表面処理のご相談

テフロンフッ素樹脂(PTFE)の耐熱性/耐寒性について解説

こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

吉田SKTは耐熱性/耐寒性に優れるテフロン™フッ素樹脂材料をコーティングする表面処理メーカーです。

ご相談はこちらから>

日常生活の中でプラスチックの耐熱性/耐寒性について意識されたことはありますか?
実は、飲料用のペットボトルに熱湯を入れると大変危険です。ペットボトルの耐熱温度は通常50℃程度、ホット飲料(オレンジキャップ)の耐熱ボトルでも85℃程度です。ここに耐熱温度を超える熱湯を入れると、ペットボトルが変形したり溶けたりする可能性があります。

ここでは、樹脂やゴムなどの耐熱性/耐寒性について詳しく解説します。

耐熱性/耐寒性とは?

耐熱性/耐寒性とは一般的に物質が高温や低温にさらされた際に、見た目や物性を維持する性質をいいます。樹脂やゴムなどの耐熱性/耐寒性は、種類によってさまざまです。

耐熱温度を超える環境におかれた樹脂は、形状変化や、熱分解による物性変化が生じます。
反対に耐寒温度を超える環境では、大抵の樹脂は柔軟性がなくなり脆くなる傾向があります。

耐熱性/耐寒性に優れるフッ素樹脂

では耐熱性や耐寒性に優れた素材とは何でしょうか?

例として、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂をご紹介します。PPSはスーパーエンジニアリングプラスチックに分類され、耐熱温度は約220℃あり、車やバイクのエンジン周辺の高温に耐えられる性質から、さまざまな部品に使用されます。一方で耐寒性は-20℃程度です。
同じく樹脂で、特に耐熱性/耐寒性に優れた素材として広く知られているのがフッ素樹脂です。

この記事では、フッ素樹脂のなかのひとつ、PTFEの耐熱性/耐寒性について紹介していきます。

PTFEの融点は約327℃で、耐熱温度は260℃、耐寒温度は約-250℃です。非常に幅広い温度域で安定した性能を発揮することで知られています。このため200℃以上の温度がかかるヒートシーラーの熱板にはフッ素樹脂テープが使われています。また高温環境になりやすい自動車の内部部品や、航空機の部品としても使用されています。

PTFEが耐熱性/耐寒性に優れる理由

PTFEはなぜ耐熱性/耐寒性に優れるのでしょうか?

そのカギは分子構造にあります。

フッ素樹脂の分子構造

上のイラストのように、PTFEの分子構造はC-C結合のまわりをフッ素原子(F)が隙間なく取り囲んだ構造になっています。

これらのC-C結合やC-F結合が、高温下において結合が切れること=「PTFEの劣化」となります。
内部のC-C結合は、フッ素原子(F)に覆われ守られていることにより結合が切れにくくなっているのです。

また下のイラストから分かるように、PTFE分子内のC-F結合力は他の原子間結合力に比べて非常に大きいです。

CF結合の強さ

これはC-F結合エネルギーを超えるような、さらに大きなエネルギーがPTFE分子にかからない限り劣化しにくいということを意味します。 例えばPTFEと似た骨格をもつポリエチレンの分子構造にあるC-H結合力は、PTFEのC-F結合力に比べて小さい数値になっています。一般的にポリエチレンの耐熱温度は80℃程度、耐寒温度は-20℃程度であり、これも樹脂の分子構造(結合エネルギーの大きさ)の違いが、耐熱性/耐寒性に影響する理由のひとつとされています。

  分子間の結合エネルギー 耐熱温度 耐寒温度
フッ素樹脂PTFE C-F間 116kcal/mol 260℃ -250℃
ポリエチレン C-H間 99kcal/mol 80℃ -20℃

フッ素樹脂の耐熱性/耐寒性を利用してできること

フッ素樹脂の耐熱性/耐寒性は、非粘着性、耐薬品性、低摩擦性や耐侯性など、他の特性と併せて利用されることがほとんどです。

それはフッ素樹脂コーティングの場合も同様で、例えば焼き菓子の型は、焼きあがったものが型にくっついてしまうのを防ぐためにコーティングによる非粘着性を利用しますが、フッ素樹脂コーティングは耐熱性も兼ね備えているため、オーブンで焼かれるという用途でも安心して使用できます。また、ご家庭で使われるアイロンの熱板ではフッ素樹脂コーティングすることで滑りの良さと熱に強い性質(耐熱性)が活用されています。

>フッ素樹脂コーティングについてはこちらもご確認ください。

吉田SKTでは耐熱性/耐寒性に優れるフッ素樹脂コーティングの加工はもちろんのこと、より耐熱性に優れた表面処理(コーティング)の開発も行っております。

詳しくは下記リンクよりご覧ください。

耐熱性/耐寒性に優れる表面処理を活用した生産設備の改善事例を数多くご紹介しております。こちらもぜひご覧ください。

フッ素樹脂はとても耐熱性/耐寒性に優れる材料です。さらに高い温度環境でフッ素樹脂コーティングをご検討の際は吉田SKTにお問い合わせください。260℃以上で使用できるコーティングをお提案いたします。