【開発品】薄膜フッ素樹脂コーティング 10under のご紹介

薄膜フッ素樹脂コーティング10under(テンアンダー)は、フッ素樹脂コーティングの性能を生かしながら、従来は加工が難しいとされた膜厚10μmでの薄膜加工を可能にした、画期的なフッ素樹脂コーティングです。
ここでは通常のフッ素樹脂コーティングと比較しながら、薄膜フッ素樹脂コーティング10underの特長をご紹介します。
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フッ素樹脂コーティングとは
フッ素樹脂コーティングとは、フッ素樹脂の非粘着性、撥水性、撥油性、低摩擦性などの優れた機能を生かした表面処理です。フライパンやホットプレートなどの生活に身近なものから、食品分野、自動車部品分野、半導体分野、化学工業分野などの工業分野で多様に活用されています。
薄膜フッ素樹脂コーティング10under開発経緯
さまざまな用途で活用されるフッ素樹脂コーティングは、基材の寸法安定性を重視する場合など、10μm程度の薄膜での加工をご要望いただくことがあります。しかし、通常のフッ素樹脂コーティングの場合、良好な外観や性能を保持するためには、少なくとも20-50μmの厚みが必要とされていました。
それでも薄膜での加工を依頼いただくような場合は、塗膜構造を変えた”変性タイプ”のフッ素樹脂コーティングをご提案することもあります。しかし、変性タイプでは必要とする機能が発揮できないといった課題もありました。
吉田SKTはその課題を解決するため開発に取り組み、生まれたのが「薄膜フッ素樹脂コーティング “10under”」です。
薄膜フッ素樹脂コーティング10underの特長
開発品の薄膜フッ素樹脂コーティング10underは、通常のフッ素樹脂コーティングと同等の非粘着性を持ちながら、10μm程度の薄膜で加工が可能です。そのため、通常タイプと比べて、膜の厚みによる寸法変化は低減されます。
また薄膜でありながら透けを抑え、外観不良となるのを防ぎます。

写真は通常タイプと10underを比較したものです。左側の通常タイプは、塗膜の隠蔽性(塗膜が基材を覆い隠し、透けないこと)が不十分なため、基材色が透けてしまっています。それに対し右側の10underは薄膜でありながら、しっかりと基材色を隠蔽できるため、透けなどはありません。




- 通常のフッ素樹脂コーティングと同等の非粘着性
- 10µm程度の薄膜加工が可能なため寸法変化を低減
- 薄膜でありながら透けを抑える
薄膜フッ素樹脂コーティング10underによる薄板基材の変形低減効果
10underは、膜厚が薄いことで基材への影響を低減できる効果もあります。
下図をご覧ください。厚み0.05mmのステンレス製(SUS304)の薄い板に通常のフッ素樹脂コーティングを加工すると塗膜の収縮によって基材が変形してしまいます。一方で、10underは塗膜が薄く、収縮が小さいため0.05mmの薄板に加工してもほとんど反りがありません。

このように、10underは従来のフッ素樹脂コーティングでは不可能と思われた薄い金属板の変形を最小限に抑えることができます。
※実際の加工品の場合、熱処理による変形等も考えられます。設計・仕様選定にあたっては、必ず当社までお問い合わせください。
10underと通常のフッ素樹脂コーティングの物性比較
種類 | 通常FEPコーティング | FEP変性タイプ | 10under |
---|---|---|---|
仕様品番 | PDE-234 | PDR-032 | 10↓FEP BK |
色 | 黒 | 黒 | 黒 |
膜厚(µm) | 25-56 | 12-15 | 10-12 |
接触角(°)H2O | 105-115 | 90-105 | 105-115 |
接触角(°)nHD | 45-50 | 35-53 | 45-50 |
鉛筆硬度(室温硬度) | 2H | 3H | HB~H |
溶融PPシート 離型テスト(180℃)※1 |
〇 | × | 〇 |
※基材:SUS304
※数値は実測値であり、保証値ではありません。
※実際の設計・仕様選定にあたっては、必ず当社までお問い合わせください。
(※1)溶融PPシート離型テスト方法
コーティング面をヒーターで180℃まで加熱し、PPシートを付着させた状態で引きあげた時の樹脂の付着を評価。
○:樹脂残りなし ×:樹脂残りあり
各フッ素樹脂コーティングの塗膜構造の違い
なぜ10underは膜厚10μm程度と薄膜であるにもかかわらず、通常タイプのフッ素樹脂コーティングと同等の非粘着性を発揮できるのでしょうか。その秘密は塗膜の構造にあります。

薄膜加工が可能な変性タイプのフッ素樹脂コーティングでは、フッ素樹脂とバインダー樹脂が混ざり合った塗膜構造となっています。バインダー樹脂はフッ素樹脂と基材を密着させるための接着成分で、フッ素樹脂のような非粘着性や低摩擦性を発揮することはありません。そのため、バインダー樹脂とフッ素樹脂が混ざり合うことで、使用する環境によってはその機能を十分に発揮できない場合がありました。
それに対し、10underの塗膜構造は、通常タイプと同じ構造です。そのため薄膜でありながら、通常タイプと同等の性能を発揮します。
10underのラインナップ
薄膜フッ素樹脂コーティング10underはPFAとFEPの2タイプがあります。カラーはそれぞれ黒色と緑色の2色をご用意しております。

薄膜フッ素樹脂コーティング10underについて詳しくお知りになりたい方はこちらよりお問い合わせください。
吉田SKTではテフロン™フッ素樹脂コーティングを始め、用途や環境に適したコーティングを開発、ご提案させていただいております。特殊な条件や、他社で適切な仕様が見つからないコーティングをお探しの際はお気軽にお問い合わせください。
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