RoHS(ローズ)指令とは?10物質と閾値・REACHとの違い【2026年版】
こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。
吉田SKTではテフロン™フッ素樹脂コーティングや表面処理で、お客様の生産設備のお悩みを改善しています。
材料や部品に「RoHS対応品」と書かれていても、10物質すべてを確認したものなのか、均質材料の単位で評価されているのか、適用除外を利用しているのかまでは、表示だけでは分からないことも少なくありません。設計・調達の実務では、対象物質の名前や閾値に加えて、どの単位で判定し、どの資料を根拠にするのかまで押さえておきたいところです。
本記事では、EU RoHSの基本から、10種類の制限物質と閾値、均質材料の考え方、適合を確認するための資料、分析方法までをまとめました。中国RoHSや日本のJ-Moss、REACHとの違いも、2026年10月時点の公的な情報をもとに整理しています。
目次 [閉じる]
RoHSとは
RoHS(ローズ)とは、電気・電子機器(EEE:Electrical and Electronic Equipment)に含まれる特定有害物質の使用を制限するEUの指令です。
「Restriction of Hazardous Substances」を略した呼び名で、現在の基本となる法令はDirective 2011/65/EUです。正式名称は「Directive 2011/65/EU on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment」といいます。
目的は、人の健康と環境を守ること、そして使い終わった電気・電子機器を環境面で適正に回収・処分できるようにすることにあります。そのため企業には、製品を市場に出す前の段階から対象物質を管理し、規制値を超えない状態を保つことが求められています。
出典:EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」
WEEE指令との関係
WEEE指令(Directive 2012/19/EU)は、使用済みの電気・電子機器の回収や処理、リサイクルを主に定めた指令です。一方のRoHSは、製品に含まれる特定有害物質の使用を制限するためのルールです。どちらも電気・電子機器が対象のため、EUの規制を調べる際にはセットで参照されることがよくあります。
出典:EUR-Lex「Directive 2012/19/EU」
RoHS1からRoHS2、そして10物質へ
最初のRoHS指令(Directive 2002/95/EC、通称RoHS1)では、2006年7月1日以降に市場に出る新しい電気・電子機器について、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDEの6物質の使用が制限されました。その後、2011年にDirective 2011/65/EU(通称RoHS2)として全面的に改正(recast)され、対象範囲や適合評価、技術文書、CEマーキングを含む現在の枠組みが整えられています。
さらにCommission Delegated Directive (EU) 2015/863によって、DEHP、BBP、DBP、DIBPの4種類のフタル酸エステルがAnnex II(制限物質のリスト)に加わりました。適用開始は、一般の電気・電子機器が2019年7月22日、医療機器(体外診断用医療機器を含む)と監視・制御機器(産業用を含む)が2021年7月22日です。2026年10月時点の制限物質は、合計10物質です。

出典:EUR-Lex「Directive 2002/95/EC」、EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」、EUR-Lex「Commission Delegated Directive (EU) 2015/863」、EUR-Lex「Directive (EU) 2025/2456」、欧州委員会「RoHS Directive」
RoHSの対象となる電気・電子機器
RoHSでいう電気・電子機器(EEE)とは、少なくとも一つの機能を果たすために電流や電磁界を必要とする機器、または電流・電磁界の発生・伝送・測定に使う機器のことです。このうち、交流1,000V、直流1,500Vを超えない定格電圧で使うよう設計されたものが対象となっています。
具体的には、Annex Iで次の11カテゴリーに分類されています。
| カテゴリー | 主な対象 |
|---|---|
| 1 | 大型家庭用電気製品 |
| 2 | 小型家庭用電気製品 |
| 3 | IT・通信機器 |
| 4 | 民生用機器 |
| 5 | 照明機器 |
| 6 | 電気・電子工具 |
| 7 | 玩具・レジャー・スポーツ用品 |
| 8 | 医療機器 |
| 9 | 監視・制御機器(産業用を含む) |
| 10 | 自動販売機 |
| 11 | 上記カテゴリーに含まれないその他の電気・電子機器 |
出典:EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」
