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「薬品から基材を守る!」テフロン™フッ素樹脂コーティングの耐食性を解説

この記事では、「耐食性」や腐食のメカニズムの説明。テフロン™フッ素樹脂を利用した防食コーティングの方法やその活用法まで解説します。内容をまとめた解説資料を無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

耐食性とは

「耐食性」とは、腐食反応を起こしにくい・酸化しにくい性質のことです。
初めに、腐食とはどのような現象なのかをご説明します。

腐食とは、金属が周りの環境の成分と反応を起こし、金属としての性能が低下して使用できなくなることを言います。身近な事例では錆などがあり、強い腐食が起きると金属が溶けて穴があいてしまうこともあります。
実際にアルミ缶の中に腐食性の強い薬品(薬液)を入れるとどうなるのかを実験しました。

動画ではアルミ缶に穴があき、薬液が漏れ出してしまいました。これが「腐食」によって引き起こされる現象のひとつです。アルミ缶に「耐食性」があれば、「腐食」を防ぎ、漏れることなく使用できたでしょう。
耐食(防食)性を必要とする防食の分野では、腐食性の程度に応じて「軽防食」や「重防食」などの言葉を使い分けることがあります。

腐食を防ぐには

では、金属の腐食を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?
まずは腐食が起きるメカニズムについてご説明します。
下図のように、
・水が存在すること
・酸化物が存在すること
・電気が流れること
3つの条件が揃って初めて腐食は起こります。この中の1つでも欠けると腐食は発生せず、また進行もしません。

腐食の3条件

このことから、腐食を防ぐには金属が周りの環境の成分と反応しないように遮断すればよいことに気づきます。
この方法は、軽防食/重防食どちらにおいても共通したものになります。

テフロン™フッ素樹脂コーティングの耐食性

すでにご存じの方も多いと思いますが、テフロン™フッ素樹脂は耐薬品性に非常に優れており、ほとんどすべての液体に溶解しない樹脂として有名です。
また耐熱性にも非常に優れていることから、薬液を使用する環境や、高温環境下での耐食性を必要とする場面で多く使用されています。

このテフロン™フッ素樹脂の特性をそのままに、塗膜化したのがテフロン™フッ素樹脂コーティングです。
基材(金属)にテフロン™フッ素樹脂の膜を被覆することで、基材を腐食から守ることができます。
テフロン™フッ素樹脂コーティングは軽防食用途でも優れた性能を発揮しますが、今回は腐食性の強い薬液などを使用するような重防食用途に注目してご説明します。

耐食用途のテフロン™フッ素樹脂コーティングの特徴

重防食用途で採用されるテフロン™フッ素樹脂コーティングには、大きな特徴があります。
普段家庭で使用するフライパンに代表されるテフロン™フッ素樹脂コーティングは腐食性の強い薬液を使う環境での使用には適していません。
フライパンのテフロン™フッ素樹脂コーティング重防食用途のテフロン™フッ素樹脂コーティング はなにが違うのでしょうか。 くわしく説明していきます。

重防食用途のコーティングの条件 「塗膜にピンホールや欠陥がない」

フライパンのテフロン™フッ素樹脂コーティングには、目には見えない小さな微小欠陥(ピンホール)が無数に存在しています。これは普段の家庭での調理の際には気がつかない程度のとても小さな穴です。腐食性の強い薬液を入れる容器では、この小さな穴を薬液が通り、やがて基材(金属)まで到達してしまいます。基材まで到達した薬液は金属を腐食させ、鉄の場合は錆が発生し、錆びた部分からコーティングがはがれてしまいます。

テフロン™フッ素樹脂は耐薬品性に優れるため、薬液に触れても劣化することはほとんどありません。しかしコーティングが基材からはがれることで、薬液に基材が接触し腐食が進行します。

重防食用途の、薬液から基材を守るためのコーティングには、ピンホールのない膜を作り出すことが重要で、その解決策は「コーティング膜の厚膜化」にあります。

ピンホールからの薬液浸透
ピンホールからの薬液浸透イメージ

重防食用途のコーティングを実現する「コーティング膜の厚膜化」

基材の腐食につながるピンホール。
防止する手段のひとつに、「コーティング膜の厚膜化」があります。
フライパンなどのテフロン™フッ素樹脂コーティングは膜の厚みが20~50μm程度であるのに対し、耐食用途で加工する場合は、膜厚を300μm以上にした仕様を推奨しております。

膜厚を厚くする理由は大きく2つあります。

①ピンホールのない塗膜をつくるため

300μm以上の厚膜のテフロン™フッ素樹脂コーティングは、50μm程度の塗膜を何回も塗り重ねることで形成されます。1層ごとの塗膜には目に見えない微小欠陥(ピンホール)が存在しますが、これを塗り重ねることで塗膜表面から基材まで通じた欠陥がないようにします。
吉田SKTではこのような仕様をピンホールレス仕様と言います。
ピンホールレス仕様のコーティングには、テフロン™フッ素樹脂の中でも溶融した際の流動性が良く、塗り重ねができるPFA樹脂やFEP樹脂などが使用されます。

ピンホールレス塗膜
ピンホールレス塗膜解説
ピンホールレス塗膜のイメージ

②薬液の浸透速度を遅らせるため

テフロン™フッ素樹脂は、薬液に反応することはほとんどありませんが、特定の環境下では薬液の浸透が起こります。
テフロン™フッ素樹脂は、高分子ポリマーであるため、分子間にはオングストローム単位の極々小さな隙間があります。この隙間は、ピンホールよりもさらに小さな隙間で、薬液の種類によってはその分子がテフロン™フッ素樹脂の隙間を通り抜ける現象が起こります。この現象が塗膜への「浸透」です。
そこで下図のようにコーティング膜を厚くすることで、基材までの距離を長くすることができます。すると、薬液の分子が樹脂の分子間の隙間を浸透し、基材へ到達するのにも時間が必要になります。
これによって、基材に腐食が発生するまでの時間が長くなるのです。

厚膜コーティングの違い
厚膜コーティングの違い解説
通常のテフロン™フッ素樹脂コーティングと厚膜テフロン™フッ素樹脂コーティングとの浸透の違い

以上のように、耐食用途でのテフロン™フッ素樹脂コーティングでは
 ・塗膜のピンホールをなくすこと
 ・コーティング膜の厚膜化
が行われていることが分かります。

このような仕様を実現するためには基材の構造や形状、表面の仕上げの程度が非常に重要になります。
つまり、厚膜コーティングやピンホールレス仕様のコーティングを行うためにはコーティングの仕様に適した基材の設計が必要です。
吉田SKTでは、耐食用途に適した基材設計のお手伝いもさせていただいております。

テフロン™フッ素樹脂コーティングの耐食性を利用してできること

テフロン™フッ素樹脂コーティングの耐食性は、化学プラント分野や半導体分野、医薬医療分野などで広く利用されています。テフロン™フッ素樹脂の厚膜コーティングを施すことで貯蔵タンクや反応槽、配管を薬液による腐食から守ることができます。
また、厚膜コーティングによって撹拌羽根や遠心分離機などの複雑な形状物にも加工ができ、腐食しにくくすることが可能です。

最後に、厚膜コーティングの耐食性試験をおこなった動画をご紹介します。

吉田SKTでは、テフロン™フッ素樹脂コーティングだけでなく、さまざまな機能性コーティングで、ものづくりにおけるコストダウン、競争力の強化、現場に歓迎される環境づくりなど、テストピースもご提供しながらサポートします。ぜひご相談ください。

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