テフロン™フッ素樹脂が撥水性/撥油性に優れる理由とは?撥水角や活用方法まで解説
こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。
吉田SKTではテフロン™フッ素樹脂コーティングや表面処理でお客様の生産設備のお悩みを改善しています。
この記事ではテフロン™フッ素樹脂の特性のひとつである「撥水性・撥油性」についてメカニズムから接触角の確認方法や撥水性/撥油性の活用例までご紹介します。
内容をまとめた解説資料を無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
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撥水性/撥油性とは?
「撥水性/撥油性」とは素材表面が水や油を弾く性質のことを指します。
この性質をイメージしやすいものとして、ハスの葉が有名です。
吉田SKT 『テフロン™フッ素樹脂加工』のカタログ表紙にもハスの葉がデザインされています。
ハスの葉はこの撥水性を利用して、葉自体を濡れにくく綺麗に保ち、光合成をスムーズに行えるようになっています。
テフロン™フッ素樹脂もこの「撥水/撥油性」を有しており、例えば、液体が濡れ広がる素材であっても、表面にテフロン™フッ素樹脂コーティング処理をすることで撥水/撥油性をもたせ、液体を弾いて濡れ広がりにくくすることができます。
テフロン™フッ素樹脂が撥水性/撥油性に優れる理由 ~表面自由エネルギー~
テフロン™フッ素樹脂は撥水性/撥油性に優れる樹脂です。これには表面自由エネルギーが大きく関係しています。
続いてテフロン™ PTFEを例に、「撥水性」のメカニズムに注目してご説明します。
表面自由エネルギーとは
物質の表面には、表面自由エネルギー(表面張力)というものが存在しています。表面自由エネルギーとは、物質の中で分子同士が引き合う力のことをいいます。
テフロン™ PTFEはこの表面自由エネルギーが非常に低いという特徴があります。
※一般的に、固体に対しては「表面自由エネルギー」、液体に対しては「表面張力」と表現します。
撥水性と表面自由エネルギーとの関係
上の表から、
水……………………表面張力が高い
テフロン™ PTFE……表面自由エネルギーが低い
ということを知っていただけると思います。
では、この表面自由エネルギー(表面張力)と撥水性がどのように関係しているのでしょうか?
『表面張力が高い』液体は、液滴内の分子同士が引き合う力が非常に強いため、内側に強く引っ張られます。このため、液滴はより丸い球体になろうとします。
水とオリーブオイルでは、表面張力が高い水の方が、より丸い液滴になります。
さらに、固体表面に液体が付着した状態を考えてみます。次の図をご覧ください。
固体表面と液体(図の例では水)の界面では、固体の表面自由エネルギーが高いほど液体の分子と引き合う力が大きくなり、液体が濡れ広がることになります。
逆に、固体の表面自由エネルギーが低いほど液体の分子と引き合う力が小さくなり、液体を引き付ける力が弱くなります。この場合、液体は自身の表面張力によって内側に引っ張られ、固体表面上で小さくなり球状になります。
これは接する固体と液体の表面自由エネルギー(表面張力)の大きさの差によるもので、つまり同じ固体でも表面張力が異なる液体を滴下すると、濡れ広がったり弾いたりします。
分かりやすい例として(下図)、ポリエチレンに水を滴下した場合、ポリエチレンの表面自由エネルギーより水の表面張力の方が勝るため、水は内側に引っ張られて球状になります。
ところが同じポリエチレンに表面張力が低いエタノールを滴下すると、ポリエチレンの表面自由エネルギーの方が勝るため、エタノールは濡れ広がります。
撥水/撥油性に優れているテフロン™PTFEの場合、表面自由エネルギーは固体の中で最も低いと言われているため、ほとんどの液体を弾くことができます。
撥水性/撥油性の確認方法 ~接触角~
では、撥水とはどのような状態を指すのでしょうか?
ここからは撥水性/撥油性の確認方法についてご説明します。
撥水性/撥油性は、下図のような静止状態での液滴の端での接線の角度「接触角」によって数値化します。
接触角が0°に近いほど固体表面は濡れており、逆に接触角が180°に近いほどよく弾いています。
一般的に水の場合、接触角が90°以上の場合は撥水性、90°未満で親水性と区分されることが多いです。さらに、接触角が150°〜160°以上になると超撥水と区分されることもあります。
通常、テフロン™PTFEの接触角は100°以上になり、撥水性を示します。
撥水性/撥油性を利用してできること
テフロン™フッ素樹脂は水も油もよく弾くため、さまざまな液体を弾かせたい場面で使用されています。
自動車のフロントガラスや傘などの水弾きはよく目にしますが、工業製品の生産現場やプロの現場でも撥水/ 撥油性は利用されています。例えば、塗料ポットや漏斗の場合、液切れが良くなるため残渣の低減ができ、塗料ロスや清掃時間を少なくすることが可能です。
メッキ治具の場合は防食性能や絶縁性に加え、撥水性によりメッキ液の持ち出し量を低減することができ、コストダウンに貢献します。
【メッキ治具へのコーティング事例】
・電子部品の電気メッキ工程で治具へのメッキ付着を防止
吉田SKTでは、このような撥水/撥油性能に優れたテフロン™フッ素樹脂コーティングをご提供しております。
また、テフロン™フッ素樹脂コーティングだけでなく、さまざまな機能性コーティングで、ものづくりにおけるコストダウン、競争力の強化、現場に歓迎される環境づくりなど、テストピースもご提供しながらサポートします。ぜひご相談ください。
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