フッ素樹脂(テフロン)の安全性とは?テフロン加工製品を使うとき気になる安全性について解説
食材をくっつきにくくするフッ素樹脂加工やテフロン加工を謳ったフライパンはよく知られています。当たり前のように使っていますが、私たちの口に入るものを扱う調理器具に採用されている加工の安全性や、使い方の注意についてご存知でしょうか。
この記事では、フッ素樹脂やテフロン加工製品の安全性について解説します。
※テフロン™はケマーズ社の商標です。
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フッ素樹脂(テフロン)加工のフライパンの有害ガス
フッ素樹脂の安全性で取りざたされることのひとつに、フッ素樹脂の有害ガスについての指摘があります。フライパンなどにコーティングされるフッ素樹脂PTFEの連続使用温度は260℃と大変高いものですが、食材を入れることなく空焚きをすることで、260℃以上の温度になった場合はフッ素樹脂の分解に注意が必要です。PTFEの融点は327℃ですが、表面温度が260℃から劣化が始まり、360℃程度から分解ガスが発生すると言われています。つまり分解ガスはフライパンが過熱しすぎて高温になることで発生します。
フッ素樹脂の分解ガスには有毒なガスも含まれますので、空焚きに気がついたらすぐに換気を行い、体調に異常を感じた場合は速やかに医療機関に相談しましょう。
参考記事:フッ素樹脂とは?~種類・特徴から活用方法までまとめ~
フッ素樹脂(テフロン)加工のフライパンのPFOA使用
フッ素樹脂加工のフライパンに、発がん性が確認された有機フッ素化合物PFOAの使用が懸念されることがあります。
PFOAの安全性についての発端は、2005年に米国環境保護庁(US-EPA)が、野生生物や人の血液を含め広く環境から検出されているPFOAの安全性に関するドラフトリスク評価報告書を公表したことに始まります。
2006年には米国環境保護庁が「PFOA自主削減プログラム(スチュアートシップ・プログラム)」を発表。世界のフッ素化学メーカー8社がこれに参加し、2015年にはPFOAと関連物質を使用した製品の製造を完全に終了しています。
PFOAとその塩については「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)でも昨年(令和3年10月22日)より第1種特定化学物質に指定されており、製造又は輸入の許可(原則禁止)、使用の制限、政令指定製品の輸入制限や第一種取扱事業者に対する基準適合義務及び表示義務等が規定されています。
現在のフッ素樹脂加工の原材料は、PFOAが使用されていないものになっています。つまりフッ素脂加工製品にはPFOAが使用されていませんので、安心してお使いください。
また、PFOA全廃前のフライパンに加工されていますフッ素樹脂加工につきましては、フライパンの中からは検出されていないことが多くの機関から報告されています。
PFOAの昇華温度はフッ素樹脂加工時の熱処理温度より低いことから、コーティング膜においてPFOAは揮発または分解して残存していないと考えられています。
参考記事:フッ素樹脂加工(テフロン加工)のフライパンのメリットは?長持ちさせるコツも解説
PFASの規制
PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の略称)は、ほぼ全てのフッ素化合物が該当し、PTFEやPFAなどを含み10,000種類以上の物質があります。
難分解性をもつPFASは、長く環境に残留する可能性が高いことから、排出量を最小限に抑えるため、欧州で規制が検討されています。PFASが規制されるとEU域内では、ほぼ全てのフッ素化合物の製造、上市、使用が禁止されます。
フッ素樹脂(ポリマーPFAS)の規制の影響について
今回の規制対象には、極めて安定しており毒物学上、環境上の懸念がないとされるフッ素樹脂を含む、フッ素化合物の全般が含まれます。
フッ素樹脂が規制されることで、EU圏では自動車、半導体、化学工業、航空宇宙、医療医薬などさまざまな業界で使用できなくなります。またその影響は、EUを超えて世界の産業に影響を与える可能性があります。
まとめ
フッ素樹脂加工のフライパンで指摘される有害ガスの発生は、空焚きによって260℃以上になった場合に注意が必要です。万一、空焚きに気が付いた際はすぐに換気し、体調に異常を感じたら医療機関に相談しましょう。
また発がん性が確認された物質PFOAは、すでにフッ素樹脂加工の原材料には使われなくなっています。
PFASは、ほぼ全てのフッ素化合物が該当し、PTFEやPFAなどを含み10,000種類以上の物質を含みます。フライパンなどに加工されているPTFEなどのフッ素樹脂は、極めて安定しており毒物学上、環境上の懸念がないとされています。
吉田SKTでは、工業用フッ素樹脂加工(製造業の企業様が使用する機械や部材への、フッ素樹脂などを使用した表面処理)を承っております。
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