表面処理のご相談

フッ素樹脂コーティングの欠点とは?注意したいこと3つをご紹介

フッ素樹脂は、非粘着性、撥水性、摺動性、耐薬品性、耐熱性、電気特性、耐候性など数多くの優れた特徴を兼ね備えた稀有な樹脂です。まさに万能に見えるフッ素樹脂ですが、利用する際に気を付けなくてはならないこともあります。この記事では、フッ素樹脂コーティングを利用する際に注意したい3つのポイントをご紹介します。

フッ素樹脂コーティングの硬度

フッ素樹脂は、摺動性に優れることから滑り性の向上のために利用されます。その一方で、フッ素樹脂はプラスチックのなかで必ずしも硬度の高い素材ではありません。

代表的なフッ素樹脂PTFEの硬度はロックウェル硬度R20程度。そしてフッ素樹脂コーティング(塗膜)の鉛筆硬度はF~H 程度です。例えばナイロンの名前で知られるポリアミド樹脂はロックウェル硬度でR120程度と考えると、フッ素樹脂が柔らかい樹脂であることがお分かりいただけると思います。

このため、硬い金属などが擦れて摺動する用途などでは、フッ素樹脂コーティングの選定に注意をする必要があります。

搬送シュート
部品の搬送シュート(左:フッ素樹脂コーティング、右:バイコートⓇ)

吉田SKTでは、耐摩耗性に優れるフッ素樹脂コーティングや、フッ素樹脂の硬度の欠点を補う表面処理をご提案しています。

フッ素樹脂コーティングのピンホール

フッ素樹脂は耐薬品性に優れるため、タンクや容器の内面にコーティングとして加工するなど耐食性を高める用途でも利用されます。ただし耐食用途でフッ素樹脂コーティングを利用する際は、コーティング膜のピンホールに注意する必要があります。

ピンホールとは

ピンホールとは

ピンホールとは、コーティング膜に存在する目に見えない微小欠陥を指します。これはフッ素樹脂コーティング製品を使っていても気が付かない程度のとても小さな穴です。

ピンホールレスのコーティング

ところが腐食性の強い薬液を入れる容器では、ピンホールを通じ薬液が基材(金属)まで到達してしまうことがあります。基材まで到達した薬液は金属を腐食させ、鉄の場合は錆が発生し、錆びた部分からコーティングがはがれてしまいます。

ピンホールレスのコーティング

防食用途の場合は下図・右のようなピンホールのない膜、つまりピンホールレスのコーティングを加工することが重要です。

左:ピンホールのあるコーティング 右:ピンホールレスのコーティング

耐食性、ピンホールレスコーティングについて詳しくはこちらの記事もお読みください。

フッ素樹脂コーティングの耐熱性

テフロンコーティングの耐熱性

ご存知のようにフライパンのフッ素樹脂コーティングは火にかけて使用できるほどの耐熱性があります。フッ素樹脂PTFEの場合、耐熱性を評価する指標のひとつ、連続使用温度は260℃という高さを誇っています。

>フッ素樹脂の耐熱性はこちらをご参照ください。

一方で金属ほどの耐熱性はなく、260℃以上の温度での使用には注意が必要です。フッ素樹脂は約400℃以上の温度で分解ガスを発生します。人が分解ガスを吸い込むと、一時的にインフルエンザのような症状が起きる場合があります。

吉田SKTでは、260℃以上の温度で使用できるコーティングもご提案しています。

まとめ

フッ素樹脂コーティングには、欠点というよりも、使用する用途や環境によって注意すべきことが3つありました。それは「硬度」「ピンホール」「耐熱性」です。

しかしフッ素樹脂コーティングには大変優れたメリットがありますので、ご検討されているお客様もいらっしゃると思います。吉田SKTは用途や使用環境によるフッ素樹脂コーティングの向き不向きや、「硬度」「ピンホール」「耐熱性」などでの懸念について適切な対策を講じた処理をご提案できます。ぜひご相談ください。