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2次電池の仕組みとは?1次電池との違いや主な種類・用途、メリットなども解説

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2次電池とは、充放電を繰り返し行う充電式電池です。リサイクルして使えるので、エコの観点からも注目されています。
この記事では、2次電池の仕組みや種類について詳しく解説します。2次電池を使うメリットやデメリットについても解説するので、ご参考ください。

2次電池とは

2次電池とは、内部の化学反応によって電気を起こして取り出す化学電池の1つです。充電と放電を繰り返して使用する電池のことを指し、充電池や蓄電池、バッテリーとも呼ばれます。

近年は、携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラなどの小型モバイル機器が普及したことで、身近な電池になりました。また、列車や自動車、航空機や船舶などの輸送車両や、病院やビル、工場や公共機関などの施設電源や防犯設備の電源にも使用されています。

2次電池と1次電池の違い

2次電池と1次電池の違い

2次電池と1次電池の大きな違いは、充電が可能か不可能かです。
1次電池は、充電が不可能で、1度の使用で完全放電し使い切ったら捨ててしまう電池を指します。いつでも必要な時に手に入る容易さが1次電池のメリットです。
2次電池は、充電することで繰り返し使えます。充電することで蓄電し、放電が可能になります。小型でありながら高エネルギー密度の2次電池は、多様な場面で使用できるため、ニーズが高まっている電池です。

2次電池の仕組み

2次電池は、どのように充電し、放電を行っているのでしょう。ここでは、2次電池の仕組みを解説します。

2次電池の充電の仕組み

電気を電池に送り込み、再使用できる状態にすることを「充電」と呼びます。2次電池が繰り返し使えるのは、充電と放電で化学反応を起こすからです。電池は、物質が電子を失う「酸化」と、逆に電子を受け取る「還元」という化学反応を利用しています。

完全放電してしまった電池内は化学反応が起こらず、物質が化学平衡状態を保っている状態です。充電時の電池内は外部電源から送り込まれた電子により、電気化学反応を起こして放電前の状態に戻しています。

2次電池の放電の仕組み

電池から電気を取り出すのが「放電」です。電池内には正極と負極という2つの電極が存在します。双方の電極で発生する酸化還元反応は、反応に必要な物質がなくなるまで化学反応を起こし、完全放電するまで電気を発生させ続けます。

負極は酸素との結合による酸化反応により電子が放出され、正極は電子を吸収することにより還元反応が起こります。負極の余剰電子が、正極の還元反応により足らなくなった電子を補い移動します。これが放電の仕組みです。

2次電池の種類

2次電池の種類は多数存在します。ここでは、身近で使われている2次電池の代表的な種類を5つ解説します。

ニッケルカドミウム蓄電池

ニッケルカドミウム蓄電池は、電極にニッケルとカドミウムを用いた2次電池です。アルカリ蓄電池の1つであり、ポータブル機器の電源として普及しました。近年では、電極に有害物質のカドミウムを用いたニッケルカドミウム電池から、カドミニウムを使用しないニッケル水素電池への置き換えが進んでいます。

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池は、電極にニッケルと水素吸蔵合金を用いた2次電池です。アルカリ蓄電池の1つで、急速充電が可能であり、エネルギー密度が高いことがメリットです。自然放電が多いので、寿命は約6〜7年と短くなっています。有害物質であるカドミウムを含まない安全性の高さから、さまざまな場面で普及している電池です。

リチウムイオン2次電池

リチウムイオン2次電池は、各分野で普及が増している電池です。高いエネルギー密度とメモリー効果がない点が特徴で、携帯電話やノートパソコンなどモバイル機器のバッテリーに使用されています。性能の高さが魅力ですが、取り扱いに注意が必要な電池でもあります。寿命は約6〜15年と、長期に渡り使用できます。

