表面処理のご相談

テフロン™フッ素樹脂加工の脱脂工程の「空焼き」とは

空焼きとは

こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

吉田SKTではテフロン™フッ素樹脂コーティングや表面処理でお客様の生産設備のお悩みを改善しています。

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この記事では、非粘着性に優れ、ものがくっつきにくい「テフロン™フッ素樹脂コーティング」を基材にしっかり密着させるための脱脂工程のひとつである「空焼き」について、目的や留意点をご紹介します。

脱脂工程とは

コーティングを施す面に付着した油脂や汚れを除去する工程です。

脱脂が不十分な場合の不具合

コーティング材料の弾きなどが発生し塗膜がすぐはがれてしまうなどの、密着不良の原因になります。また、塗膜のシミなどの外観不良の発生につながります。

脱脂が不十分な場合の不具合

主な脱脂方法の種類

主な脱脂の方法として、高温の焼成炉内で行う「空焼き」と溶剤による洗浄を行う「溶剤洗浄」があります。

空焼きとは

基材(品物)を焼成炉でコーティング加工温度以上に加熱することで、油分などを酸化燃焼させて除去する方法です。油脂や汚れの除去を目的とする場合は、400℃を超える温度で数時間焼成を行います。

空焼きのメリット

  • 油分を分解する際に有毒ガスなどの発生がなく、水と二酸化炭素に分解されます。
  • コーティングの焼成工程でトラブルの原因となる有機成分を全て分解することができます。
  • 焼成炉に入るサイズであれば大型の製品でも処理が可能です。

空焼きの留意点

  • 板厚の薄い製品や、精密部品の場合は熱処理による歪が問題となることがあります。
  • 次工程でブラストなどを行わずに加工をする場合、特に銅製品などは金属表面に酸化膜が生じてコーティングの密着が悪くなります※。
  • ステンレスや鉄、アルミなどの素材も酸化膜により表面が変色します。
  • 融点の低い合金などは熱処理により変形や溶融が起こる場合があります。
  • 焼き入れ鋼の場合、焼き戻し温度によっては焼きなましになる場合があります。

※銅製品は脆弱な酸化皮膜が形成されるため、通常のフッ素樹脂コーティングを行う場合も酸化膜対策が必要です。

まとめ

非粘着性に優れるフッ素樹脂コーティングは適切な脱脂工程(下地処理)を行うことで、基材にしっかりと密着して機能を発揮します。