耐摩耗性に優れた表面処理
摩耗とは、2つのものが接触しながら動くとき、一方または双方が磨滅する(すり減る)ことです。
機械部品などで稼働時に発生する「摩耗」を低減する目的で、耐摩耗性に優れた表面処理(コーティング)が選択されます。具体的には、相手材と接触する基材表面に、高硬度・低摩擦性・弾性などの性質を備えた表面処理を加工することで、それらの機能を基材に与え、摩耗しにくくすることができます。
また、製造現場で起きうる摩耗には大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは、表面が荒れたものや粒子状物が当たることにより表面を掘り起こし削りとる「ざらつき摩耗」。もうひとつは、表面が摩擦熱により凝着し相手材に持っていかれて摩滅する「スラスト摩耗」です。それぞれの摩耗のタイプによって、適正な表面処理も変わってきます。
耐摩耗性(スラスト摩耗)
工具と基材がこすれあう状態や、軸と軸受けのような、表面の摩擦熱によって凝着し相手に持っていかれるような摩耗への対策
(高硬度かつ低摩擦性に優れた表面処理によって、凝着しにくくなり摩耗を低減します)
選ばれている表面処理
耐摩耗性(スラスト摩耗)
潤滑油の使えない場所や無給油状態で金属と金属がこすれあうときに生じる摩擦による、凝着摩耗への対策
(フッ素樹脂のなかでも低い静摩擦係数と固体潤滑性を備えた材料をコーティングすることで、摩擦熱の発生を抑え、凝着摩耗を低減します)
選ばれている表面処理
耐摩耗性(ざらつき摩耗)
スラリーの撹拌や粉体の衝突などによる、引っかき、えぐり取るような摩耗への対策
(弾性のあるコーティングによって、衝突による摩耗を低減します)
選ばれている表面処理