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フッ素樹脂加工(テフロン加工)のフライパンのメリットは?長持ちさせるコツも解説

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フッ素樹脂加工フライパン

んにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです

吉田SKTではテフロン™フッ素樹脂コーティングや表面処理でお客様の生産設備のお悩みを改善しています。

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フッ素樹脂加工とは、主に金属やセラミックス基材の表面にフッ素樹脂を塗膜化する加工のことです。この記事では、フッ素樹脂加工の製品を検討・使用するかたに向け、フッ素樹脂加工の概要を解説します。また、フッ素樹脂加工のフライパンを使うメリット・デメリット、お手入れ方法、長持ちさせるコツも紹介しますので、ぜひお役立てください。

フッ素樹脂加工とは?

フッ素樹脂加工とは、フッ素樹脂を金属やセラミックスなどの基材の表面に塗膜化する加工のことです。フッ素樹脂と基材は、プライマーと呼ばれる下地により接着されています。

フッ素樹脂加工後の基材には、モノが付着しにくくなったり、表面のすべりが良くなったりという特性が付与されます。

「テフロン」とは違う?

フッ素樹脂の総称として、テフロンという呼び名を使う人は数多くいます。しかし、実際には、テフロンはフッ素樹脂の一種に過ぎません。テフロンはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの商品名で、開発元のデュポン社(現ケマーズ社)により商標登録されています。

デュポン社(現ケマーズ社)は、テフロン樹脂を加工したフライパンにより、テフロン加工という名称を社会に浸透させました。現在ではフッ素樹脂よりもテフロンの名称のほうが良く知られることとなりました。なお、ほかの化学メーカーでもフッ素樹脂は製造されており、それぞれ異なる商品名で売り出されています。

>テフロンとは?テフロン™樹脂の特徴や性質、フッ素樹脂との違いまで解説

さまざまなフッ素樹脂加工

もっとも身近なフッ素樹脂加工品として調理道具のフライパンがあります。フライパンには、フッ素樹脂加工が施されたものがよく見られ、メーカーによってそれぞれ特徴が異なっています。これらのフライパンのフッ素樹脂加工であるマーブルコート・ダイヤモンドコート・ハードコートを紹介します。

マーブルコート

マーブルコートとは、大理石調の見た目のフッ素樹脂を使った加工です。マーブルコートされたフライパンの表面には、鉱物の細かい点がひしめきあっています。

マーブルコートの大理石調の表面は凹凸があり調理道具などとの擦れが低減されて、フライパンが摩耗しにくくなります。

ダイヤモンドコート

マーブルコートでは、フッ素樹脂に鉱物を混ぜていました。一方、ダイヤモンドコートでは、フッ素樹脂にダイヤモンドを混ぜたものを使います。

ダイヤモンドは非常に硬度が高い物質です。そのため、ダイヤモンドコートされたフライパンは、摩耗に対して優れた耐久性を発揮します。

ハードコート

一般的なフライパンのフッ素樹脂加工は、プライマー・ミドルコート・トップコートの3層構造のものが多く見られます。

ハードコートではミドルコートやトップコートにセラミックを混合し、フライパンの摩耗に対する耐久性を向上させています。

フッ素樹脂加工のフライパンを使うメリット・デメリット

フッ素樹脂加工フライパンのメリット

フッ素樹脂加工のフライパンは、調理のしやすさから人気です。ここではフッ素樹脂加工のフライパンを使うメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

フッ素樹脂加工をした製品には、「付着のしにくさ」「すべりの良さ」が付与されます。フッ素樹脂は表面エネルギーが小さく、触れあった物質の付着を防ぎます。

フッ素樹脂加工のフライパンを使うメリットは、以下のとおりです。

・食材がくっつきにくい、焦げにくい
・油の量を少なくしても調理できる
・汚れが落ちやすく、お手入れが楽になる

ほかにも、コストパフォーマンスの良さや、取り扱っている店舗が多く買いやすい点も、フッ素樹脂加工のフライパンのメリットといえます。

デメリット

フッ素樹脂加工のフライパンを使うデメリットは、以下のとおりです。

・フッ素樹脂加工に寿命があり、数年単位で買い換える必要がある
・調理をしているときや、洗っているときなどに傷つけるとフッ素樹脂がはがれやすい
・食材を長時間入れておけない
・強火に弱い

フッ素樹脂加工のフライパンはいつ買い替えるべき?

