表面処理のご相談

製造業の生産性向上の手法とは?取り組むべき理由やメリット、手順、下がる要因を解説

こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

企業にとって生産性の向上は重要ですが、どのように向上させればよいかわからず悩んでいる企業は多くあります。吉田SKTでは表面処理技術で製造現場の生産設備改善に多くの実績がありのお悩みを解消しています。

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この記事では、製造業における生産性向上のメリットや低下させる原因、手順、ポイントなどについて解説しています。自社の生産性を向上させたい人は、参考にしてください。

製造業の生産性向上とは

生産性の向上とは、可能な限り少ない従業員や原材料などの資源を活用し、多くの成果が出せるよう業務を改善することです。製造業の場合は、成果とは製品の生産量のことを指します。

労働人口の減少、競争激化などに悩む企業を中心に、投資した資源からより多くの成果を得られる手法として生産性向上が注目を集めています。ただし、成功させるには、ポイントやメリットについて理解する必要があります。

なぜ製造業で生産性向上を目指すべきなのか

企業はなぜ、生産性向上を目指すべきなのでしょうか。おもな2つの理由を解説します。

労働力人口の減少

労働力人口の減少

日本では少子高齢化が進み、社会問題となっています。厚生労働省が発表した「労働人口の推移」によると、2000年には約6,800万人だった労働人口が2030年には約500万人も少なくなるとされており、今後も労働人口の減少が予測されています。

製造において労働力の確保は必須ですが、企業には従来よりも少ない労働力で、これまでと同様もしくは多くの成果を出すことが求められる状況です。

※参考:厚生労働白書 労働経済の基礎的資料

日本の労働生産性が低い

日本の労働生産性は海外と比べ、低いといわれています。公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2020」調査では、日本の時間あたりの労働生産性はOECD加盟37ヵ国のなかで21番目です。

この数字だけではあまり低いように感じないかもしれませんが、主要7か国では日本は最下位です。急速な技術発展をみせる国もあるなかで、日本が今後も国際競争力を保つには労働生産性の向上が欠かせません。

※参考:労働生産性の国際比較2020

製造業が生産性向上を目指すメリット

製造業において生産性向上を目指すと、どのようなメリットがあるのでしょうか。おもな3つのメリットを解説します。

利益を増やせる

利益を増やせる

原材料の無駄やロスを減らすなどして生産性が向上すると、少ない資源で多くの製品を作れるため、競争が激化するなかであっても利益の増大が期待できます。原材料の発注ミスや作業ミスを減らせれば、余計なコストも減らせるでしょう。

同一時間で生産量が増加すれば、生産が間に合わずに利益を得る機会を逃してしまう可能性も減少します。現在よりも利益を大きくできれば、国内外で競争力のある企業へと近づくでしょう。

コストを軽減できる

コストを軽減できる

最小限の資源で大きな成果を生み出せると、人件費や製造費用などのコストを軽減可能です。製品の作りすぎによる在庫過多もコストに関係しているため、生産過多の予防につながります。

コストの軽減は人材不足への解決策であるとともに、残業時間を減らす効果が見込めます。残業が減ることで、従業員のモチベーション向上とともに、残業代削減による利益の増加にもつながるでしょう。

品質を高く保てる

品質を高く保てる

生産性向上の一環の中で従業員が一定以上の技術を持ったりITを導入したりすることで、製品の品質を高く保てます。品質の高い製品を素早く製造できると顧客からの評判が向上し、企業のイメージアップと利益の増加につながるでしょう。多くの人から支持されるようになると、企業としてのブランド力も上がります。

製造業の生産性向上を低下させる原因

多くの日本企業では、なぜ生産性が低いのでしょうか。低下させる、4つの原因を解説します。

コミュニケーションが不足している

製造業では多くの製品を、複数の部署と協力し製造します。必要な情報の共有、進捗状況の確認などコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションが不足すると、作業の効率が下がり、ロスにつながりやすくなります。

