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モーターとは?種類や仕組み、役割や特徴などをわかりやすく解説

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モーターとは、電気エネルギーを機械的エネルギーに変える機器のことです。この記事ではモーターの基本的な知識を整理したい人に向けて、仕組みや歴史、種類についてわかりやすく解説します。ぜひ役立ててください。

モーターとは

モーターとは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換するための機器のことです。磁界と電流の相互作用で発生する力を回転運動に変換するものが一般的で、電力を流し回転動作に変換するものを指すことが多いですが、広い意味では直線動作をするリニアモーターも含みます。モーターの消費電力は、全世界の40~50%も占めるとされ、日本国内では全消費電力の55%がモーターによるものと推計されます。モーターは日本語では「電動機」と呼ばれ、英語の「electric motor」に対応します。

モーター以外の動力源

モーター以外の動力源には、エンジンや蒸気機関があります。エンジンは内部で燃料を燃焼することで、得られたエネルギーを動力に変える仕組みです。飛行機や自動車など、大きな動力を必要とする機器で使用されることが多いです。

蒸気機関は、今では見かける機会も減っていますが、蒸気機関車などの仕組みに使われています。石炭を燃料にして、燃焼して発生した蒸気でピストン運動を発生させます。

モーターが持つ役割

モーターは、今や私たちの生活になくてはならない存在です。例えば、日本の製造業や社会インフラでは、機械設備にモーターが多数用いられています。身近なところでは、ATMや改札といった生活基盤にも、モーターが活用されています。またスマートフォンのバイブ機能やエアコンのファンやパソコンのハードディスクなど、身の回りの家電や生活用品にもモーターは使われています。

モーターの歴史

モーターは1700年代後半から1800年代の産業革命において、大きな発展を遂げました。それまで人は、人力や動物の力によって物を動かしていました。そこへ蒸気機関が登場し、蒸気機関車や蒸気船などが開発され、工業社会への大きな変化を遂げました。

しかし、蒸気機関は重くて大きいというデメリットを抱えていました。それを払拭する動力を模索するなかで、1821年にマイケル・ファラデーがモーターと発電機の原理を発見します。そして1887年にニコラ・テスラが初の実用的モーターとなる二層AC誘導モーターを発明。翌年にはモーターを動かす多相誘導発電機も開発し、特許を取得しモーターの実用化が始まりました。

モーターの特徴

モーターにはエンジンなどと比較し、異なる特徴がいくつかあります。ここでは3つ解説します。

エネルギーの変換効率が80%以上である

モーターの特徴の1つとして、高い変換効率があげられます。一般的にエンジンの熱効率は30~40%程度といわれており、残りの60~70%は熱として捨てられます。しかし、モーターの変換効率は80%以上であり、エネルギーの無駄が少ないことが特徴です。

制御しやすい性質を持つ

エンジンは多数の部品を使い、また電子制御のためにセンサーを用いるなど構造が複雑な傾向があります。一方でモーターは、構造がシンプルかつ部品も少なく済みます。また直接電気で動かすことができ、細かい制御がしやすい性質があります。

クリーンな動力源である

エンジンはガソリンや軽油を動力源にしており、燃焼時に二酸化炭素(温室効果ガス)の排出は避けられません。モーターはそれ自体から温室効果ガスの排出はないほか、モーターの運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えることも構造上可能です。

持続可能な社会の実現に向け、モーターはクリーンな動力源として大きな注目を集めています。

モーターの仕組み

次世代の動力源として期待が集まるモーターですが、その仕組みについて解説します。

磁力を利用している

モーターは電磁石のN極とS極が引き合う力と、同じ極同士が反発する力を利用します。磁石が引き合ったり反発しあったりすることで、上や下に力がつど発生します。その力が中央の回転軸を持つ磁石まで伝わり、軸が回るという原理を用いています。

実際には導線で磁界を発生させる

磁力の原理を利用していますが、実際のモーターは磁石ではなく、導線をコイル状に巻いて電力を流し、磁界を発生させています。このとき電流が流れる方向を制御することで、磁界を発生させる順番を変えて回転を発生させる仕組みになっています。

