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セラミックは私たちの身近な素材!セラミックの幅広い活用法について解説

こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

吉田SKTはセラミックへの加工実績が多数ある、フッ素樹脂コーティングの加工メーカーです。

セラミックと聞くと、陶器に代表されるような硬いが割れやすいというイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。現在、セラミックはさまざまな機能を付加され、私たちの生活の至る所で活用されています。
この記事では、セラミックの幅広い活用法について解説します。

セラミックとは

セラミックと聞くと、陶器を思い浮かべる方も多いでしょう。

セラミックとは、金属材料および有機化合物系の素材を除く、無機固体材料を指す言葉です。

材料は非金属に限定されず、金属と非金属を組み合わせたものや、金属酸化物を含む無機化合物材料もセラミックに含まれます。陶磁器やセメント、ガラスなどの天然系原料を用いるものを伝統的なセラミック、人工的に組成制御された材料を用いるものをファインセラミックと呼ぶ場合もあります。

そして、電子部品から建材、日用品、医療素材や医療器具にも使われており、私たちの身近に浸透している素材といえます。

セラミックとセラミックスの違い

セラミックに関する文章を読んでいて、セラミックスという用語を目にしたことはないでしょうか。セラミックとセラミックス、その違いはどこにあるのでしょう。

実際はセラミックとセラミックスとの間に、明確な線引きはないようです。

セラミックを原料、材料に対して用い、セラミックを使用して作られたものをセラミックスと呼ぶのが一般的な使い分けですが、名詞として使う場合はセラミックス、形容詞としてはセラミックと表現するケースもあるようです。

ただ業種や時代によっても呼び方の変遷がみられるため、セラミックとセラミックスはほぼ同義の意味で使われていると考えても問題はないでしょう。

セラミックの原料

セラミックの原料には、非金属元素からなるシリコンやダイヤモンド、無機化合物材料、珪石や粘土などの天然の材料などが用いられます。

セラミックについて「金属以外の」という表現が多用されますが、この場合の「金属」は金属結晶を指していて、元素としての金属はセラミックの材料に含まれます。ファインセラミックの主要な原料として知られるアルミナは酸化アルミニウムですし、マグネシアは酸化マグネシウムです。

非金属元素としては珪素酸化物や炭化物、窒化物が多く、窒化珪素や酸化珪素など天然には産出しない無機化合物材料も原料となります。

また天然素材を利用する陶磁器やガラスの主成分は、酸化珪素です。その他酸化アルミニウムや酸化鉄、石灰や酸化ナトリウムが含まれています。

ファインセラミックとは

ファインセラミックの原料は、高純度に精製した天然原料と化学的に合成された人工原料や化合物です。

これらの素材は精製や合成の過程で純度や粒子径、粒子の分布が適切に制御されており、さらにその素材を温度管理が施された焼成炉で焼くことで、従来の古典セラミックより高機能で耐性の強いセラミックが生成されます。

素材の厳選と製造工程の精密制御により、ファインセラミックはさまざまな特性を与えられ、新素材の旗手として半導体や機械部品などに用いられているのです。

セラミックの活用法

セラミックは、その特性を活かしさまざまな用途で活用されています。その用途は素材としてのみならずコーティング素材や吸着素材などの用法にまで及んでおり、技術の進歩に伴って活用範囲はさらに広がることが予想されています。

素材としてのセラミックの特徴

セラミックの第一の特徴は、非常に硬いことです。さらに摩耗しにくい・耐熱性がある・腐食に強いなどの特性も持っています。

ただ、硬い分だけ脆性が高い、つまり割れやすい点がデメリットです。高い硬度が靭性(素材の粘りや弾性)を低くさせ、衝撃などで割れやすい性質をもたらすのです。

しかし、セラミックはさまざまな元素を組み合わせられるため、元素の組み合わせによりこうしたデメリットを緩和するような特性をもたせることも可能です。

セラミックはこんな所にも活用されている

セラミック包丁

セラミックは純粋に素材として使われるだけでなく、多様な分野で活用されています。

意外な活用法として、細密なフィルター構造で空気中の不純物や有害物質を取り除くフィルターに使用されているケースなどがあります。

また元素の組み合わせによりさまざまな特性を創出できる点から、電気伝導性や半導電性、磁性を実現できるため、半導体や電子機器分野にも採用されています。

こうした工業的な分野から食器や包丁などの家庭用品まで、セラミックはさまざまな分野で活躍しているのです。

セラミックコーティングとは

セラミックコーティングとは、素材の表面にセラミック成分を主体とした被膜形成する表面処理技術です。セラミックコーティングはさまざまな種類があり、それぞれの特徴を生かした選択が必要です。