人材や時間の不足

常に人材が足りず離職率が高いと日々の業務に手一杯になり、生産性向上への取り組みが進まなくなるでしょう。人材の入れ替わりが多いと従業員の経験や知識を蓄積できず、生産性は低下します。残業が増加すると人件費が増えるだけでなく、従業員の満足度が低下して離職につながる恐れもあります。

業務の標準化が不十分

工程に必要な従業員数が足りなかったり、従業員の経験や知識が足りなかったりすると、作業や発注などにミスが起こり、生産性が低下します。新人でも安定して作業できるよう、作業の標準化が必要です。また、部品の調達が遅れたり多くの在庫を抱えてしまったりという発注ミスはコストの増加に直結するため、在庫管理は重要です。

作業ミスが多い

作業ミスが多発すると、他の社員がカバーしたり、確認の手間が増えたりします。作業ミスの多発によって、カバーする動きが必要になり、製品を製造する過程にロスが発生するためです。ミスを誰かが補うだけでは、ロスは繰り返されるでしょう。減らすような仕組みづくりや、補助設備の導入が必要です。

製造業で生産性を向上させる手順

生産性を向上させるためには、適正な手順が存在します。5つの手順を、順を追って解説します。

1.目標を設定する

一口に生産性の向上といっても、製造過程のどの部分を効率化させるのかという目標を設定しなければ実現できません。製品を製造するうえで各工程に必要な従業員の数や、必要な時間を正確に把握し、明確な目標を設定しましょう。無理のない目標を、数値で設定するとよいとされています。

2.業務上の課題を明確にする

課題や原因が明らかにならないと改善点がわからないため、生産性向上を阻害する業務上の課題や原因を明確にします。実際に現場で働く従業員に意見を聞き、作業工程のなかから課題を見つけましょう。ITツールを用いて作業内容をデータ化すると、業務の過程が見えるため分かりやすくなります。

3.具体的な施策を決める

発見した課題や原因を見つけるだけでは生産性向上にはならないため、解消する具体的な施策を考えましょう。たとえば、従業員が不得意分野を担い作業スピード低下を招いていれば、該当する従業員の意見を尊重したうえで得意分野を担えるよう配置を検討します。課題や原因の解消と同時に、目標達成のためのプロセスを改善しましょう。

4.ITツールを導入する

マニュアルを改善したりスキルアップのために研修を実施したりするなどの施策を実行しましょう。ただし、それだけでは限界があります。ITツールなどのテクノロジーを導入すると、生産性の大幅な向上につながりやすくなるでしょう。ロボットの導入による作業の自動化はもちろん、施策に適したITツールやDX化での対応ができないかも検討しましょう。

5.設備を改善する

製品の生産に使用するさまざまな設備を改善し、従業員の労働環境を整備することも大切です。労働環境が整備されていれば従業員のモチベーションが向上しやすく、生産性向上が期待できます。従業員の意見を聞き、現場が必要とする設備を改善しましょう。

表面処理では、金属やセラミックス、樹脂などの部材表面に望ましい機能を与えることで、生産設備の課題をクリアーしたり、コストダウンなどのメリットを得ることができます。

参考:表面処理でできること|吉田SKT

製造業での生産性向上の成功事例

生産設備に表面処理技術を導入することで、さまざまな分野での生産性向上が成功しました。

クリアファイル製造設備での事例

クリアファイルを生産する設備では、薄いPP(ポリプロピレン)シートを切断する工程がありました。1日何万回と切断するため、切断刃にPPシートがくっついてラインが停止するトラブルがおこり、生産性が低下していました。
対策として、刃物へのくっつきを防止を検討し、刃物の切れ味を落とすことなく、PPの付着を防止できるコーティングを採用。
以前は2日に1回のトラブルが発生していましたが、コーティングを実施以降は1ヶ月半もの間トラブルなしという目覚ましい結果を得ました。メンテナンス間隔は20倍に伸び、生産性向上を実現するとともに、不良品による年間数万トンに及ぶ材料ロスを解消することができました。またコーティングにより刃先が守られ、作業者が手を切るトラブルも減少しました。

