【メルマガVOL.41】鉛筆で測る?コーティングの「硬さ」の話
こんにちは!㈱吉田SKTの小島と申します。
突然ですが皆様、「鉛筆の硬さ」を覚えていますか?
小学校の頃、「HBがいい」「2Bが書きやすい」などと言いながら鉛筆を選んでいた記憶がある方も多いのではないでしょうか。
ちなみに私はBがお気に入りの硬さでした。
最近では、スマホの画面保護フィルム「9H」といった表記を見かけることも多いですよね。
実はこの鉛筆の硬さ、表面処理(コーティング)の世界でも重要な指標として使われています。
コーティングの性能というと、離型性・耐薬品性・耐熱性などに注目されることが多いですが、実際の生産現場では「コーティング膜の硬さ(=摩耗しにくさ・傷つきにくさ)」も非常に重要なポイントになります。
今回は、フッ素樹脂コーティング膜のちょっと意外な硬さから、さらに硬さが求められる現場におすすめのコーティングをご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
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■INDEX■
1.コーティングの「硬さ」の測り方
2.ちょっと意外?ふっ素樹脂コーティング膜の硬さ
3.耐摩耗性が求められる現場へ
~セーフロン®LF⁺
~CHCコーティング~
~PIコーティング~
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1.コーティングの「硬さ」の測り方
塗装やコーティングの硬さを評価する一般的な指標のひとつが「鉛筆硬度」です。
鉛筆硬度は、一般的に「鉛筆引っかき硬度(鉛筆法)」と呼ばれる試験方法で計測します。
「鉛筆ひっかき硬度(鉛筆法)」とは、コーティング膜を鉛筆でひっかいた際の傷の有無により硬さを判別する試験方法です。
JIS規格に基づき、鉛筆を45度の角度でコーティング膜に押し当ててひっかき、コーティング膜の破れや傷を調べます。
コーティング膜に破れや傷が生じなかった最も硬い鉛筆の硬度が、そのコーティングの硬さ(=鉛筆硬度)となります。

鉛筆の芯は、粘土と黒鉛からできており、黒鉛の量を多くすると柔らかくなっていきます。
一般に市販されている鉛筆は、メーカーや製造ロットによって芯の硬度に
若干のバラつきがあるため、試験にはJIS規格で指定された鉛筆を使用します。
規格では
<柔らかい> 6B / 5B / 4B / 3B / 2B / B / HB / F / H / 2H / 3H / 4H / 5H / 6H <硬い>
となっており、
塗膜が硬いと
・擦れ傷がつきにくい
・摩耗に強い
といったメリットがあります。
※B:Black(黒い)
F:Firm(しっかりした)
H:Hard(硬い)
つまり、鉛筆硬度は
コーティング性能の重要な指標のひとつと言えるのです。
余談ですが、身近な例でいうと、私たちの「人間の爪」の硬さは「2H」程度だと言われています。
2.ちょっと意外?ふっ素樹脂コーティング膜の硬さ
ふっ素樹脂コーティングといえば、
・優れた離型性
・非粘着性
・低摩擦性
・耐薬品性
など、非常に優れた特性を持つコーティングです。
しかし、その特徴のひとつとしてコーティング膜が比較的柔らかいという点があります。
一般的なフッ素樹脂コーティング膜(PTFE)の鉛筆硬度はF~H程度。
意外にも、ふっ素樹脂の膜は「人間の爪」で傷ついてしまうほど柔らかいんです。
そのため、
・ワークが頻繁に当たる
・擦れが多い
・固形物が接触する
といった環境下では
コーティング膜に傷がついたり、摩耗が進んだりすることがあります。
また、200℃を超えるような高温環境では、コーティング膜はさらに柔らかくなる傾向があります。
ふっ素樹脂は「熱可塑性樹脂(加熱すると柔らかくなる性質)」のため、温度の上昇に伴い、コーティング膜は柔らかくなります。
その結果、外部との接触や摩擦によって摩耗や傷が発生しやすくなり、場合によってはコーティングの剥離につながることもあります。
また、表面に傷や摩耗が生じると溶融樹脂が付着・残留しやすくなり、「くっつき」の原因となることもあります。
3.耐摩耗性が求められる現場へ
そこで吉田SKTでは、コーティング膜の硬度を高めたラインナップをご用意しております。
(※以下にご紹介する数値は実測値であり、保証値ではありません)
~セーフロン®LF⁺~
弊社オリジナルの帯電防止ふっ素樹脂コーティング「セーフロン®」より、帯電防止性能を維持しつつ、潤滑性・耐摩耗性を追加したシリーズです。
※LF:Low Friction
セーフロン®LF⁺シリーズのコーティング膜の硬度は2H~3Hで従来セーフロン®の硬度HBを上回っております。
そのため帯電防止性だけでなく機械的強度が求められるケースなど、これまでのセーフロン®シリーズでは十分に対応できなかった用途で新たな選択肢となり得ます。
~CHCコーティング~
CHCコーティングは、セラミックスを使用した弊社独自のコーティング技術です。
セラミックスとふっ素樹脂の複合化により、
200℃以上の高温環境下でもコーティング膜の硬度低下が少なく、
ふっ素樹脂の特長である「非粘着性・離型性」を最大限に生かすことができます。
樹脂の溶着板や成型金型、ヒートシーラーなど、高温環境で離型性が求められる場面にご採用いただいております。
※CHC:Ceramic Hard Coat
~PIコーティング~
PI(ポリイミド)は、
プラスチックの中でも最高レベルの耐熱性を有し、
さらに電気絶縁性などに優れたスーパーエンジニアリングプラスチックです。
これらの成形品は、機械部品や構造部品など、工業用途で広く使用されています。
・耐熱性
・耐摩耗性
・機械強度
といった、スーパーエンプラの特性をコーティングとして金属表面に付与できるのが、
吉田SKTのPIコーティングです。
ふっ素樹脂単体では到達できないような鉛筆硬度8H程度の硬さがあり、
過酷な環境下においても安定した性能を発揮します。
弊社では、お客様のご使用環境やお困りごとを丁寧にヒアリングし、
数多くのラインナップの中から最適な表面処理をご提案しています。
「今のコーティング、すぐ剥がれてしまう……」
そのお悩み、もしかしたら「硬度」のミスマッチかもしれません。
最適な表面処理の選定、ぜひ吉田SKTにご相談ください。
今回もメルマガを読んでいただきありがとうございました。


