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コーティングとライニングの違いとは?

コーティングとライニングは、どちらも基材の表面に膜を形成する技術です。
しかし膜厚や用途、耐久性、コストなどに違いがあります。この記事では、コーティングとライニングの違いや選び方についてご紹介します。

コーティングとライニングの違い

コーティングとライニングの定義は、明確に定められていません。厳密な区分けの定義は存在しませんが、厚みが厚くピンホールレスの被膜で主に耐食性を必要とする場合にライニングと呼ばれることが多いです。

コーティングとライニングの膜厚の違い

被膜の厚みの違いは、コーティングとライニングの最も大きな違いです。

膜厚が厚い「ライニング」は、同条件においてコーティングと比較して耐久性に優れ、ピンホール(小さな穴)が発生しにくいという特徴があります。そのため、腐食性の高い環境や、高圧・高温の環境で使用される機器や設備の保護に用いられます。

一方、膜厚が薄い「コーティング」は、同素材のライニングと比較すると、コストが安く、加工が容易という特徴があります。そのため、耐食性がそれほど求められない環境や、部品の表面の保護、機能性の追加などに用いられます。

コーティングとライニングの主な用途の違い

コーティングとライニングは、それぞれ異なる用途で用いられています。

コーティング

コーティングの主な用途は、以下のとおりです。

  • 非粘着性、すべり性の向上
  • 防汚性・撥水性の向上
  • 装飾性・耐久性の向上

具体的には、以下の製品や分野に用いられます。

  • 自動車
  • 家電
  • 建築

ライニング

ライニングの主な用途は、以下のとおりです。

  • 腐食性の液体や気体との接触による基材の保護
  • 高圧・高温環境での基材の保護

具体的には、以下の部品や分野に用いられます。

  • タンク
  • 配管
  • 化学プラント

コーティングとライニングの耐久性の違い

膜厚の違いから、コーティングとライニングの耐久性には大きな違いがあります。

ライニングは膜厚が厚いため、コーティングと比較すると耐久性に優れています。腐食性の高い環境や高圧・高温の環境であっても、長期間使用することができます。

一方、コーティングは膜厚が薄いため、過酷な環境での耐久性はライニングに劣ります。腐食性の高い環境や高圧・高温の環境では、早期に劣化してしまう可能性があります。

コーティングとライニングのコストの違い

コーティングとライニングは、コストにも違いがあります。

膜厚が厚いライニングは、同じ素材で比較した場合コーティングに比べてコストが高くなります。これは、ライニング加工に高度な加工技術や高価な材料が必要となるためです。

一方、膜厚が薄いコーティングは、コーティングに比べてコストが安くなります。これは、コーティングの工程がライニングと比較して工数が少なく、用途によっては比較的安価な材料を使用できる場合もあるためです。

コーティングとライニングのメリット・デメリット

コーティングとライニングには、それぞれメリットとデメリットがあります。

  メリット デメリット
コーティング コストが安い/加工が容易 耐久性が劣る/ピンホールが発生しやすい
ライニング 耐久性に優れる/ピンホールのない被膜が得られる コストが高い/加工が難しい

コーティングとライニングの選び方

コーティングとライニングのどちらを選択するかは、用途や予算によって異なります。

耐食性や耐久性が求められる環境では、ライニングが適しています。一方、使用環境を考慮したうえでコストを抑えたい場合は、コーティングが適しています。

また、コーティングとライニングを組み合わせて使用することも可能です。例えば、耐食性や耐久性が求められる部分にはライニングを施し、コストを抑えたい部分にはコーティングを施すというように、それぞれのメリットを活かすことができます。

コーティングとライニングの応用例

例えば自動車の外装や内装には、美観や耐久性向上、撥水性のためコーティングが施されています。塗装にはガラスコーティングやフッ素コーティングを加工することで、長く美観を保つことができます。フロントガラスには撥水コーティングを加工することで、視認性の向上も期待できます。

また家電製品には、防汚性や撥水性を向上させるためにコーティングが施されています。例えば、電気炊飯器の内釜にはご飯のくっつき防止でコーティングがされていたり、アイロンの熱板にもすべり性向上のためにコーティングが加工されています。

さらに、建築物においても外壁やガラス表面に、装飾性や耐久性を向上させるために、コーティングが施されている場合もあります。

一方、化学プラントなどで使用されるタンクや配管などには、腐食性の液体や気体との接触からの部材保護のために、ライニングが施されています。また、高圧・高温環境での部材保護のためにも、ライニングが施されています。

このように、コーティングとライニングはさまざまな製品や設備に応用されており、私たちの生活を支える重要な技術となっています。

まとめ

コーティングとライニングは、どちらも基材の表面に被膜を形成する技術ですが、膜厚や用途、耐久性、コストなどに違いがあります。

コーティングは、膜厚が薄く、耐久性はライニングに劣りますが、コストが安く、加工が容易という特徴があります。主な用途は、非粘着性やすべり性の向上や防汚性や撥水性の付与、装飾性や耐久性の向上などです。

ライニングは、膜厚が厚く、耐久性に優れるという特徴があります。主な用途は、腐食性の液体や気体との接触からの部材保護、高圧・高温環境での部材保護などです。

コーティングとライニングは、それぞれにメリットとデメリットがあるため、用途や予算に合わせて適切な方法を選択することが大切です。

吉田SKTは、フッ素樹脂コーティングやライニングをはじめとした工業用製品への機能性コーティングの加工メーカーです。コーティングやライニングの選択で悩んだ時や、用途に適切な加工をお探しの際は、ぜひお問い合わせください。