フッ素樹脂加工フライパンの買い替え時期

フッ素樹脂加工のフライパンは傷付きやはがれなどでその効果は、1~3年程度でなくなります。使い勝手が悪くなってきたとき、見た目が明らかにおかしいときには、そのフライパンを買い換えましょう。そのまま使用していても、はがれてしまったフッ素樹脂加工は回復しません。

麺類など柔らかい食材がくっつくようになった、焦げた部分がこびりついてお手入れが大変になった、フライパンの表面に傷が見える、などの状態が買い換えの目安です。

フッ素樹脂加工のフライパンはどう手入れすればよい?

フッ素樹脂は、プラスチックのため金属に比べると柔らかい性質があります。調理後にはやさしく洗いましょう。金属製のたわしや研磨剤が入った洗剤などは、フッ素樹脂を傷つける原因になります。スポンジで、軽めに洗いましょう。フッ素樹脂が加工されていれば、ゴシゴシこすらなくても汚れが落ちるはずです。

仮に、焦げついてしまった部分があれば、フライパンにお湯をはってしばらく放置してみましょう。お湯で焦げつきが浮き上がってくる可能性があります。

フッ素樹脂加工のフライパンを長持ちさせるコツは?

フッ素樹脂加工は、使っているうちにはがれてきます。フッ素樹脂加工のフライパンを長持ちさせるコツを紹介します。

火力は「中火以下」にする

高温で長時間調理すると、フッ素樹脂が劣化してはがれやすくなります。火力は中火以下にし、加熱しすぎないように注意しましょう。フライパンの表面に水を落としたときに、くるくると水滴が転がるくらいの熱さが理想です。

フッ素樹脂加工のフライパンにはアルミニウム合金のものが多く、熱伝導性に優れています。中火以下の温度でも、十分調理は可能と考えられます。

空焚きをしない

フッ素樹脂加工のものに限りませんが、フライパンの空焚きを避けましょう。空焚きとは、油や水、食材などを入れない状態でフライパンを加熱することです。空焚きをするとフライパンの表面温度が急激に上昇してしまいます。フッ素樹脂が傷んだり、フライパンが変形したりするおそれがあるため注意しましょう。

金属性の調理道具を使わない

硬い金属製の調理道具は、フッ素樹脂の表面を傷つけてしまいます。フライパンの上で食材を切る、などの作業は避けたほうが無難です。また、樹脂製のへらやシリコン製のへらなど、柔軟で先端が尖っていない調理道具を使いましょう。

調理後すぐに冷やさない

調理後のフライパンには、熱いうちに水をかけてはいけません。フッ素樹脂と金属は、それぞれ熱膨張の程度が異なるためです。金属とフッ素樹脂が急激な温度変化により異なる挙動を起こすことでフッ素樹脂加工が剥離する可能性があります。フライパンを冷ます時間がないときは、ぬるま湯で洗いましょう。

食材を入れたまま保存しない

調理後は、フライパンから皿などに速やかに料理を移しましょう。フライパンに入れたまま放置したり、フライパンごと冷蔵庫に入れたりすると、フッ素樹脂がはがれやすくなります。

フッ素樹脂加工のフライパンの表面には細かな隙間(ピンホール)があり、隙間を通った成分は、フッ素樹脂をフライパン本体から浮き上がらせてしまいます。特に、塩分が強い食材は、金属を腐食させるため注意が必要です。

フッ素樹脂加工の製品で注意する点

フッ素樹脂加工の製品で特に注意したい点が、フッ素樹脂の分解ガスです。一時的に人体に悪影響を及ぼすため分解ガスに注意する必要があります。

高温で発生する有毒ガス

フッ素樹脂の一種であるPTFEは、表面温度が260℃から劣化が始まり、360℃程度で分解ガスが発生するといわれています。 分解ガスはフライパンが過熱しすぎて高温になることで発生します。空焚きを避け、分解ガスを発生させないようにしましょう。フッ素樹脂の分解ガスには一時的な症状を発生するものもありますが、有毒なガスも含まれるため、空焚きに気がついたらすぐに換気を行い、体調に異常を感じた場合は速やかに医療機関に相談しましょう。

>フッ素樹脂の安全性とは?フッ素樹脂加工製品を使うとき気になる安全性について解説

まとめ

フッ素樹脂加工のフライパンには、食材がくっつきにくい、お手入れが簡単にできる、などのメリットがあります。フッ素樹脂加工を長持ちさせるために、高温調理や空焚き、金属製の調理道具の使用などを避ける必要があります。

吉田SKTは、工業用のテフロン™フッ素樹脂コーティングや機能性表面処理の加工メーカーです。米国デュポン社(現ケマーズ社)とLicensed Industrial Applicator(工業用品塗装指定工場)の契約を結び、さらには独自技術による表面処理の提供も可能です。

吉田SKTのご提供するフッ素樹脂加工については、まず、フッ素樹脂コーティング(テフロン™コーティング)の情報をご覧ください。