【新開発】常温加工できる撥水・撥油性コーティング「セラシールドF CAU」のご紹介と、常温から低温乾燥で加工可能なコーティング一覧

公開日/2023.5.15 更新日/2023.10.31

このたび吉田SKTは、常温加工タイプの機能性コーティングとして、撥水性・撥油性に優れた「セラシールドF CAU」を新たに開発しました。

「樹脂やゴムなど、耐熱性が100℃程度の基材に、離型性・非粘着性や撥水性・撥油性などの機能を付与したい」

「既設の設備に、現地で加工できるコーティングを探している」

そんなお客様に向けて、この記事では新開発品「セラシールドF CAU」のご紹介をはじめ、常温から低温乾燥(※乾燥：硬化反応を含む)で加工できる吉田SKTのコーティングについてわかりやすく解説します。

常温加工タイプの機能性コーティングとは

常温加工タイプの機能性コーティングとは、防食性や非粘着性、撥水性といった機能を、常温加工で付与することができるコーティング技術です。一般的なフッ素樹脂コーティングは、400℃近い温度での「焼き付け工程」があるため、基材は金属やセラミックなど、耐熱性の高いものであることが必要です。

これに対し、「常温加工タイプの機能性コーティング」は、加工に高温の焼成工程を必要としないため、樹脂やゴムなどの耐熱性の低い基材や、焼成炉に入らないサイズの大型の製品、あるいは設置されている状態の設備にも施工することができます。コーティングの種類によっては現地で加工を行うこともできます。

※樹脂やゴムは多様な種類、添加材等があるため、事前に十分な確認テストが必要です。
※実際の設計･仕様選定にあたっては、必ず当社までお問い合わせください。

もともと常温加工タイプの機能性コーティングのひとつとして、「セラシールドF」がありました。

セラシールドFは、低温でコーティング可能なフッ素系のコーティングです。耐薬品性に優れ、ガスや化学薬品に対する腐食防止や、汚れ付着防止などに役立ちます。

しかし、セラシールドFは油(nHD)のはじきが悪く、油が濡れ広がりやすいため、相手材や使用条件によっては防汚性に不安がありました。

そこで開発されたのが撥水性や撥油性を向上させた「セラシールドF CAU」です。

「セラシールドF CAU」は、「セラシールドF」の耐薬品性に加え、水や油のはじきを改善したグレードです。

下の画像は、液のはじきを評価するため、水とnHDを用いて接触角測定を行った際の比較画像です。

「セラシールドF CAU」は、「セラシールドF」と比べて接触角が大きく、撥水性、撥油性が向上。特に撥油性が大きく改善しています。

さらに、油汚れの付着性を評価するため、以下の試験を行いました。

油の疑似汚れとして、JIS L 1919 C法の「親油性汚染物質3(総合的な親油性汚染試験用)」を試験液とし、汚れの拭き取り性と液切れ性を評価しました。

JIS L 1919 C法　親油性汚染物質3 の成分については下表をご覧ください。

PVC基材に「セラシールドF」、「セラシールドF CAU」を加工し、コーティング面の拭き取り性能を比較しました。

それぞれに試験液2μLを滴下し、1分間放置した後、10往復の空拭き試験を行いました。

下の写真は、滴下1分後、拭き取り前の様子です。

加工なしのPVCに滴下した試験液は大きく広がりました。

「セラシールドF」は試験液が広がっているのに対し、「セラシールドF CAU」は試験液をはじき、広がりを抑えています。

そしてこちらが、10往復の拭き取り後の様子です。

拭き取り試験後、加工なしのPVCは一部試験液が拭き取れずに残りました。

「セラシールドF」、「セラシールドF CAU」は共に試験液を拭き取ることができました。

拭き取り性評価と同様の試験液を使用し、液切れ性の評価を行いました。

それぞれのコーティングを加工した丸棒（左：セラシールドF　右：セラシールドF CAU）を試験液に浸漬した後、等速で引き上げ、時間経過ごとの液残りを評価しました。

液切れの様子を動画でご覧ください。

「セラシールドF」では試験液が途中で留まり、残っています。いっぽう「セラシールドF CAU」は試験液が流れ落ち、油の液切れ性がよいことが確認できました。

このように、撥水性、撥油性、油の液切れ性能を大きく向上させたコーティングが「セラシールドF CAU」です。もちろん、「セラシールドF」と同様に、常温での加工が可能です。

吉田SKTでは「セラシールドF」、「セラシールドF CAU」の他にも、常温から加工が可能な機能性コーティングをご用意しております。

防食性、耐摩耗性、離型性・非粘着性など、様々な機能をもったコーティングがあります。

常温から加工可能な機能性コーティングをまとめた資料はこちらからダウンロードいただけます。

各コーティングの詳細は、以下一覧のそれぞれのアイコンリンクからご確認ください。