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ステンレス鋼とは?特徴や種類、用途、選定方法を解説

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こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

ステンレス鋼は、私たちの身近な生活用品から医療器具、さらには航空機部品に至るまで、幅広い分野で活用されている金属です。鉄を主成分としながら、炭素、クロム、ニッケルなどの添加物によって特性が調整され、主に5つの系統に分類されます。これにより、それぞれ異なる特性が生まれ、多様な用途に適しています。

この記事では、ステンレス鋼の特徴や種類、用途について詳しくご紹介します。特性を理解することで、最適な素材選定にお役立ていただければ幸いです。

また、吉田SKTでは、ステンレス鋼の特性をさらに引き出すためのフッ素樹脂コーティングをはじめとするコーティングや表面処理サービスを提供しております。詳細は公式サイトをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。

ステンレス鋼とは|特徴・概要

ステンレス鋼とは、鉄を主体に1.2%以下の炭素と10.5%以上のクロムを含有する鋼を指します。英語名はStainless steelであり、錆びないという意味のステンレスが語源です。食器や家電などの生活用品から、医療器具・航空機部品などの専門分野まで幅広く用いられています。

含有するクロムが酸素と結びつき、クロムに富む不動態皮膜を表面に形成するため、錆に強いという性質を基本的に持つ素材です。

その種類・用途は幅広く、耐食性よりその他の性質を重視して用いられるケースもあります。

SUSとは|ステンレス鋼の記号

日常的には「ステンレス」と「ステンレス鋼」は、ほぼ同じ意味で使われています。SUSはJISでステンレス鋼の種類を示す記号に用いられ、一般に「サス」と読まれます。SUS304やSUS430のように、SUSに続く数字や記号によって鋼種を区別します。

鉄と鋼の関係や、炭素鋼・合金鋼といった鋼の分類のなかでステンレス鋼がどこに位置するかは、「鉄と鋼の違い(炭素鋼・合金鋼・ステンレス鋼の位置づけ)」で詳しく解説しています。

ステンレス鋼のメリット|一般的な鋼材・金属との違い

ステンレス鋼が幅広く用いられているのは、一般的な鋼材に比べて錆に強く、鋼種によって耐熱性や強度、加工性などの異なる特性を持つためです。これらはステンレス鋼の特徴であると同時に、その用途にも関係します。

ここでは、ステンレス鋼の特長について解説します。

錆に強い

ステンレス鋼の名称の由来ともなった特性は、その表面に形成される不動態皮膜によって腐食の進行を抑える能力にあります。不動態皮膜はクロムに富む非常に薄い層であり、傷ついた場合でも酸素が存在する環境下では再び形成される性質を持っています。

特に、鉄にクロム約18%とニッケル約8%を加えたオーステナイト系ステンレス鋼(例:SUS304)は、多くの大気環境や水回りで良好な耐食性を示します。ニッケルはオーステナイト組織を安定させ、靭性や加工性に関係しています。

ただし、SUS304も海水などの塩化物を含む環境では、孔食やすき間腐食が起こることがあります。また、酸に対する耐食性は、酸の種類、濃度、温度などによって異なります。ステンレス鋼であれば、どのような環境でも錆びないわけではありません。

一方、SUS430に代表されるフェライト系ステンレス鋼は、一般にニッケルをほとんど含まず、磁性を持ちます。SUS430は多くの環境でSUS304より耐食性が低い傾向がありますが、クロムやモリブデンの量を調整し、耐食性を高めたフェライト系の鋼種もあります。

ステンレス鋼に発生する孔食やすき間腐食などについては、「金属腐食とは?原因・種類・対策をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

高温に対応できる鋼種がある

ステンレス鋼は、アルミニウムや銅、一般的な鋼材に比べて熱伝導率が低い傾向があります。この性質は、熱の伝わり方だけでなく、切削や溶接などの加工にも影響します。なお、保温性の高いステンレス製水筒は、主に二重構造と真空層によって熱の移動を抑えています。

また、ステンレス鋼には高温での耐酸化性や強度に優れる鋼種があり、化学プラント用機器や自動車の排気系部品などにも採用されています。ただし、高温で使用できる範囲は鋼種、荷重、保持時間、雰囲気などによって異なるため、使用温度に応じた確認が必要です。

強度や硬さを調整できる

ステンレス鋼の強度や硬さは、鋼種、加工状態、熱処理によって異なります。SUS304などのオーステナイト系は冷間加工によって強度や硬さが高まり、マルテンサイト系は焼入れ・焼戻し、析出硬化系は時効処理によって高い強度を得られます。

一方、ステンレス鋼もスチール、つまり鋼の一種です。一般的な鋼材より必ず強い、または薄くできるとは限りません。必要な強度、硬さ、靭性、形状などを確認し、構造部材、ボルト、シャフト、ばねなどの用途に合う鋼種を選ぶことが大切です。

清潔に保ちやすい

ステンレス鋼は耐食性があり、平滑な表面に仕上げやすいため、家庭用のキッチンや流し台、食品の生産設備、医療器具などに広く使用されています。ただし、清潔さは材質だけで決まるものではなく、表面粗さ、溶接部、すき間の有無、洗浄方法などにも左右されます。

