表面処理の目的:
交換・材料コスト低減 作業ロス削減 品質・稼働安定化
求められる機能:
非粘着・離型性 摺動・滑り 耐摩耗性
改善した設備・工程:
切断
リチウムイオン電池の製造にはOPPテープと呼ばれる粘着テープが使用される場合があります。今回のお客様では、装置を使ってOPPテープを必要な長さにカットしていました。
OPPテープは梱包用のガムテープのような強力な粘着性はありません。しかし1日に何百回とカット繰り返していると、カッター刃に糊が付着し、装置が停止することがあるため、停止が起こらないよう、頻繁にラインを止めてカッター刃に付着した糊を掃除していました。
この掃除する頻度を減らして、生産効率を上げたいというご要望でした。
装置に装着されている刃物には、もともと防錆目的の表面処理がされていましたが、これはテープの付着防止には全く効果がないものでした。刃物自体は同じのものを使いたいため、もとの表面処理を一度剥離して、付着防止コーティングをおこなう必要がありました。また刃物の切れ味の維持も求められました。
付着防止効果に加え、刃物の切れ味を保つことができる薄膜のコーティングを3種類ご提案しました。2種類はシリコーン系、あとの1種類はフッ素系でした。
早速、実機でテストをおこなったところ、初期の段階ではすべてのコーティングで付着防止効果を確認。これによって、清掃頻度を抑えられることが見込めました。
そこでさらに、メンテナンスコストの観点から長く使えるものを選定するため、耐久テストを進めました。この装置では2枚の刃がハサミのように擦れあうため、耐摩耗性に優れた薄膜のフッ素樹脂系コーティングの「ナノプロセス® TLS-200」が一番長く使用できることがわかりました。こうしてコーティングの寿命の長さにもご納得いただき、採用されました。