「適用対象外」と「適用除外」は別もの
RoHSには、そもそも指令の範囲に入らない「適用対象外」の機器と、対象機器の中でも特定の用途に限って制限物質の使用が認められている「適用除外(Exemptions)」があります。名前は似ていますが、意味はまったく異なるので注意しましょう。

| 区分 | 内容 | 根拠となる規定 |
|---|---|---|
| 適用対象外 | 大型固定式産業用工具、大規模固定設備、一定の輸送機器、能動型植込み医療機器、条件を満たす太陽光発電パネル、研究開発専用として企業間で提供される機器など | Directive 2011/65/EU Article 2(4) |
| 適用除外 | 対象機器のうち、特定の用途に限って制限物質の使用が認められるもの。用途、対象カテゴリー、有効期限が定められている | Annex III・IVなど |
適用対象外にはそれぞれ細かな定義や条件があるため、製品名だけで判断するのは禁物です。迷ったときは、Article 2(4)の条文にあたってください。
適用除外には有効期限があります。ただし、期限の18か月前までに更新が申請されていれば、欧州委員会が判断を下すまでは既存の適用除外が有効なままです。更新が認められなかった場合も、失効までには12〜18か月の移行期間が設けられています。自社で使っている適用除外の番号と更新状況を一覧にしておけば、設計変更が必要かどうかを早めに見極められるでしょう。
なお、2025年12月12日に官報に掲載されたDirective (EU) 2025/2456により、適用除外の申請は欧州化学品庁(ECHA)が受け付けて評価する仕組みに変わる予定です。新しい規定の適用開始は2027年8月13日です。
出典:EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」、欧州委員会「RoHS Directive implementation」、EUR-Lex「Directive (EU) 2025/2456」
RoHSの制限物質10種類と最大許容濃度
EU RoHSで制限されている10物質と、均質材料あたりの最大許容濃度は次のとおりです。
| 制限物質 | 略称 | 最大許容濃度 | ppm換算 |
|---|---|---|---|
| 鉛 | Pb | 0.1wt% | 1,000ppm |
| 水銀 | Hg | 0.1wt% | 1,000ppm |
| カドミウム | Cd | 0.01wt% | 100ppm |
| 六価クロム | Cr(VI) | 0.1wt% | 1,000ppm |
| ポリ臭化ビフェニル | PBB | 0.1wt% | 1,000ppm |
| ポリ臭化ジフェニルエーテル | PBDE | 0.1wt% | 1,000ppm |
| フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) | DEHP | 0.1wt% | 1,000ppm |
| フタル酸ブチルベンジル | BBP | 0.1wt% | 1,000ppm |
| フタル酸ジ-n-ブチル | DBP | 0.1wt% | 1,000ppm |
| フタル酸ジイソブチル | DIBP | 0.1wt% | 1,000ppm |
※ppm換算は、wt%の値を換算したものです。
最大許容濃度は、カドミウムだけが0.01wt%(100ppm)で、そのほかの9物質はいずれも0.1wt%(1,000ppm)です。適用除外が認められている用途は、この値とは別の扱いになるため、あわせて確認が必要です。
出典:EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」、EUR-Lex「Commission Delegated Directive (EU) 2015/863」、欧州委員会「RoHS Directive」
RoHS判定のポイント「均質材料」とは
均質材料(homogeneous material)とは、全体が均一な組成の一つの材料、またはねじを外す、切断する、砕く、削る、研磨するといった機械的な操作では別々の材料に分けられない材料の組み合わせのことです。
ここで押さえておきたいのは、RoHSの濃度判定は製品全体の重量で割った平均値ではないという点です。部品を材料ごとに分けて考え、一つひとつの均質材料が規制値以下かどうかが判断の基準です。

代表的な部品の場合、たとえば次のような材料ごとの確認が必要です。
| 部品例 | 確認する材料の例 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| ケーブル | 導体、被覆材、その他の構成材 | 被覆材はフタル酸エステル、金属部は鉛などの含有情報をチェック |
| コネクタ | 樹脂ハウジング、金属端子、表面処理など | 材質・表面処理の仕様ごとに、含有リスクと証明資料をチェック |
| プリント基板 | はんだ、銅、樹脂、レジスト、部品端子など | 基板一式の平均値ではなく、材料構成に沿った評価が必要 |
| 表面処理部品 | 基材、メッキ・化成処理・塗装・コーティングなど | 薄い表面層も確認の対象。仕様と均質材料の定義に沿って評価 |
