちがお客様に最適なコーティングをご提案する際、製品が使われる環境や求められる機能について詳しくお伺いし、適切なコーティングを選定します。
その中で、意外と見落とされがちですが、重要な要素の一つに「表面のざらつき・滑らかさ」があります。
今回のメルマガでは、この「表面のざらつき・滑らかさ」を数値で表す「表面粗さ」について、
その測定方法や、表面粗さと密接に関わる弊社開発の「TPコーティング」についてご紹介します。
□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□
目次
1. 表面のざらつきを表す「表面粗さ」とは?
2. 表面粗さを測るには?
3. 表面粗さと密接な関係があるTPコーティング
4. TPコーティングで、これまでの課題を解決!
□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□
1.表面のざらつきを表す「表面粗さ」とは?
「表面粗さ」とは、その名の通り、物の表面の粗さ(ざらつき)の度合いを示します。
表面の凹凸がどれくらいあるかを表す指標で、製品の機能や品質に大きく影響します。
例えば、摺動部品の摩擦や摩耗、塗装の仕上がり、液体の流れ方、さらには物のくっつきやすさ・はがれやすさなど、様々な特性に関わってきます。
表面粗さのほかに、面粗度という言葉も広く一般的に使われていますが、JIS(日本産業規格)の規定では「表面粗さ」が正式な名称です。
表面粗さは、加工方法によって大きく変わります。
例えば金属加工では、切削加工した面は粗く、研磨した面は滑らかになります。
用途に応じて適切な表面粗さが求められるため、コーティングにおいても非常に重要な指標となります。
2.表面粗さを測るには?
表面粗さを測る方法にはいくつか種類がありますが、一般的に広く用いられているのが「触針式表面粗さ測定機」です。
測定方法や評価パラメータについては、JIS B 0601-2013によって規定されています。
なお、JIS B 0601-1994で規定されていたパラメータとは記載が異なるため、注意が必要です。
●触針式表面粗さ測定機の仕組み
この測定機は、先端が非常に細い針(触針)を測定対象の表面に沿って動かし、
その際に触針が上下する動きを電気信号に変換して、表面の凹凸を数値化します。
●表面粗さの代表的な評価パラメータ
測定された凹凸のデータから、様々なパラメータが算出されますが、その中でも代表的なものをご紹介します。
・Ra(算術平均粗さ): 測定した基準長さにおける凹凸の絶対値の平均を表します。
一般に広く用いられるパラメータで、表面全体の粗さの傾向を把握するのに適しています。
数値が小さいほど表面は滑らかです。

・Rz(最大高さ): 測定した基準長さにおける最も高い山から最も深い谷までの高さを表します。
突起やへこみの最大値を把握したい場合に有効です。

これらの他にも、Rzjis(十点平均粗さ)やRSm(山と山の平均間隔)など、様々なパラメータが用途に応じて用いられます。
3.表面粗さと密接な関係があるTPコーティング
フッ素樹脂コーティングは、その優れた離型性や潤滑性から、多くの産業で活用されています。
従来のフッ素樹脂コーティングの表面は非常に「平滑で滑らか」で、この性質が離型性や潤滑性を発揮する上で重要な役割を担っていました。
しかし近年では、従来の平滑な表面では対応しきれない、より厳しい条件下での離型性や耐久性が求められるケースが増えてきました。
例えば、高温下での樹脂のこびりつきや、メンテナンス頻度の低減といったニーズです。
そこで私たちが開発したのが、フッ素樹脂の表面に凸面を形成させる「TPコーティング」です。
TPコーティングの最大の特徴は、フッ素樹脂コーティングそのものに微細な「凸面」を形成するという、これまでにない技術にあります。
この「凸面」を形成することで、付着物との接触面積を大幅に減らし、
従来の平滑なフッ素樹脂コーティングでは得られなかった、より高い離型性と潤滑性を実現しました。
この「凸面」の形成によって、コーティングの「表面粗さ」を上げることで、新たな機能を引き出すことに成功したのがTPコーティングです。
4.TPコーティングで、これまでの課題を解決!
TPコーティングは、従来のフッ素樹脂コーティングでは効果が不十分だった様々な課題に対し、新たな解決策を提供します。
●TPコーティングがおすすめのケース
・従来のフッ素樹脂コーティングでは離型性や耐久性が不足している場合
・薄板や軽量部品など、繊細な素材への柔軟な加工対応を求めている場合
TPコーティングは、塗装と焼成のみのプロセスで微細な凸面を形成できるため、
従来、凹凸形成のために施されていた溶射やブラストといった前処理が不要です。
これにより、薄板や繊細な部品への加工も可能になりました。
TPコーティングのより詳しい情報や、シリーズラインナップ、各特性については、以下のブログ記事でご紹介しています。
ぜひご覧ください。
【開発品】凸面化技術で進化したフッ素樹脂コーティング ―TPコーティングのご紹介
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
表面粗さのような一見地味な特性も、コーティングの性能を最大限に引き出すためには非常に重要なポイントのひとつです。
今後もメルマガでは、コーティングに関する情報や、日々の試作で得られた知見など、皆さまのお役に立てる情報をお届けしてまいります。
また次回もよろしくお願いいたします。