バフ研磨などによって表面を平滑に仕上げると、表面の凹凸に汚れが残りにくくなり、清掃性が向上する場合があります。必要な仕上げは、用途や衛生上の要求、洗浄条件などに応じて選びます。

平滑化の方法の一つに、ステンレス表面をごく薄く陽極溶解する電解研磨があります。電解研磨は微細な凹凸の低減や表面の清浄化に用いられますが、仕上がりは鋼種、下地、形状、処理条件に左右されます。詳しくは「電解研磨とは?原理・工程・メリットを基礎から解説」をご覧ください。

「ステンレス鋼のメリット」をさらに詳しく知りたい方へ。ステンレス鋼の用途や特性を活かすためには、表面処理が重要です。「ステンレスの表面処理の種類13選 ~ステンレスの概要や種類なども解説」で、表面処理の種類やその特性についても詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください!

ステンレス鋼のデメリット・注意点|加工時に注意が必要

ステンレス鋼の加工性は鋼種によって異なります。特にSUS304やSUS316などのオーステナイト系は、熱伝導率が低く、加工硬化しやすいうえ、粘りがあるため、切削加工では工具の刃先に熱や負荷が集中しやすくなります。

一方、オーステナイト系は延性や展性に優れ、曲げや絞りなどの塑性加工に適した材料です。ただし、溶接では熱膨張が大きく、熱が逃げにくいため、薄板などでは熱の影響によって反りや変形が生じる場合があります。

硬さ・延性・熱伝導性といった金属の性質が加工性をどう左右するかは、「金属の性質と加工への影響」で詳しく解説しています。

加工硬化の性質を持つ

ステンレス鋼を使用して板金部品を作る際に、曲げや絞りなどの塑性加工を行うと、加工した部分の強度や硬さが高くなることがあります。この現象を加工硬化といいます。

加工硬化の程度は鋼種や加工量によって異なり、特にオーステナイト系ステンレス鋼で大きくなる傾向があります。加工が進むほど必要な力が増えたり、スプリングバックが大きくなったりするため、材料の状態に合った加工条件を設定する必要があります。

また、切削加工で工具が材料表面をこする状態になると、加工面が硬化し、工具が傷みやすくなる場合があります。工具、切削速度、送り、冷却などの条件を適切に設定することが重要です。

熱伝導率が低い

加工硬化に加え、放熱性に劣る点も加工を難しくしている要因です。切削加工などの際に発生する熱が逃げにくく、工具の先端や刃先に過負荷がかかって工具の寿命を短くしてしまう場合があるのです。また、薄肉切削加工を行うと加工で発生した熱が部品に残り、反りの原因となります。

機械部品の材料は、放熱性だけでなく、荷重、剛性、摩耗、腐食、質量などの条件から選びます。軽量化や放熱性を重視する場合はアルミニウム合金が候補になりますが、耐食性や強度、使用環境によってはステンレス鋼が適する場合もあります。

【種類別】ステンレス鋼の用途例

ステンレス鋼は合金成分や金属組織、熱処理の違いによって、さまざまな種類があります。JISでは多くの鋼種が規定されており、SUS304やSUS329J4Lのように、SUSに続く数字や記号によって表されます。

主なステンレス鋼の種類を5つと、それぞれの代表的な用途を紹介します。

マルテンサイト系|熱処理で高い硬さを得られる

マルテンサイト系はクロムを主な合金元素とし、炭素量は鋼種によって異なります。焼入れ・焼戻しによってマルテンサイト組織を形成し、高い強度や硬さを得られるステンレス鋼です。

一般にSUS304などのオーステナイト系より耐食性は低い傾向がありますが、耐食性は炭素量だけでなく、クロムなどの合金成分や熱処理状態にも左右されます。熱処理後の高い硬さを活かし、刃物、バルブ、ノズル、機械部品などに使用されています。

SUS403、SUS410、SUS420J2、SUS440Aなどが該当します。

オーステナイト系|耐食性が高い

オーステナイト系はクロムとニッケルを主な合金元素とし、常温でオーステナイト組織を持つステンレス鋼です。耐食性や靭性に優れ、曲げや絞りなどの加工にも適しています。焼入れでは硬化しませんが、冷間加工によって強度や硬さが高くなります。

ステンレス鋼の中でも広く使用されている系統で、厨房用品、食品設備、化学設備、建築部材、電気機器の部品など、さまざまな用途に使われています。一般的な鋼材より熱伝導率が低く、溶接や切削では熱の影響に注意が必要です。

代表的な素材は、SUS303、SUS304やSUS316です。

フェライト系|磁性を持つ

フェライト系はクロムを主な合金元素とし、一般にニッケルをほとんど含みません。磁性を持ち、焼入れによって大きく硬化しない点が特徴です。オーステナイト系より熱膨張が小さく、加工硬化も比較的小さい傾向があります。