出典:EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」
完成品メーカーの義務と、部品・材料の証明資料
RoHSの法的な義務は、製造者、認定代理人、輸入者、販売業者(ディストリビューター)と、事業者の立場ごとに定められています。なかでも完成品の製造者には、EU市場への上市(製品を初めて市場に出すこと)にあたって、次のような対応が求められています。
- 制限物質の規制値(Article 4)を満たすように設計・製造する
- 技術文書を作成し、内部生産管理の手続き(モジュールA)を行う
- EU適合宣言(EU Declaration of Conformity:DoC)を作成し、完成品にCEマーキングを表示する
- 技術文書とEU適合宣言を、製品を市場に出してから10年間保管する
- 量産品が継続して適合するための手順を整える

一方、部品・材料サプライヤーが取引先に出す「RoHS適合証明書」「不使用証明書」「含有化学物質調査回答」などは、完成品メーカーが技術文書をまとめる際の根拠資料という位置づけです。EU RoHSには、部品サプライヤー向けの共通様式として定められた「RoHS証明書」はありません。書類の名前や様式は取引先によって異なるため、求められている内容を事前に確認しておくのが確実です。
技術文書を作る際は、RoHSの整合規格として公表されているEN IEC 63000:2018を参考にするとよいでしょう。サプライヤーからの情報や材料情報、必要に応じた分析結果を組み合わせ、適合の根拠として整理しておくのが一般的です。
出典:EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」、EUR-Lex「Commission Implementing Decision (EU) 2020/659」
調達・設計担当者が押さえたい6つのステップ
調達・設計の現場でRoHS対応を進めるなら、次の6つのステップで整理するのがおすすめです。
| 手順 | 確認する内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 1. 市場・対象範囲 | EUで上市される電気・電子機器か、対象カテゴリーや適用対象外に当たるか | 完成品の販売市場と、部品の組み込み先も確認 |
| 2. 材料構成 | BOM、図面、材料仕様、表面処理仕様をもとに構成を整理 | 均質材料で評価できる細かさを意識 |
| 3. サプライヤー資料 | 対象物質、対象品番、発行日、根拠資料、変更履歴 | 「RoHS対応」の一言で済ませず、10物質すべてが確認範囲に入っているかをチェック |
| 4. 適用除外 | 利用している場合はAnnex III・IVの番号、用途、期限、更新状況 | 適用除外に頼っている部品を一覧にしておくと、変更時も慌てずに済む |
| 5. 分析 | 資料が不足する部位や、リスクの高い材料に合った分析方法 | XRFと物質ごとの精密分析を使い分け |
| 6. 変更管理 | 材料、仕入先、工程、処理仕様が変わったときの再評価 | PCN(変更通知)と化学物質情報の更新を連動 |
RoHS適合確認資料でチェックしたい項目
サプライヤーから資料を受け取ったら、次の項目に目を通しておくと安心です。
- 会社名、製品名、品番、材料グレード、処理仕様が特定できるか
- Directive 2011/65/EUと、改正後の制限物質10物質を確認しているか
- 規制値の判定単位が、均質材料の考え方と合っているか
- 適用除外を利用している場合、その番号と対象用途が書かれているか
- 材料宣言、成分情報、分析報告書など、判断の根拠が確認できるか
- 発行日、改訂番号、変更時の通知条件が確認できるか
不使用証明書は「言葉の意味」をそろえる
同じ「含まない」という趣旨でも、表現によって指している内容は同じではありません。取引先が求めている意味と、証明書の表現・根拠資料が一致しているかどうか、事前にすり合わせておくことが大切です。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| RoHS規制値以下 | 均質材料中の濃度が、最大許容濃度以下であること |
| 意図的添加なし | 製造時に、対象物質を意図して加えていないこと |
| 不検出 | 採用した試験法と、その検出限界・定量限界を前提とした分析結果 |
RoHS分析はXRFと精密分析の使い分けがポイント
RoHSの分析でまず使われることが多いのが、XRF(蛍光X線分析)です。試料を壊さずに短時間で元素を調べられるため、スクリーニング(ふるい分けの検査)に向いています。IEC 62321-3-1:2026(2026年5月発行の第2版)には、XRFで鉛、水銀、カドミウム、総クロム、総臭素などをスクリーニングする方法が定められています。
ただし、XRFで分かるのはあくまで元素の量です。「総クロム」が検出されても、それが六価クロムかどうかまでは分かりません。「総臭素」だけでPBB・PBDEを特定することもできないため、結果に応じて物質ごとの精密分析に進む必要があります。また、フタル酸エステルはXRFでは確認できないため、樹脂材料には別の分析が欠かせません。

