シリコーンとは?離型性に優れる「シリコーン」と「シリコン」の違いも解説
こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。
吉田SKTではシリコーンコーティングで離型剤の課題解決や離型トラブル改善のお手伝いをしています。離型剤の使用に課題のある方や、シリコーンコーティングをご検討の方はぜひご相談ください。
混同されがちですが、「シリコーン」と「シリコン」はまったく別のものです。この記事では離型剤や離型性コーティングで利用される「シリコーン」と「シリコン」との違いや、優れた離型性を発揮する「シリコーンコーティング」をご紹介します。
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シリコーンとは?「シリコン」と「シリコーン」の違い
シリコーンとは
「シリコーン(Silicone)」とは、ケイ素と酸素が結びついたシロキサン結合(Si-O-Si)をもつ化合物のことです。シロキサン結合のつながり方によって、オイル、ゴム、樹脂などさまざまな状態になることができますが、すべて耐熱性に優れる特徴があります。理由としては、シロキサン結合におけるケイ素と酸素の結びつきの強さがあげられます。
また、シリコーンは分子の表面がメチル基で覆われているため、表面エネルギーが小さく、モノがくっつきにくい特長があります。そのためシリコーンは、金型の型離れをよくする「離型剤」としても利用されます。
シリコンとは
シリコン(Silicon)とは、原子番号14のケイ素を指します。地球上で酸素に次いで多く、地球を構成する主要な元素の一つです。シリコンは酸素と結びつきやすいため、天然には鉱物などの酸化物として存在します。そのため、天然鉱物から人の手で工業的に取り出したものが「シリコン」になります。シリコンの用途は、半導体や太陽電池ですが、これらに使用するためには高度に精製する必要があります。
「シリコーン」と「シリコン」の違い
このように、離型剤などでも使用される「シリコーン」と半導体の原料となる「シリコン」は違うものですが、「シリコーン」は、しばしば「シリコン」と表記されている場合があります。特にインターネット上では混同して使われていることが少なくありません。また、「シリコーン」の略称として「シリコン」と表記される場合もあるようです。
非粘着性・離型性に優れる「シリコーン」
シリコーンは、シロキサン結合の結合力の強さにより耐熱性や化学的安定性に優れ、表面を覆っているメチル基の作用により表面張力が低く、撥水性や離型性に優れます。
そのような特徴から、シリコーンは離型剤としても利用されていて、表面張力の低さと相手材に転写することで優れた離型性を発揮。付着しやすいゴムや樹脂、CFRP素材の成形時の貼りつき防止に効果をもたらします。
シリコーン離型剤の課題と解決方法
シリコーン離型剤は優れた離型性を発揮する一方で、成形するたびに離型剤の塗布が必要であったり、作業する人によって塗布する量が異なったりと生産性や製品の安定性の点では課題が生まれる場合があります。
また、離型剤で金型が汚れると、製品への付着の懸念があり、清掃作業が生産性を悪くする場合もあります。
離型剤の主な課題
- 効果が長続きしないため1ショットごとに塗布が必要な場合もあり、生産性が上がらない
- 塗布量が作業者により異なると仕上がりにばらつきが出る
- 金型の清掃作業がかかる
- スプレー塗布による現場の安全性への懸念
このような課題を解決する手段として表面処理であるシリコーンコーティングがあります。
シリコーンコーティングのなかには、優れた離型性と持続性を両立し、使い勝手のよいもあり、生産性の向上や、設備、工程の改善に役立ちます。
また、シリコーンが使用できない環境や工程の場合は、フッ素樹脂コーティングなどの表面処理により離型不良などの問題を解決に導きます。表面処理のご質問はお気軽にお問い合わせください。
シリコーンコーティングについて詳しい情報はこちらもご確認ください。