表面処理のご相談

テフロン™フッ素樹脂コーティングの下地処理「ブラスト」とは

ブラスト(blast/blasting)は直訳すると「突風」「噴出」「爆発」といった意味があります。
表面処理の一種であるブラスト処理は、機能付与や意匠などさまざまな目的で行われます。
ここでは非粘着性、離型性に優れるテフロン™フッ素樹脂加工の際に、コーティングを基材にしっかりと密着させるための大切な工程のひとつである「ブラスト」についてご紹介します。

ブラストとは

ブラストとは、ブラスト材料(各種研磨材)を圧縮空気などで対象物の表面に吹き付けて、基材表面の錆や汚れの除去を行う表面処理法です。
表面に衝突した粒子は「打撃」や「切削」として作用します。ブラスト材の粒子1個当りでは微小なエネルギーですが、無数の粒子が継続的に打ち付けられることにより表面に顕著な作用効果をもたらします。

ブラスト処理した基材表面

下地処理(前処理)としてのブラスト加工の効果

ブラストには、テフロン™フッ素樹脂コーティングの前処理として行うものがあります。
ではなぜブラスト加工が必要なのでしょうか?

基材の清浄

ひとつは、テフロン™フッ素樹脂コーティングを行う表面に油脂や腐食生成物(錆等)、粉じんなどの汚れなどがあると、性質が変化しコーティングの密着性や耐久性を損なってしまうからです。ブラストによって表面を清浄化し、コーティングやプライマー(下塗り材)の密着性を良くすることができます。

凸凹による密着性の向上

ふたつ目に、そもそもテフロン™ふっ素樹脂にはものがくっつきにくい性質があり、コーティングしたい相手材に対しても付きにくいという事情があります。プライマー処理(下塗り)をして接着しやすくはしますが、それでは十分ではない場合に、プライマーを塗る前にブラスト加工によって相手材を粗面化(凸凹を形成)します。するとプライマー処理をしただけの平らな面に比べて、表面積の増加と、フックやファスナーのように凸凹とテフロン™フッ素樹脂が噛み合うアンカー効果により、コーティングの密着性を大幅に高めることができます。

基材表面とコーティングの密着イメージ 左:ブラスト処理なし、右:ブラスト処理

ブラスト加工はテフロン™コーティングのみならず、溶射やメッキ等の前処理として極めて効果的です。また、ブラスト処理を行うことにより、液体の濡れ性をよくすることも可能です。

ブラストの原理と留意する点

ブラストの留意点

下地処理として優れているブラスト処理ですが、基材に対しての物理的な打撃や切削作用があるので留意点もあります。
ブラストは研磨材の粒子の衝撃力で物を削るため、衝撃の強さは使用する研磨材の重さや圧力で決まります。また、表面の粗さはブラスト粒子の大きさで調整できますが、薄板の場合はブラストを行うと表面と裏面に表面積の差ができることで反りや歪が発生します。コーティング基材に寸法安定性が必要な場合は注意が必要になります。

おわりに

非粘着性に優れるテフロン™コーティングにとってその機能や性能をしっかりと発揮するため、下地処理の「ブラスト」は非常に重要な工程です。
吉田SKTでは、どんなケースでも同じブラスト加工をするのではなく、コーティングや基材に適したブラスト材や処理方法を選択し、テフロン™加工を施しておりますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。

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