参考記事:リチウムイオン電池の種類~それぞれの特徴や安全性、用途などを解説

鉛蓄電池

鉛蓄電池は、電極に鉛を用いた2次電池です。世界で最初に開発され、世界で最も古くから使われている畜電池です。自動車や輸送車両のバッテリー、非常用電源や防犯機器の電源として利用されています。他の電池と比べて電圧が高く、時間をかけゆっくりと放電しても、短い時間で大電流を放電しても、安定した性能を持っていることが特徴です。

NAS電池

NAS電池とは、正極に液体硫黄を、負極に液体ナトリウムを使用した2次電池です。日本ガイシ株式会社が開発し、実用化しました。ナトリウム硫黄電池とも呼び、主に大規模な電力貯蔵施設で用いられていて、容量の割にサイズが小さめなことが特徴です。

2次電池の主な用途

2次電池は、私たちの身近なものに使用されています。主にどのような用途で使われているのかを解説します。

モバイル・ポータブル機器

モバイル・ポータブル機器

2次電池は、スマートフォンやノートパソコンなどのモバイル・ポータブル機器の電源として、さまざまな種類が使われています。高容量が必要な場合は、高性能なリチウムイオン電池が用いられることがほとんどです。

各輸送車両

各輸送車両

自動車には、エンジン始動用電源として鉛蓄電池が使われています。自動車の他に、航空機や列車といった各輸送車両の電源として活躍している電池です。電気自動車やハイブリッド自動車も、2次電池が動力源になっています。

施設や工場などの産業用電源

施設産業用電池

病院や工場、大型商業施設など、多くの電源を要する場所には、大型2次電池(蓄電池)が設置されています。一般的にはあまり見かけませんが、電力の大容量貯蔵ができるため、非常時の電源としても活躍します。

防犯・災害対策

防犯・災害対策

2次電池は、防犯設備や通信システムの電源として使われています。災害時の誘導灯や非常用照明、火災停電時の発信・受信機などを作動させる電源にもなります。安全な暮らしを守るためには欠かせない存在といえます。

2次電池の寿命

2次電池の寿命は、使用する環境や保守条件で変化します。一般的には、充電100%の状態から0%近くまで放電することを1サイクルとする「サイクル回数」で表します。種類ごとにサイクル数の目安は決まっていますが、サイクル数を超えた瞬間に使用できなくなる訳ではありません。適切な使用方法を守ると寿命向上につながります。

参考記事:リチウムイオン電池の仕組みとは?長持ちさせる方法も解説

2次電池のメリット

2次電池を使うことで得られるメリットがあります。ここでは、代表的なメリットを2つ解説します。

2次電池は節約になる

充電して繰り返し使える2次電池は節約につながります。充電池は、乾電池を買う回数を減らすことができ、蓄電池は、自家発電が可能になります。災害時の非常用電源として使えるというのは安心であり、大きなメリットです。

2次電池はリサイクルできる

2次電池はリサイクルが可能です。小型の2次電池は、資源の有効な利用の促進に関する法律「資源有効利用促進法」により再資源化が義務づけられています。回収できる2次電池には文字やマークが表示されているので、進んでリサイクルすることでエコになります。

2次電池のデメリット

2次電池のデメリットは、購入や設置の際にかかる初期費用が高いことです。温度変化にも弱く、なかには高温で発火する危険性があるものや、過充電や過放電で発熱する恐れがあるものもあります。定期的な充電が必要であり、電池の種類ごとに使い方やサイクル数、寿命が異なることを考慮しつつ利用することも必要です。

参考記事:リチウムイオン電池とは?種類や仕組み、主な用途や安全性も解説

まとめ

2次電池は、私たちの身近なものに使われている化学電池の1つです。種類が豊富で、さまざまな物や施設・設備の電源として用いられています。寿命を迎えたらリサイクル可能なので、省資源・エコの観点からも注目されています。災害や非常時の非常用電源として利用できる2次電池は、私たちの生活に欠かせない存在です。

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