表面処理のご相談

ピンホールとは?フッ素樹脂コーティングでの問題点や検査方法まで解説

こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

吉田SKTではテフロン™フッ素樹脂コーティングや表面処理でお客様の生産設備のお悩みを改善しています。

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フッ素樹脂コーティングにおけるピンホールは、塗膜の性能や寿命に悪影響を及ぼすことがあります。この記事では、一般的なピンホールについての解説と、特にフッ素樹脂コーティングにおけるピンホールの問題点や吉田SKTでのピンホール検査方法についてご紹介します。

ピンホールとは

ピンホールとは、一般的に針で刺したようなごく小さな穴のことをいいます。
これらは目に見えないような大きさのものがほとんどですが、例えば食品業界で、食品包装後の袋にピンホールが存在していると袋の中に酸素を通してしまうことで食品にカビが発生したり、酸化による劣化などの問題が発生したりする場合があります。

一般的なピンホール検査方法

一般的なピンホールの検査方法として、目視検査や気密検査、超音波検査、CCDカメラを使用した外観検査などがあります。
ピンホールは目に見えないほどの非常に小さなものも存在するので、目視では見落としてしまう可能性もあります。
そこで現在ではAIを用いたり、光を照射したりしてピンホールを検出するなどさまざまな手法がとられています。

フッ素樹脂コーティングにおけるピンホールの問題点

ではフッ素樹脂コーティングの場合、塗膜にピンホールがあるとなぜ問題になるのでしょうか?
通常のフッ素樹脂コーティング(膜厚:20~50μm)では、その塗膜上には目に見えない大きさの、基材まで達する無数の穴(ピンホール)が存在しています。
たとえば非粘着性やすべり性を与えるという用途の場合、これらのピンホールが性能に悪影響を及ぼすことはまれです。しかし耐食性が求められる用途の場合、薬液がピンホールを通って基材(金属)に達してしまい、基材に腐食が発生し穴があく原因になったり、塗膜がはがれる原因になったりします。

ピンホールをなくすためには、塗膜を塗り重ねることで厚膜化し、塗膜表面から基材まで通じたピンホールがないようにします。

ピンホールレス塗膜解説
ピンホールレス塗膜のイメージ図

吉田SKTで行うピンホール検査とは

防食目的のコーティングで、ピンホールレスの塗膜が必要な場合、加工後の塗膜に対してピンホール検査を行い、塗膜にピンホールが存在しないことを確認します。
吉田SKTでは、コーティング仕様や基材に応じて絶縁抵抗計やピンホールテスター、化学式検出法で検査を行っています。
これらの方法は塗膜に傷をつけることのない、非破壊タイプの検査です。

電気抵抗測定法(湿式)

絶縁抵抗計を用いた検査で、社内規定に基づいた絶縁塗膜に適用します。
電解液を含ませたスポンジや布をつけた電極を試験機に取り付け、試験液を含ませた電極で塗膜の上を走査します。
塗膜にピンホールが存在すると、ピンホール内部に浸透した試験液を通じて流れる電流を試験機が検出し、「抵抗値0(ゼロ)」を表示します。

放電検出法(乾式)

専用のピンホールテスターを用いた検査で、社内規定に基づいた絶縁塗膜に適用します。
検出器を接続し、塗膜の上を電極の先端で走査します。
塗膜にピンホールが存在すると、高い電圧がかかることにより空気の絶縁が破壊され放電が起こり、電流が流れます。
ピンホールがない場合、塗膜の破壊電圧は空気の破壊電圧よりも大きいため、放電は起こりません。
この電流の変化を検出器(ピンホールテスター)で捕らえることでピンホールの有無を確認します。
試験電圧は、お客様と協議の上決定した電圧を優先します。

化学式検出法

専用の検出液を用いた検査で、膜厚が300μm以上の導電性塗膜に対して適用します。
検出液を含ませたガーゼ等を塗膜上に設置し、ガーゼと基材(金属面)の間で30~40Vの電圧を1~2分間加えます。
ピンホールが存在する場合、検出液がピンホール中に染み込み通電することで基材(金属)と反応し、ガーゼ上に赤い斑点として検出されます。
この方法で用いる検出液は、鉄と反応するため、基材は鉄もしくはステンレスである必要があります。

ピンホール検査時は、定期的に校正を行った機器を使用し、判定基準や規格については、JISに準じた独自の社内規定に基づいて行っております。
また試験電圧に関しては、お客様との打ち合わせや協議の上決定した電圧を優先しております。

まとめ

このように、フッ素樹脂コーティングの目的に応じて実施されるピンホール検査にはさまざまな方法があります。仕様や用途に応じて適切な方法を選択することで、長く機器をお使いいただけます。

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吉田SKTは、テフロン™フッ素樹脂コーティングのライセンス加工メーカーです。テフロン™フッ素樹脂コーティングでお困りの際は、ぜひご相談ください。お客様の使用方法や環境、用途をお聞きしてさまざまなコーティングをご提案させていただきます。

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