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テフロンとフッ素樹脂の違いとは?テフロンの特徴やフッ素樹脂メーカーまで紹介

製造業に携わる人はもちろん、一般の消費者のかたもきっと一度は耳にしたことがある「テフロン」。そもそもテフロンとは何のことなのでしょうか。たとえばフッ素樹脂のことをテフロンだと思っているかたもいるかもしれません。
この記事では、テフロンが開発された経緯から、テフロン樹脂の特性、フッ素樹脂との違い、各種フッ素樹脂(PTFE、FEP、PFA、ETFE、ECTFE、PCTFE、PVdF、PVF、TFE/PDD)の特徴、そしてフッ素樹脂を取り扱うメーカーまでご紹介します。

テフロンとは

テフロン®は、デュポン社のフッ素樹脂の登録商標です。現在、テフロン™はケマーズ社の商標になります。テフロンには、テフロン™PTFE、テフロン™FEP、テフロン™PFA、テフロン™AFの4製品があります。

※以下、デュポン社の登録商標時の「テフロン」を指す表記についてはレジスターマーク(Ⓡ)を付記しています。

テフロン®(PTFE)の発見

テフロン®の中で一番最初に開発されたPTFEは、1930年代に米国デュポン社で行われていたフロンガスの研究実験中に偶然発見されました。

写真提供:ケマーズ社

1938年4月6日の出来事

デュポン社の研究所、ジャクソン・ラボラトリーでは、若き日のロイ・プランケット博士が、新たな冷媒をつくる中間体としてTFE※に注目しており、TFEを充填した耐圧ボンベをドライアイスで冷凍保存していました。

※TFE・・・テトラフルオロエチレンと呼ばれる気体状の単体分子(モノマー)

1938年4月6日の朝、プランケット博士と実験助手はTFEの入ったボンベのバルブを開き反応器に送ろうとしました。ところが中からTFEは送られず、重さを確認すると、詰めた時と同じでした。そこでボンベを逆さにして振ってみると白い粉が出てきたことに興味を持ったプランケット博士は、ボンベを切り開いて中を確認したところ、白いワックス状の物質で覆われていました。

写真提供:ケマーズ社

プランケット博士の研究ノートによると、博士はこの白い固体の物質をC₂F₄の重合体(ポリマー)と推測しています。

写真提供:ケマーズ社

博士はこの白い固体をさらに2日間にわたって調査したところ、この物質が非常にユニークな特徴をもっていることを発見しました。

この白い固体がPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)です。

この日のプランケット博士の実験は失敗でしたが、TFEが重合してポリマーになったと確信した博士は、その後の2日間で現在知られているPTFEの特性の多くを把握しました。

【博士が把握した特性】

・非常に優れた耐熱性がある

・熱可塑性で燃えにくい 性質がある

・耐化学薬品性を有する  

※研究ノート和訳等参考

その後、PTFEは研究開発が進められ、デュポン社は1941年にPTFEを特許登録しています。

テフロン®の開発と販売~特徴と性質~

テフロン®の開発と販売

デュポン社はPTFEの発見後、さまざまなテフロン®の開発を行いテフロン®製品を販売します。テフロン®PTFEは1946年、量産が開始されます。1960年にはテフロン®FEPの販売を開始し、1972年にテフロン®PFAの販売が始まり1989年にテフロン®AFが発売されました。現在、テフロン™ブランドはテフロン™PTFE、テフロン™FEP、テフロン™PFA、テフロン™ETFEがケマーズ社より販売されています。

それぞれのテフロン®樹脂の性質は下記にご紹介します。

テフロン®の特徴

最初に開発されたテフロン®樹脂、PTFEは独特の分子構造によるさまざまな特徴があります。

PTFEの分子構造による特徴

PTFEの詳しい解説はこちらをご覧ください

テフロン®PTFEの分子構造と性質

PTFEは炭素(C)とフッ素(F)からなる直鎖状の高分子です。C-Cの結合部をフッ素原子が保護するような構造をしています。分子量が高く分子鎖が非常に長いことやC-F結合が非常に強い結合エネルギーを持っていること、表面エネルギーが極めて低いことによって非粘着性、低摩擦性、耐薬品性、耐熱性(連続使用温度が260℃)などの特徴を発揮します。

PTFEの詳しい解説はこちらをご覧ください。

PTFEの分子構造

テフロン®FEPの分子構造と性質

FEPはPTFEの主鎖に部分的に-CF₃の側鎖を持つことで融点が265-275℃になり、溶融樹脂の成形方法を用いることができるようになりました。成形しやすくなった一方で連続使用温度は200℃とPTFEに比べると若干低くなります。

