表面処理のご相談

「薬品にも強い!」テフロン™フッ素樹脂の耐薬品性を解説

んにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

吉田SKTではテフロン™フッ素樹脂コーティングや表面処理でお客様の生産設備のお悩みを改善しています。

ご相談はこちらから>

この記事では、テフロン™フッ素樹脂の特性のひとつである「耐薬品性」についてメカニズムから活用例までご紹介します。

内容をまとめた解説資料を無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

今すぐダウンロード

耐薬品性とは?

「耐薬品性」とは、さまざまな薬品に対する耐久性のことです。
薬品の種類には、酸・アルカリ・有機溶剤などがあり、それらに対して溶けたり(溶解)、膨張したり(膨潤)、反応しないことを「耐薬品性がある」と言います。

この耐薬品性を利用したものとして、ガラスや樹脂製の容器があります。
樹脂製の容器として、ポリエチレン(PE)がよく利用されています。ポリ瓶(PE瓶)と呼ばれるものです。
ポリエチレンはフッ素樹脂と似た骨格をもっており、常温下で塩酸を保管する場合はポリエチレン容器でも十分に使用できます。しかし、高い温度での使用や、薬品の種類によっては容器の変形、変色、漏れなどの問題が起こります。

一方、テフロン™フッ素樹脂は樹脂の中で優れた耐熱性と耐薬品性を有しており、ポリエチレンが使用できない環境下でも、容器の形状や樹脂の物性を保ったまま使用することができます。そのため、テフロン™フッ素樹脂は薬品を使用するさまざまな環境で使われています。

薬品による樹脂への影響

薬品による樹脂への影響として、溶解や膨潤があります。

溶解とは、「液体(溶媒)が他の物質(溶質)を溶かして均一な混合物(溶液)になる現象」のことを指します。身近なものでは、油性ペンキがあります。ペンキは、樹脂(溶質)をシンナー(溶媒)に溶かして塗料(溶液)にしたものです。

膨潤とは、「物質が溶媒を吸収し、物質の体積が増加する現象」のことを指します。分かりやすい例として、ゴム製品を有機溶剤に触れた状態で使用していると、だんだん膨れてぶよぶよになることがあります。このとき、分子の世界では分子間の隙間に溶媒が入り込んだ状態になっています。

樹脂の溶解、膨潤の程度は、樹脂の「種類」「分子量」「分子構造」「結晶化度」などにより差が出てきます。

テフロン™フッ素樹脂が耐薬品性に優れる理由

テフロン™フッ素樹脂は耐薬品性に優れており、ほとんどすべての液体に溶解しない樹脂として有名です。
これにはテフロン™フッ素樹脂の 安定した分子構造 が大きく関係しています。
ここでは冒頭でご紹介した、ポリエチレンと比較してご説明します。

テフロン™フッ素樹脂は、下図のように炭素原子とフッ素原子が結合したものが直鎖状につながった分子構造になっています。

PTFEの分子構造
テフロン™フッ素樹脂の分子構造

この炭素原子とフッ素原子(C-F)の結合エネルギーは化学結合の中でもとても強く、さらに炭素原子同士の結合部(C-C結合)はフッ素原子がらせん状に隙間なく覆っています。

・C-F結合エネルギーが強く壊されない
・C-C結合はフッ素原子に守られている

→そのため薬品や溶剤に触れても不活性、樹脂として劣化・溶解しない
→つまり耐薬品性に優れる
ということになります。

一方でポリエチレンは、炭素原子と水素原子が結合したものが直鎖状につながった分子構造になっています。

ポリエチレンの分子構造
ポリエチレンの分子構造

フッ素樹脂のC-F結合エネルギーと比較すると、ポリエチレンのC-H結合エネルギーは小さく、またC-C結合部の露出も多くなっています。
そのため、フッ素樹脂と比べてポリエチレンは薬品の影響を受けやすいことがあります。

ポリエチレンとフッ素樹脂の耐酸・耐アルカリ性比較表
ポリエチレン、フッ素樹脂の耐酸/耐アルカリ性比較表

※1 濃塩酸:濃硝酸=3:1の混合物
評価基準
【◎】優:まったく、あるいはほとんど侵されず、実用に耐える。
【○】良:若干作用を受けるが、条件により実用に供せる。
【△】可:作用を受けるので、実用には好ましくない。
【×】不可:侵されるので使用に適さない。

以上のようにテフロン™フッ素樹脂は安定した分子構造により耐薬品性に優れる樹脂ですが、特殊な条件下では使用できないケースがあります。
たとえば、高温でのフッ素(ガス)、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)とは反応を起こします。また、低分子化合物(モノマー)は、テフロン™フッ素樹脂の分子間の隙間に入り込み、堆積します。

耐薬品性を利用してできること

テフロン™フッ素樹脂の優れた耐薬品性を利用したものとして、各種ガスケットやパッキン類、配管やホース、貯蔵タンクや反応槽、熱交換器などがあり、これらは古くから化学プラント分野で使用されています。


ほかにも酸・アルカリ・有機溶剤を使用する環境で、汎用樹脂では変形や変質をしてしまうときや、配管やタンクの金属が腐食してしまう場合にテフロン™フッ素樹脂の成形品やライニング、コーティングが採用されています。

吉田SKTは、成形品の強度では使用が難しい部品や形状が複雑でライニングが難しい製品など、さまざまな形状の基材にテフロン™フッ素樹脂のコーティングをご提供しております。
また、テフロン™フッ素樹脂コーティングだけでなく、さまざまな機能性コーティングで、ものづくりにおけるコストダウン、競争力の強化、現場に歓迎される環境づくりなど、テストピースもご提供しながらサポートします。ぜひご相談ください。

>お問い合わせはこちら

この記事の内容をまとめた資料はこちらからダウンロードいただけます。