ポリプロピレン熱溶着設備での事例

ポリプロピレン製のサニタリー用品を製造するお客様では、成形した2つのポリプロピレン部材同士を接着するため、熱板による熱溶着をおこなっていました。
熱板溶着では、接着したいポリプロピレン部材に熱板を当てて表面を溶かしたのち、熱板を外して、溶けた面と面を貼り付けます。溶けたポリプロピレンは粘着性が高く糸引きが起きやすいため、熱板へのコーティングは必須です。お客様ではフッ素樹脂PFAコーティングを使用していましたが、コーティングの劣化が早く、1週間程度で熱板の取り換えが必要でした。取り換える間は設備を稼働できず生産性を悪化させていました。熱板に新しい表面処理を採用することで、以前のコーティングに比べ5倍以上の期間にわたりメンテナンスが不要になり、生産性向上へとつながりました。

以下のリンクから具体的な生産設備改善方法や生産性向上の事例をご覧いただけます。

参考:成形設備の事例

参考:搬送設備の事例

参考:切断刃の事例

参考:包装設備の事例

参考:接着設備の事例

参考:溶着・融着設備の事例

ご紹介の事例以外にも表面処理技術の導入による生産設備の改善に興味がある方やより詳しく知りたい場合は吉田SKTにご相談ください。具体的な方法のご紹介や表面処理技術のご提案をいたします。

製造業で生産性を向上させるためのポイント

生産性をより向上させるには、欠かせないポイントがあります。おもな5つのポイントを解説します。

生産量を数値化し目標設定する

まず、現在の生産量を数値として出し、従業員全体で共有します。目標を明確な数値で決め、それを達成するための生産量を年、月、週、日ごとに表しましょう。ただし、不可能な数字を掲げても意味がありません。実現可能な数字を従業員全員が把握することで、モチベーション向上につながります。

5Sを浸透させる

5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」のことです。整理整頓ができておらず、清潔さに欠ける環境では無駄な動きが発生し、生産性が低下しやすくなっています。まずは整理や整頓、清掃、清潔の4つを実施し、それを維持するために管理者が従業員へのしつけを実施しましょう。

IoTを導入する

IoTを導入する

IoT技術が発展し、製造業に適したIoTを導入して生産性向上に成功している事例が増加しています。IoTは生産状況や稼働状況を可視化し、在庫管理システムと連携、製品の品質管理などにも役立ちます。多くの企業ですでに生産性向上に向けた努力をしており、現状を打破するにはIoTのような新しい技術の導入が必要です。

多能工化を進める

多くの企業で人材が限られており、そのなかで生産性を向上するには多能工化が求められます。多能工化とは「マルチスキル化」とも言い換えられ、それぞれの従業員が多くのスキルを習得し、複数の業務を担える状況になることです。多能工化が進むと人材不足を補え、急な従業員の欠勤にも対応できます。

設備やシステムの使いやすさを重視する

製造現場で生産性を高めるのは、設備やシステムを使う現場の従業員です。従業員が使いにくいものを選ぶと、現場で活用されなくなり、生産性を高められなくなる可能性があります。例えば、設備のロボット化やシステムのDX化を進めた場合でも、非効率的な生産活動になる場合もあります。企業の生産体制を変更する場合は、現場の意見を尊重することが重要です。

まとめ

製造業の生産性向上とは、少ない資源から多くの製品を生み出すことです。日本で労働人口の減少が予測されるなか、生産性向上は多くの企業にとって関心ごととなっています。適切な手順やポイントを実行し、自社の生産性向上につなげましょう。

参考記事:生産効率とは?生産性との違いや計算方法、向上させる方法やメリットなども解説

参考記事:生産性向上とは?メリットや取り組み、方法まで解説

吉田SKTは、表面処理、テフロンフッ素樹脂コーティングの専門メーカーです。独自技術による表面処理の提供が可能で、テフロンコーティングのライセンス工場でもあります。

以下のリンクでは、生産設備の改善についての情報や、実際に改善した事例を紹介しています。ぜひご覧ください。