| 確認対象 | 代表的な方法・規格 | ポイント |
|---|---|---|
| Pb、Hg、Cd、総Cr、総Brなど | XRF/IEC 62321-3-1:2026 | 元素のスクリーニング。Cr(VI)やPBB・PBDEなどの化学種までは特定できない |
| 金属の防食被膜中のCr(VI) | 比色法/IEC 62321-7-1:2015 | Cr(VI)の有無を調べる定性法 |
| 樹脂・電子部品中のCr(VI) | 比色法/IEC 62321-7-2:2017 | 樹脂・電子部品中のCr(VI)を定量 |
| PBB・PBDE | GC-MS/IEC 62321-6:2015 | ポリマー中のPBB・PBDEを測定 |
| DEHP・BBP・DBP・DIBP | GC-MSなど/IEC 62321-8:2017 | ポリマー中の4種類のフタル酸エステルを測定 |
出典:IEC「IEC 62321-3-1:2026」、IEC「IEC 62321-7-1:2015」、IEC「IEC 62321-7-2:2017」、IEC「IEC 62321-6:2015」、IEC「IEC 62321-8:2017」
表面処理は「工程で使う物質」と「完成品に残る物質」を分けて考える
六価クロムは、表面処理との関係でご質問の多い物質です。確認する際は、処理液に六価クロム化合物を使っているかという工程の情報と、完成した表面層に六価クロムが残っているかという製品の情報を、分けて考えることが大切です。
たとえば機能クロムメッキは、クロム酸を含む浴から金属クロムを析出させる処理です。処理浴に六価クロム化合物が含まれているからといって、それだけで完成品の六価クロム濃度を判断することはできません。反対に、クロメート処理のように完成した被膜に六価クロムが残る可能性がある処理では、その被膜も含めた確認が欠かせません。処理名だけで判断せず、処理仕様と完成品の証明資料をあわせて確認しましょう。
鉛フリーとRoHSの関係
鉛フリーは、RoHS対応の一部にすぎません。鉛を使わないはんだや材料に切り替えても、RoHSでは水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE、4種類のフタル酸エステルについても確認が必要です。
また、材料を置き換える際は化学物質だけでなく、はんだ付け温度や部品の耐熱性、接合部の信頼性、材料強度、供給の安定性への影響も見落とせません。材料の置き換えと工程条件をセットで評価しておくと、量産後のトラブルを防ぎやすいでしょう。
EU RoHS・中国RoHS・J-Moss・REACHの違い
海外向けの製品では、名前の似た制度をひとまとめにしてしまうと、確認漏れが起きがちです。販売する国・地域ごとに、制度を分けて整理しておくと安心です。
| 制度 | 対象・特徴 | 対象物質/主な要求 | 2026年10月時点のポイント |
|---|---|---|---|
| EU RoHS | EU市場に上市される電気・電子機器が中心。11カテゴリーと、指令上の適用対象外あり | 10物質。均質材料単位でCd 0.01wt%、そのほかの9物質0.1wt%。完成品はDoC、CEマーキングなどの手続きが必要 | 適用除外の見直しが継続中。2027年8月13日から申請の受付・評価はECHAへ |
| 中国RoHS | 中国の電器電子製品。达标管理目录の対象品は、限量要求と適合評価の対象 | 2026年1月1日から10物質で管理 | 2026年版目录は33製品群。追加分は2027年8月1日から。GB 26572-2025も同日施行予定 |
| 日本 J-Moss | 資源有効利用促進法とJIS C 0950にもとづく含有マーク表示・情報提供。指定7品目が対象 | 鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDEの6物質 | EU RoHSとは、対象品目・物質数・制度の仕組みが異なる |
| EU REACH | 化学物質、混合物、成形品を対象とするEUの化学物質規則 | Candidate Listの物質など。成形品に0.1wt%を超えて含む場合、Article 33の情報伝達義務がある | RoHSに適合していても、REACH対応まで済んだとは限らない。Candidate Listの更新は別途確認 |
出典:EUR-Lex「Directive 2011/65/EU(2026年7月1日時点の統合版)」、EUR-Lex「Directive (EU) 2025/2456」、中国 工業和信息化部「中国RoHS强制性标准助推家电行业绿色发展」、中国 工業和信息化部「政策解读:达标管理目录(2026年版)」、経済産業省「資源有効利用促進法 改正政省令Q&A集(含有マーク表示の7品目)」、ECHA「Communication in the supply chain」
中国RoHSは2026年から10物質へ
中国では、2024年6月29日に発布されたGB/T 26572-2011の第1号修改单(改正)によって、管理対象が従来の6物質から10物質に広がり、2026年1月1日から運用が始まっています。EU RoHSと足並みをそろえた形で、4種類のフタル酸エステルが加わりました。
