表面処理のご相談

メッキとは?種類と特徴、他の表面処理との違いやメリット・デメリットまで解説

メッキ加工とは

製品の表面処理をする方法のひとつにメッキがあります。どのような表面処理なのか、くわしく知りたいと考えているかたもいらっしゃるでしょう。
この記事では、表面処理方法の一つ「メッキ」の種類や特長、処理工程などを解説します。また、塗装やアルマイトなどの他の表面処理との違いも解説します。

メッキとは

メッキとは、薄い金属の膜を製品の表面に加工する技術を総称する言葉です。メッキは表面処理の一つですが、塗料を塗膜にする塗装とは異なり、素材の表面をメッキで覆う処理を行います。

メッキによって製品の見た目は美しく仕上がり、劣化やサビ、摩耗の予防効果も期待できます。メッキの語源は、「滅金(めっきん)」にあるという説があります。滅金とは水銀に金を浸す作業で、水銀で覆われて金が無くなったように見える状態に由来する言葉と言われています。

口伝によって「めっき」と呼ばれるようになり、ひらがなで書くのが正しい表記方法とされています。しかし、現代では「メッキ」とカタカナで記載されるのが一般的です。本記事でもカタカナの「メッキ」を用いて解説しています。

メッキの目的と特徴

メッキは金属製品だけでなく、ガラスやプラスチックなどの素材にも処理が可能です。メッキにより素材にさまざまな特性を付加でき、強度や耐久性、防食性を高めることができます。また、メッキはさまざまな種類の素材に処理できるうえに、手頃な費用で製品の見た目をきれいに仕上げることもできます。

メッキは目的により、主に3つの種類に分類されます。以下で、くわしく解説します。

1.特殊な性質や機能の追加

メッキの目的・機能付加

機能を追加するためのメッキは工業用途が多く、加工した製品にメッキの特性を付与するために用いられています。たとえば、水を弾きやすくする、光の反射を抑えるなどの特性があげられます。また、熱伝導率を高くする熱特性や、電流が流れやすくする電気特性、摩擦による消耗を抑える耐摩耗性を高めることも可能です。これらを総称して、「機能メッキ」と呼びます。

2.防食

メッキの目的・防食

防食を目的とするメッキでは、防錆や鉄の腐食防止効果が期待できます。また、製品の防食だけでなく、表面の強度を高めて耐久性を向上させたい場合にも有効です。防食・防錆を目的にしたメッキのことを、「防食メッキ」や「防錆メッキ」と呼びます。

3.装飾

メッキの目的・装飾

製品の表面を装飾する目的で、メッキが施される場合もあります。均等の厚さに処理することで、見た目を美しく仕上げられます。身の回りで使用されているメッキ製品のほとんどは、装飾目的のメッキ加工が施されているといっても過言ではありません。装飾を目的にしたメッキのことを「装飾メッキ」と呼びます。

メッキの方法は大きく分けると2種類

メッキの処理方法は、大きく分けて乾式と湿式の2つがあります。以下でそれぞれの特徴を解説します。

1.乾式のメッキ処理方法

乾式メッキ

乾式とは、真空状態の中でメッキする方法のことです。メッキに使用する金属をイオン化もしくはガス化を行い、製品の表面にメッキを蒸着させる加工方法です。一般的に、「真空蒸着メッキ」と呼ばれています。メッキの主流は後述する湿式ですが、乾式も一定の割合で使用されています。乾式の代表的なものは、物理蒸着や化学蒸着メッキなどです。

2.湿式のメッキ処理方法

湿式メッキ

湿式とは、電解質水溶液に漬けながらメッキを施す方法のことです。一般的にメッキと呼ばれる表面処理は湿式で加工されるケースがほとんどです。湿式のメッキ処理は、電気メッキや無電解メッキ、置換メッキの3種類に分類されています。

以下で、3種類の加工方法の特徴やメリット・デメリットを解説します。

置換メッキ

置換メッキとは、イオン化傾向の差によりメッキ加工する方法です。たとえば、鉄の表面に銅メッキ加工を施す際は、硫酸銅溶液に漬けて化学反応で鉄を溶出させ、製品の表面に溶液中の銅イオンを析出させてメッキ加工します。電気エネルギーや還元剤を用いないメリットがあります。

電気メッキ

電解質水溶液と電極を用いてメッキ処理する方法のことを、電気メッキと呼びます。メッキの材料を陽極にし、製品を陰極にして電流を流すと金属イオンが陽極から陰極に移動し、製品の表面にメッキが析出します。電気メッキは短時間かつ安いコストでメッキできる反面、製品の形状次第で膜厚にばらつきが出やすく、均等の厚さにならないケースも少なくありません。また、メッキができる金属に限りがあることも考慮しておかなければなりません。

無電解メッキ

無電解メッキとは、金属イオンが溶出する溶液にメッキしたい製品を浸し、化学反応を引き起こすことでメッキをする方法です。一般的に、「化学メッキ」と呼ばれています。無電解メッキは、どのような形状の製品でも均一にメッキ加工を施せますが、電気メッキに比べて加工に時間やコストがかかります。無電解メッキを利用することでプラスチックへのメッキも可能になります。