テフロン®PFAの分子構造と性質

PFAはPTFEの主鎖に部分的にパーフルオロアルキル基の側鎖を持ち融点は290-310℃でFEPのように溶融樹脂の成形が可能です。連続使用温度はPTFEと同様に260℃です。

テフロン®AFの分子構造と性質

PTFE、FEP、PFAは結晶をもつ樹脂ですがテフロン™AFは非晶質な樹脂です。光の透過性に優れ、低反射や低屈折率などの光学特性をもちます。

テフロン™樹脂の用途

テフロン™コーティング

テフロン™樹脂の用途で最も知られているものとして、テフロン™コーティングやテフロン™加工があります。テフロン™コーティングは、テフロン™樹脂が持つさまざまな特性(非粘着性や撥水性、すべり性に優れ、薬品に強く、高い純粋性を持つなど)を部材の表面に、特殊な工程を経て塗装することで、付着防止、摩擦低減、薬品からの保護、純粋性の向上などの機能を付与する表面処理です。

工業用テフロン™コーティングの加工は、ケマーズ社のLicensed Industrial Applicator(工業用品塗装指定工場)に限られます。当社は、ケマーズ社と工業用テフロン™コーティングのライセンス契約を結んでおります。

テフロン™コーティングをご検討の際はお気軽にお問い合わせください。

テフロン™コーティングの詳細はこちらをご覧ください。

テフロン™樹脂の成形品

テフロン™樹脂は、シート材、パイプやチューブ、継手、ホース、容器などさまざまな形で利用されています。化学プラントはもちろんのこと、食品、医薬品の製造現場、半導体製造の設備や装置、自動車部品や通信機器、OA機器、免振装置や建築資材、次世代電池分野など用途の幅は多岐にわたります。

テフロン™樹脂とフッ素樹脂の違い

「テフロン™」と「フッ素樹脂」

「テフロン®」は、デュポン社のフッ素樹脂製品を表す登録商標でしたが、現在「テフロン™」はケマーズ社の商標となっています。一方、フッ素樹脂はフッ素原子を含むプラスチック原料の総称です。フッ素樹脂は9種類あり、それぞれ特徴が異なります。

下記に一覧でご紹介します。

フッ素樹脂一覧

PTFE

世界で生産量・使用量ともに最も多いフッ素樹脂です。白色で結晶性が高く、フッ素樹脂の特徴(耐熱性、耐薬品性、非粘着性、潤滑性)を最もよく反映しています。押し出し成形が困難で、圧縮による成形・切削加工が必要となります。

FEP

PTFEに次いで開発され、溶融性を改良したパーフルオロポリマーです。様々な成形方法が可能になり、これによりチューブやフィルムといった成形品が登場しました。耐熱性はPTFEより低いですが、耐薬品性・非粘着性に優れています。

PFA

FEPに次いで開発された樹脂です。FEPと同様に溶融成形が可能でありながら耐熱性にも優れています。

ETFE

上記の3種とは異なり、パーフルオロポリマーではないため耐熱性・非粘着性・離形性は劣るものの、低温での加工が可能で、比較的安価な樹脂です。

ECTFE

ETFEに比べて難燃性と硬さに優れます。また機械的強度や加工性においても優れた樹脂です。

PCTFE

樹脂としては透明で硬く、ガス透過性がフッ素樹脂の中でトップクラスに低い事が特徴です。成形には向かず、放射線で脆化を起こします。

PVdF

フッ素樹脂の中でも特に機械的強度に優れ、加工性も良く、耐候性・放射線にも強い樹脂です。その特徴から、身近な製品では釣り糸などに使用されています。

PVF

非常に成形が難しい樹脂のため、太陽電池用途などの高機能フィルムがメインとなっています。

TFE/PDD

透明で、吸湿性や屈折率が低いことが特徴の非晶性フッ素樹脂です。光学機器などに利用されています。

フッ素樹脂の詳しい解説はこちらをご覧ください。

フッ素樹脂の商品名とメーカー

テフロン™樹脂はケマーズ株式会社のフッ素樹脂の商標ですが、フッ素樹脂は多くのメーカーで独自に開発製造されています。国内の代表的な企業としては、ダイキン工業株式会社やAGC株式会社などがあり、ポリフロン™やフルオン®などの商品名で販売されています。

以下は代表的な商品名と販売メーカーです。

まとめ

テフロン®PTFEの開発から半世紀以上経ちますが、現在の先端産業においてフッ素樹脂は無くてはならないプラスチック素材です。吉田SKTでは、テフロン™コーティング、フッ素樹脂コーティングの加工はもちろん、PTFEシート、PFAシートを始め、PFAチューブ、PFAパイプPTFE含侵シート(ベルト)PTFE粘着テープPFA熱収縮チューブなどの取り扱いもございます。フッ素樹脂をお探しの場合やお困りの際はぜひお問い合わせください。