2026年5月28日には、工業和信息化部が「电器电子产品有害物质限制使用达标管理目录(2026年版)」を公告しました。従来の12製品群を10製品群に整理したうえで23製品群が加わり、対象は全部で33製品群です。従来からの製品群は公告と同時に新しい目录で運用され、新たに加わった23製品群と、既存の製品群で範囲が広がった製品は2027年8月1日からの適用です。
あわせて押さえておきたいのが、強制性国家標準GB 26572-2025です。2025年8月1日に発布され、2027年8月1日に施行される予定で、従来の推奨性国家標準GB/T 26572-2011などを整理・統合した内容になっています。中国向けの製品は、EU RoHSの資料をそのまま流用できるとは考えず、対象製品の分類や表示、適合評価、施行日を個別に確認しておきましょう。
出典:中国 工業和信息化部「中国RoHS强制性标准助推家电行业绿色发展」、中国 工業和信息化部「工业和信息化部公告(达标管理目录 2026年版)」、中国 工業和信息化部「政策解读:达标管理目录(2026年版)」、中国 国家市場監督管理総局「GB 26572-2025」
日本のJ-MossはEU RoHSと仕組みが異なる
日本では、資源有効利用促進法とJIS C 0950にもとづき、次の7品目について6物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE)の含有マーク表示が義務づけられています。
- パーソナルコンピュータ、ユニット形エアコンディショナ、テレビ受像機、電気冷蔵庫、電気洗濯機、電子レンジ、衣類乾燥機
J-Mossは「日本版RoHS」と呼ばれることもありますが、EU RoHSのように一律で使用を制限する制度ではなく、含有の表示と情報提供が中心です。対象品目や表示のルールは、個別に確認が必要です。
出典:経済産業省「資源有効利用促進法 改正政省令Q&A集(含有マーク表示の7品目)」
PFASはEU RoHSの10物質とは別に確認する
PFASは、2026年10月時点でEU RoHSの規制対象物質には含まれていません。PFASを含む化学物質規制の動向は、RoHSの適合確認とは切り分けて追っていくのがおすすめです。
表面処理部品を調達するときのポイント
RoHS対応品を調達する際は、基材の材質だけでなく、メッキや化成処理、塗装、コーティングといった表面の仕様にも目を向けることが大切です。表面層はごく薄くても、使っている物質や完成品での化学的な状態によって、確認すべき項目が異なるためです。
図面や購買仕様書に、必要な機能とあわせて、取引先が求める化学物質管理の条件や提出書類を書き込んでおくと、調達先との認識合わせがスムーズです。
RoHS対応の実務チェックリスト
最後に、RoHS対応で確認しておきたい項目をチェックリストにまとめました。社内での確認や引き継ぎにお役立てください。
| 確認 | チェック内容 |
|---|---|
| □ | 販売市場と完成品が、EU RoHSの対象となる電気・電子機器に当たるか確認した |
| □ | 対象の10物質と閾値(Cd 100ppm、そのほかの9物質1,000ppm)を確認した |
| □ | BOM・材料仕様・表面処理仕様をもとに、均質材料の評価単位を整理した |
| □ | サプライヤー資料の対象品番、10物質、発行日、根拠、適用除外を確認した |
| □ | 適用除外を利用する部品について、番号・用途・更新状況を管理している |
| □ | 資料だけでは判断しにくい部位について、XRFや物質ごとの分析方法を選んだ |
| □ | 材料、仕入先、工程、表面処理仕様が変わったときに、RoHS情報を再確認する手順を決めた |
| □ | 中国や日本などEU以外へ出荷する場合に、各地域の制度を個別に確認した |
まとめ
RoHS対応でまず押さえたいのは、対象製品、10物質、均質材料、適用除外、証明資料の5点です。閾値はカドミウムが0.01wt%、そのほかの9物質が0.1wt%で、判定の単位は原則として均質材料です。
調達では「RoHS対応」という表示だけで判断せず、対象品番や対象物質、根拠資料、適用除外、発行日まで確認することが重要です。設計では材料や工程の変更管理まで含めて運用しておくと、証明資料と実際の製品仕様のずれを防ぎやすくなるでしょう。
また、中国RoHSは2026年から10物質での管理に移り、2027年8月には対象製品の拡大と強制性国家標準の施行が控えています。海外向けの製品は、販売地域ごとの制度と施行日を分けて管理していきましょう。
表面処理・コーティングの仕様検討でお困りの方へ
当社株式会社吉田SKTでは、フッ素樹脂コーティングをはじめ、非粘着性、すべり性、耐食性、耐摩耗性、電気特性など、使用環境や必要な機能に合わせた表面処理をご提案しています。
対象部品の基材や形状、使用温度、接触する薬品、必要な機能、取引先から指定されている化学物質管理の条件など、分かる範囲でお知らせください。ご要望に合わせた表面処理の仕様を、吉田SKTがご提案いたします。お気軽にご相談ください。
※法規への適合可否は、最新の法令と取引先の要求をもとにご確認ください。