メッキの処理工程

メッキの処理工程は、実際にメッキを処理する工程の前後に前処理・後処理があり、3つに分けられます。なかでも、メッキの仕上がりを左右する前処理の工程は重要です。前処理では、メッキしやすくするために製品の表面に付着した塵や油分、錆などの異物を除去する作業を行います。

後処理では、メッキを施した製品の水洗いや乾燥などの作業が必要です。ただし、製品の素材の種類によって、ベーキング処理や塗料・防錆材の塗布などを行う場合があります。後処理が終わった製品は、検査工程を経て完成です。

メッキに使用する金属の種類

メッキに用いられる代表的な金属の種類や特徴を以下で解説します。メッキをする場合は、用途にあった金属を選定しましょう。

ニッケル

ニッケルはメッキ液の配合を変更することで、ニッケルメッキの性質が変わる利便性の高い金属です。ニッケルを用いてメッキ加工すると、素材の表面に光沢を出せるうえに錆防止に有効な耐食性や、耐熱性を高めることができます。ニッケルをメッキ加工する場合は、電気メッキや無電解メッキが一般的です。

クロム

クロムは硬度が高いことから、耐摩耗性に優れている金属です。工業用では、摩耗しやすい機械の部品や自動車の部品などに用いられています。また、錆に強く耐食性に優れているため、水道管や自転車の部品などの水に濡れやすい製品に施されることが多いです。さらに光沢を出せるため、製品の表面を装飾する際に有効です。

銅は電流効率や熱伝導率が高い金属のため、下地メッキや機能メッキなどのさまざまな用途で使用されます。下地メッキとは製品の表面に銅メッキ加工し、異なる種類のメッキを施す加工方法のことです。機能メッキとして利用する場合は、銅メッキの電流が流れやすい性質や、熱伝導率の高さなどの特性を付与できます。主に、プリント配線基板などに用いられています。

金はメッキ加工に用いられる金属の中でも、電気伝導性に優れています。電気伝導性の高い性質があるため、電子部品などに使用されることが多いです。メッキ加工なら、金で電子部品を製造するよりも安いコストに抑えられます。また、金は腐食しづらい性質から、金メダルやアクセサリーなどの装飾を目的にした加工にも適しています。

銀は電気伝導率が高い金属として知られています。また、銀は強い輝きを放つため、ネックレスや指輪などのアクセサリーの素材にも用いられている金属です。銀の被膜は柔らかく、ステンレス製のネジや管楽器の装飾メッキなどに利用されています。

他の表面処理方法との違い

メッキとアルマイトの違い

メッキの他に、表面処理としてアルマイトを用いるケースがあります。メッキは製品の表面に金属の被膜を覆う処理方法であるのに対し、アルマイトは製品の表面だけでなく内部まで酸化被膜を生成する加工方法です。

メッキは表面の被膜がはがれても製品の表面があらわになるだけですが、アルマイトは製品と一体化しているため、はがすと製品自体がえぐられたように変形する可能性があります。

>アルマイト処理についての解説はこちら

メッキと塗装の違い

メッキは、素材の表面に金属の薄い膜を析出させる表面処理方法の1つです。利用する目的や使用する材料は、メッキを施す製品の種類や形状などによって異なります。また、機能の付与や装飾などの幅広い目的で加工されるのが一般的です。一方で、塗装は塗料を塗布や吹付により塗膜にする方法で、一般的には防錆や外観をよくする目的で利用されます。

>表面処理の基礎知識についての解説はこちら

メッキのメリット・デメリット

メッキのメリット

メッキを施すメリットは上述した3つの目的を満たすだけでなく、表面処理によるコストの削減や、金などの希少金属の節約につなげることができます。また、装飾品の外観を整える以外に、耐食性や耐摩耗性などの機能の強化にも役立っています。現代では、メッキ加工を用いた電子部品を多数使用していることから、メッキによる技術がなければ電気製品などは正常に動作しないでしょう。

メッキのデメリット

メッキのデメリットは、メッキ処理の前後に前処理や後処理などの工程があるため、作業に手間がかかることです。また、処理方法ごとに必要な設備が異なり、高額の初期費用やランニングコスト、廃液処理などの費用が発生します。さらに、メッキに使用する金属や加工方法は製品の素材との相性があるため、メッキできない場合もあります。また、経年劣化によりはがれたり、見た目がくすんできたりすることがあります。

まとめ

メッキ処理をする目的は、メッキによる性質や機能の追加・防食・装飾の3つがあげられます。製品にかかるコストを削減できる一方で、設備投資や維持費用などのコストが発生したり、素材によってメッキが施せなかったりする場合もあるため、製品や設備部品などにメッキする際は事前の検討と注意が必要です。

製品や設備への表面処理が目的に適しているかどうかは、生産性の良し悪しにも関わります。自社製品の生産性を上げたいときは、表面処理の加工メーカー、吉田SKTへご相談ください。吉田SKT、はさまざまな独自技術を用いて、効率の良い生産体制を確保するための最適な表面処理をご提案します。さまざま機能や用途でもご使用いただける表面処理の詳細は以下のページでご覧いただけます。