建築の内装材や厨房用品、家電製品、自動車の排気系部品などに使用されています。加工性や溶接性は鋼種や板厚によって異なるため、用途に合わせた材料と加工条件の確認が必要です。

代表的な素材は、SUS430などです。

オーステナイト・フェライト系(二相系)|耐孔食性が高い

オーステナイト相とフェライト相が共存する金属組織を持つステンレス鋼で、二相系とも呼ばれます。一般的なオーステナイト系ステンレス鋼より耐力が高く、鋼種によっては塩化物環境での耐孔食性や耐応力腐食割れ性にも優れています。

耐食性や塩化物環境への耐性に優れているため、海水に触れる機器や化学プラント用装置などに使用されています。

代表的な素材は、SUS329J1、SUS329J3L、SUS329J4Lなどです。

析出硬化系|強度と耐食性のバランスが良い

析出硬化系ステンレス鋼は、時効処理によって微細な析出物を生じさせ、高い強度や硬さを得る材料です。クロムとニッケルを主な合金元素とし、鋼種に応じて銅、アルミニウム、ニオブなどが添加されています。

強度と耐食性のバランスを活かして、シャフト、バルブ、ばね、航空機部品などに使用されています。高温での性質は鋼種や熱処理状態によって異なるため、使用温度に合わせた確認が必要です。

主な素材はSUS630やSUS631です。

ステンレス鋼を腐食環境から保護するフッ素樹脂ライニング

ステンレス鋼はもともと耐食性に優れていますが、薬液の種類、濃度、温度などによっては腐食する場合があります。吉田SKTでは、ステンレス鋼と腐食環境との接触を遮る方法のひとつとして、フッ素樹脂ライニングを提供しています。
フッ素樹脂ライニングは、化学プラントや食品加工設備などで、耐食性や清掃性が求められる場合に検討されます。適用にあたっては、接触する物質、使用温度、形状、必要な膜厚などを確認することが重要です。

詳しくは、「ライニングとは?ライニングに使用する材料と特徴を紹介」をご覧ください。

ステンレス鋼の選定方法

設計でステンレス鋼を選定する場合は、腐食環境、必要な強度や硬さ、加工方法、溶接の有無、磁性、使用温度などを整理します。

ここでは、オーステナイト系のSUS303、SUS304、SUS316と、フェライト系のSUS430、マルテンサイト系のSUS410とSUS440系の主な特徴を一覧表にまとめました。

ステンレス鋼の種類 主な特徴 加工・溶接 耐食性の見方 磁性
SUS303(オーステナイト系) 切削性を高めた鋼種 切削に適する一方、溶接には注意が必要 SUS304より低い傾向 通常は弱いが、加工により磁性を示す場合がある
SUS304(オーステナイト系) 耐食性、加工性、溶接性のバランスが良い汎用鋼種 切削では加工硬化に注意。溶接性は比較的良好 多くの大気・水環境で良好。塩化物には注意 一般に磁石に付きにくいが、冷間加工部などが磁性を示す場合がある
SUS316(オーステナイト系) モリブデンを含み、SUS304より耐孔食性を高めた鋼種 切削では加工硬化に注意。溶接性は比較的良好 塩化物環境でSUS304より有利。ただし海水での使用を一律に保証するものではない 一般に磁石に付きにくいが、加工状態などにより異なる
SUS430(フェライト系) ニッケルをほとんど含まない代表的なフェライト系 成形加工に使われる。溶接は鋼種や板厚に応じた管理が必要 一般にSUS304より低い傾向 あり
SUS410(マルテンサイト系) 焼入れ・焼戻しによって強度や硬さを調整できる 加工や溶接では熱処理状態への配慮が必要 一般にSUS304より低い傾向 あり
SUS440系(マルテンサイト系) 焼入れ後に高い硬さを得られる 熱処理後の切削や溶接には特に注意が必要 鋼種や熱処理状態によって異なる あり

選定にあたっては、汎用性の高いSUS304を出発点に、切削性を重視する場合はSUS303、塩化物に対する耐食性を高めたい場合はSUS316、磁性が必要な場合はSUS430やSUS410、熱処理後の高い硬さが必要な場合はSUS440系などを検討します。ただし、同じ鋼種でも製品形状、熱処理、冷間加工、表面状態によって性質が変わるため、最終的には使用条件と適用規格を確認してください。

アルミとどちらを採用するか迷う場合は、「アルミとステンレスの強度・重さ・耐食性の比較」もあわせてご覧ください。

まとめ

ステンレス鋼は耐食性を基本としながら、鋼種によって強度、硬さ、加工性、磁性、耐熱性などが異なり、建築、自動車、食品加工をはじめ幅広い用途で利用されています。材料だけでは満たしにくい非粘着性、すべり性、耐摩耗性、耐食性などが必要な場合は、使用条件に合うコーティングや表面処理を組み合わせる方法があります。

株式会社吉田SKTでは、豊富な経験と専門的な知識を活かし、お客様の用途や使用条件に合わせたコーティングや表面処理をご提案いたします。ステンレス鋼へのフッ素樹脂コーティングに関するご質問や具体的なご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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