セラミックコーティングの目的

一般的にセラミックコーティングと呼ばれるものに、PVD法やCVD法による薄膜コーティングがあります。金属材料やプラスチックなどの表面をセラミックを主体とした薄膜で覆い、素材を保護することが目的です。

セラミックの被膜を作ることで元来の素材の耐久性や耐熱性を向上させ、さまざまな負荷から保護します。また、セラミックの成分の種類によって摺動性や耐摩耗性などの新たな機能を付加させることも可能です。

セラミックには靭性が低いという欠点がありますが、コーティングは耐衝撃性や靭性の部分をコーティングに担わせ、セラミックの持つ利点を素材に付加する相互作用的な側面もあります。

セラミックコーティングには、厚膜加工が可能なセラミック溶射から、遠赤外線効果を期待できるコーティングまでさまざまな種類があります。以下では、それぞれのセラミックコーティングについてご紹介します。

セラミックコーティング(PVD法・CVD法)

セラミックコーティング

PVD法やCVD法によるセラミックコーティングでは、加工方法や素材によりいくつかの種類があります。

窒化チタン(TiN)や窒化クロム(CrN)を用いる窒化物系コーティングは、主に耐摩耗性や耐熱性を向上させます。

酸化アルミ(Al₂O₃)や酸化珪素(SiO₂)を用いる酸化物系コーティングの主目的は、耐熱性や絶縁性の向上です。

炭化チタン(TiC)や炭化珪素(SiC)を用いる炭化物系コーティングは耐摩耗性や放熱性を高め、非晶質炭素のコーティングは耐摩耗性、耐溶着性を高めます。

他にも合金膜や多層化膜によるコーティングも可能であり、さまざまな機能性を付加できます。

セラミックコーティング(セラミック溶射)

セラミック溶射

セラミック溶射は、セラミックコーティングの加工方法の一種で、セラミック素材を溶融させ、母材の表面に吹き付けることで効率的に厚膜を形成し、コーティングを行う技術です。

プラズマ溶射機を用いて10,000℃を超える高温、かつ高速を発揮するプラズマ溶射機でセラミック素材を溶融させた状態で素材表面に吹き付けて成膜を行います。

関連記事:表面処理とは?種類や目的、処理方法など知っておきたい基礎知識を解説

セラミックコーティング(SGNコーティング)

セラミックコーティングには、セラミックとフッ素樹脂を組み合わせたタイプのコーティングもあります。吉田SKTのSGNコーティングは、遠赤外線効果や、スパッタの付着防止など、遠赤効果、耐熱性や非粘着性を必要とする用途で活用されています。

セラミックコーティングの用途、活用例についてまとめました。

用途 目的 コーティングの機能
ローラー 高温下での部材保護 耐摩擦 防錆
溶接ヒーターカバー 部材保護と溶接スパッタの付着防止 耐熱 非粘着性
玉子焼き型 遠赤外線効果 焼き付き防止 遠赤効果 非粘着性
食品用天板 遠赤外線効果 焼き付き防止 遠赤効果 非粘着性

吉田SKTのSGNコーティングの詳細はこちら

まとめ

セラミックは、私たちの身近な製品から機械部品や電子部品に至るまで、幅広い分野で活用されています。ファインセラミックの登場で、セラミックのイメージを刷新するような多彩な機能も実現可能となりました。

特に、他の素材に対して行うセラミックコーティングは、素材の機能を活かしつつ、耐久性や耐熱性などのさまざまな機能を付加し、性能を向上させます。

吉田SKTではセラミック基材へのコーティングや金属素材へのセラミックコーティングも承っています。ご興味がある方は、ぜひこちらの製品ページもご覧いただいて、お気軽にご相談ください。