表面処理のご相談

製薬業界の課題と設備で改善できることとは?具体的な事例をご紹介

こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。
私たちは医薬品や食品業界向けの装置部品の表面処理において、豊富な経験を持つ表面処理の専門加工メーカーです。フッ素樹脂コーティングやその他の表面処理技術を通じて、お客様の生産上の問題を解決するお手伝いをしています。
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製薬業界は、医療の進歩に大きく貢献している一方で、さまざまな課題を抱えています。少子高齢化や、医療費の抑制、新薬の開発コストの高騰や競争の激化などの背景があります。
中でも、薬の生産コスト削減は製薬業界にとって避けては通れない課題のひとつです。
この記事では、薬の製造設備を改善しコスト削減に貢献できる方法をご紹介します。

内容をまとめた解説資料をダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

薬の生産設備改善とコスト削減とは?

薬は体に入る経路によって内服薬、外用薬、注射薬に分類できます。それぞれ製造方法や生産設備は異なりますが、設備の停止やメンテナンスの増加によって目に見えない形のコスト増加につながることがあります。

  • 内服薬
  • 湿布薬(外用薬)
  • 注射薬
  • 点眼薬(外用薬)
  • 便秘薬(外用薬)

現在使用中の設備を大きく変更することなくトラブルを解消したり、設備のメンテナンス性を向上させたりすることで、生産性や品質の向上、生産コストの削減、設備自動化などを実現した実際の事例をご紹介します。

内服薬(錠剤)品質向上

背景

一部の錠剤には、装置に使用しているステンレスと擦れることで、変色を起こしてしまうものがあります。多くは打錠後の検査・包装工程で発生します。包装機には多くのシュートやホッパーが使用されており、高速で流れる錠剤を変色させる場合があります。
錠剤の変色による不良が増えると、歩留まりが低下するのはもちろん、万一の場合は顧客やユーザーから指摘を受ける懸念もあります。

コストダウンの例

変色が確認される前工程のシュートやホッパーの表面に、滑りが良く、ステンレスとは異なる素材で表面処理を施すことで、変色を抑え、さらにすべり性の向上が図れます。

効果として、製品不良の低減だけでなく、包装機で薬が流れが良くなり、メンテナンス頻度や設備停止を減らすことができます。

外用薬の生産性向上

背景

外用薬の代表的なものに貼り薬があります。中でも鎮痛・消炎剤は広く使用されており、生産におけるコストダウンや生産効率の向上は欠かせません。

鎮痛・消炎剤は、薬剤を肌に密着させるためにポリマー素材など貼りつきやすい素材が使用されています。そのため、生産している過程でもフィルムからはみ出た膏体が設備に貼りつき、製品不良の発生や、設備停止、メンテナンス、清掃などのコストがかかります。

コストダウンの例

鎮痛・消炎剤は、生産過程でローラーやガイドを介して搬送されます。支持体に塗布された膏体は剥離フィルムで覆われて設備を搬送されていきます。膏体は柔らかく、貼りつきやすい素材のため、はみ出た膏体が少しずつ設備のローラーやガイドに付着してしまい、メンテナンスが必要になります。

解決方法として、ローラーやガイドへの付着防止コーティングが有効です。鎮痛消炎薬のように軟らかく貼りつきやすい素材は、一般的な非粘着性コーティングでは防止が難しく、くっつき防止効果に優れたものが必要です。スーパーCTTコーティングは、湿布薬が貼りつかない画期的な表面処理で、ローラーに加工することで設備停止を防止し、メンテナンス頻度を低減することができます。

注射薬製造のトラブル解決

背景

注射薬は体内に直接注射を行うため、液体を容器に充填して出荷されます。一般的な充填容器は、アンプルと呼ばれるガラス容器ですが、点滴のように、樹脂製のパックに充填されるものもあります。

点滴輸液パックは、樹脂フィルムを熱溶着する工程で密閉し製造されます。フィルムにはさまざまな素材があり、熱溶着工程で溶けたフィルムがはみ出して熱板に貼りついてしまうことがあります。溶着工程での付着トラブルは、輸液パックの生産性を低下させコスト増につながります。

コストダウン例

解決方法として、熱溶着板への離型コーティングがあります。熱溶着板は樹脂を溶かす必要があるため、200℃以上の温度で加熱します。離型コーティングには、高い耐熱性と付着防止性が求められます。熱溶着板にフッ素樹脂コーティングを加工することで、溶けたフィルムの付着を抑え、設備メンテナンス低減、コストダウンが期待できます。

点眼薬容器の無菌室自動化に貢献する方法

背景

点眼薬は、無菌室で樹脂製ボトルに充填されて出荷されます。クリーン度の高い無菌室では、人の介在を極力なくす必要があり、無菌室内に人が入らなくてもよい完全自動化が求めれますが、小さな点眼ボトルは搬送過程で詰まってしまうとメンテナンスのため人が介在する必要がありました。成形工程や充填工程は自動化されているなか、搬送部分の改善が自動化のカギになっていました。

点眼ボトルの詰まりの多くは、搬送部のすべり性の悪さに起因します。金属製のガイド部品は、摩擦抵抗が大きく、ボトルの底面のすべりが悪いためつぎつぎと流れてくるボトルが途中で詰まってしまいます。

自動化例

自動化実現のためには、フッ素樹脂による低摩擦性コーティングが有効と考えられました。しかし一般的なフッ素樹脂コーティングではすぐに詰まりが起きてしまいました。そこで接触面積を調整できるTPコーティングを加工したところ、長期間にわたりボトルのつまりを防ぐことができ、自動化を実現することができました。

外用薬容器の作業負担を軽減し作業効率を向上

背景

外用薬容器のひとつ、便秘薬は注入しやすいよう軟らかい樹脂容器に充填されています。充填後の製品はシューターから一度トレーに貯めて、次の工程に人の手で送り出す作業がありますが、トレーと容器のすべりが悪いと送り出しに力が必要で、時間もかかっていました。実際に確認させていただくと、この容器と金属製トレー表面とのすべり性は良くありませんでした。

まずは搬送用のシュートやガイドで実績のあるコーティングサンプルで効果を試したところ、金属表面そのままと比べてすべり性は向上したものの、お客様の期待していた効果まで今一歩の結果でした。軟らかい容器は、接触する際に接触面積が増加してすべりにくくなっている可能性を考慮し、更なる検討を重ねました。

作業負担軽減例

すべり性の良いフッ素樹脂で接触面の凹凸を調整できるコーティングのサンプルをご用意し、試していただいたところ、現状のトレーに比べてはるかに小さな力で製品をすべらすことができ、作業負担の軽減に成功。力が弱い作業者の方でも楽に送り出せるとご好評いただきました。

まとめ

医薬品のコスト削減は多くの要因が絡み合う複雑な課題です。しかし、吉田SKT独自の表面処理技術を活用することで、大掛かりな工程の変更や大幅な設備の改修をせずに、コスト削減を実現することが可能です。

私たちは、付着防止、詰まり防止、素材の表面改質を通じて、生産性や品質の向上、生産コストの削減、設備自動化など、医薬品のコスト削減と品質の向上をサポートします。

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