モーターの種類は主に2種類

モーターには、おもにDC(直流)モーターとAC(交流)モーターの2種類に分けられます。以下にそれぞれの特性について解説します。

DC(直流)モーター

直流の電源で動くモーターをDCモーターと呼びます。直流の電源のためプラスとマイナスの極は常に一定で構造がシンプルなため、高速回転が可能なだけでなく回転特性が安定しています。

またDCモーターは電動歯ブラシや小型扇風機などに使われており、生活にも多く活用されています。DCモーターには、後述する3つの種類に細分化できます。

ブラシ付きDCモーター

DCモーターと呼ぶ場合、ブラシ付きDCモーターを指す場合が多いです。ブラシ付きDCモーターの特徴は、回転子のコイルが整流子に接続され、その整流子と電極であるブラシとが接触することで電流が流れる仕組みです。

シンプルで機動力が大きく高回転というメリットがある一方、デメリットもあります。それはコイルと整流子は消耗品のため、寿命が短く定期的なメンテナンスが必要なことです。また電気ノイズなど騒音が起きやすいのもデメリットです。

ブラシレスDCモーター

ブラシレスDCモーターは、ブラシ付きDCモーターからブラシをなくしたものです。ブラシはモーターが回転を続けるために必要な部品ですが、ブラシレスDCモーターでは、ブラシのかわりに電子回路を使用します。

構造の違いによる自由度や、消耗品がないことによる寿命の伸び、電気的ノイズや機械的ノイズがないなどのメリットがあります。ブラシレスDCモーターはパソコンやハードディスク、冷蔵庫やエアコンなど幅広い生活家電に用いられています。

ステッピングモーター

ステッピングモーターは、別名パルスモーターと呼ばれます。その名の通り、パルス信号で回転角度や回転速度を制御し、動作を発生させます。パルス信号とは、電源のON・OFFを繰り返す電気信号で、1回のON・OFFで1パルスと数えます。モーターの出力軸は、1パルスの入力で1ステップ角度ごとに回転する仕組みです。パルス信号の数に比例して回転速度が変化します。

制御が安易かつ小型で低コスト、低い電圧で駆動させることができるメリットがある一方で、負担が大きすぎると制御が壊れるというデメリットがあります。普段は医療機器や製造機器、ATMやレーザープリンターで使用されています。

AC(交流)モーター

ACモーターとは、別名交流モーターと呼ばれます。DCモーターは直流電源で動くのに対し、ACモーターは交流電源で動きます。DCモーターの電流はプラスとマイナスが一定なのに対し、ACモーターは一定の周期でプラスとマイナスが入れ替わります。周波数に応じた回転速度を保つことしかできないことや、周波数が高すぎると起動できないなど、速度制御面でデメリットがあります。

ACモーターにも種類がありますので、順番に解説していきます。

誘導モーター

誘導モーターは、別名非同期モーターと呼ばれます。交流電源に直接接続して使用することができ、コイルに電流を流すことでコイル周りに回転磁界が発生します。発生した回転磁界により回転子に誘導電流が生まれ相互作用により回転します。回転する磁場より早かったり遅かったり、ずれて回転するのが特徴です。また電源の種類の違いから、三相式と単相式があります。ポンプや圧縮送風機など産業用途で用いられることが多いです。

同期モーター

同期モーターは、回転速度と同期速度が同じため、誘導モーターのようなずれがありません。また、電源に直接繋げられず、インバーターが必要なことが特徴です。同期モーターは速度が電源周波数に依存しない特性があります。

コンパクトなため、日常生活ではタイマーやテープレコーダーなどに使われますが、ハイブリットカーや電車の電動機、鉄鋼圧延機など、高出力が求められるシーンでも使用されています。

まとめ

モーターの歴史や仕組み、種類や特性についても解説してきました。モーターは私たちの生活に欠かすことができません。またクリーンな未来の実現へ向け、電気自動車(EV)などの重要な動力として今なお注目を集めています。

参考記事:電気自動車の導入が進む背景とは?メリット・デメリットについても解説

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