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金属溶接とは?8種類の特徴と用途別の溶接方法の選び方を解説

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Welding two metal pieces with a handheld arc welder, sparks at the seam.

こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

吉田SKTでは、テフロン™フッ素樹脂コーティングをはじめとする表面処理で、お客様の生産設備や部品に関するお悩みの解決をお手伝いしています。また、ご相談に応じて、表面処理を前提とした基材製作も承っています。

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金属溶接は、建築、造船、自動車、産業機械、配管、精密部品など、幅広い分野で使われている接合技術です。しかし、被覆アーク溶接、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、スポット溶接、レーザ溶接など種類が多く、「自社の部品にはどの方法が適しているのか」と迷うことも少なくありません。

適した方法は、材質や板厚だけでは決まりません。継手の形状、必要な強度や気密性、外観、許容できる変形、生産数量、作業場所、設備、検査方法まで含めて選ぶ必要があります。

この記事では、代表的な金属溶接の特徴を比較し、工法選定の考え方、薄板や異種金属を接合するときの注意点、よくある不良、安全・資格、溶接後に表面処理を行う場合のポイントまでわかりやすく解説します。

金属溶接とは

金属溶接とは、2つ以上の金属部材を、熱、圧力、またはその両方を利用して一体化する接合法の総称です。必要に応じて、接合部に加える溶加材を使用します。

「母材を溶かしてつなぐ方法」という説明をよく見かけますが、これはおもに融接の説明です。スポット溶接のように加圧しながら接合する方法や、母材をほとんど溶かさずにろう材を流すろう付けも、広い意味で溶接・接合技術に含まれます。

金属溶接は、大きく次の3つに分けると理解しやすくなります。

分類 接合の考え方 代表例
融接 接合部を加熱して母材を溶融させ、必要に応じて溶加材を加えて接合する 被覆アーク溶接、CO2溶接、MAG溶接、MIG溶接、TIG溶接、レーザ溶接
圧接 接合部を加圧し、電気抵抗熱や摩擦などを利用して接合する。方式によって局部的な溶融を伴う 抵抗スポット溶接、摩擦圧接、摩擦攪拌接合(FSW)
ろう接 母材をほとんど溶かさず、母材より融点の低い金属を溶かして接合する ろう付け、はんだ付け

溶接性は、融点、熱伝導率、熱膨張、強度など、母材が持つ性質の影響も受けます。母材選定から確認したい場合は、金属の性質と加工への影響や、鉄鋼・非鉄金属の種類と選び方もご覧ください。

融接では、溶けて固まった「溶接金属」と、その周囲で熱の影響を受けた「熱影響部」ができます。溶接後に一体化して見えても、母材とまったく同じ金属組織になるとは限りません。入熱や冷却の状態によって、硬さ、靭性、耐食性などが変化するため、母材・溶加材・施工条件を組み合わせて管理することが大切です。

適切に設計・施工された溶接継手は、高い継手効率(母材強度に対する継手強度の割合)や気密性、水密性を得られます。ただし、ボルト締結や接着より常に強いとは限らず、継手形状、荷重のかかり方、溶接欠陥、熱影響などを含めて評価する必要があります。

代表的な金属溶接方法の特徴を比較

はじめに、代表的な金属溶接方法の特徴を一覧で確認しましょう。表の内容は一般的な傾向であり、実際の適用範囲は材質、板厚、継手、設備能力、施工条件によって変わります。

溶接方法 おもな適用例 長所 注意点
被覆アーク溶接 鉄鋼構造物、厚板、現地工事、補修 機器構成が比較的簡単。ガスシールド方式より風の影響を受けにくい 技能の影響が大きい。スラグ除去が必要。薄板では穴あきに注意
CO2・MAG溶接
(まとめて表記)
鉄鋼の製缶、フレーム、車両・機械部品 ワイヤを連続送給でき、生産性を高めやすい。自動化・ロボット化にも向く 風でシールドが乱れやすい。条件によってスパッタが発生する
MIG溶接 アルミニウムなどの非鉄金属、量産部品 連続溶接ができ、TIGより施工速度を上げやすい シールドガスと母材表面の管理が重要。屋外では風対策が必要
TIG溶接 ステンレス、アルミニウム、薄板、配管、外観重視の部品 アークが安定しやすく、スパッタが少ない。入熱や溶加材を細かく調整しやすい 施工速度は比較的遅い。隙間、汚れ、シールド不良の影響を受けやすい
抵抗スポット溶接 薄板の重ね継手、自動車ボディ、板金量産品 短時間で接合でき、自動化しやすい。溶加材を通常必要としない 電極で挟める形状が前提。電極摩耗と電流・時間・加圧力の管理が必要
レーザ溶接 精密部品、薄板、外観部品、自動化ライン 高エネルギー密度で、高速・低変形を狙いやすい。狭い範囲を加熱できる 設備費が高い。継手の隙間や位置ずれに厳しく、安全管理が必要
スタッド溶接 鋼板・鉄骨へのスタッドやボルトの取り付け 片側から短時間で施工でき、穴あけやナット取り付けを減らせる 方式に合った母材厚さと表面状態が必要。用途に応じた曲げ・引張確認が必要
ろう付け 薄肉部品、配管、熱交換器、異種金属の接合 母材をほとんど溶かさず接合でき、複雑な継手や異種金属にも適用しやすい 隙間、濡れ性、加熱温度の管理が重要。強度・耐熱性はろう材と継手設計によって変わる

「薄板ならTIG」「量産ならスポット」のような目安は候補を絞るには役立ちますが、最終判断には不十分です。たとえば同じ1枚の板でも、突合せ継手と重ね継手では適する方法が変わります。必要な強度、漏れの有無、片面からしか作業できないといった制約も先に整理しましょう。

アーク溶接の種類と特徴

アーク溶接は、電極と母材の間にアーク放電を発生させ、その熱で金属を溶かして接合する方法の総称です。被覆アーク溶接、CO2溶接、MAG溶接、MIG溶接、TIG溶接などが含まれます。

被覆アーク溶接

被覆アーク溶接は、フラックスで覆われた溶接棒を電極とし、電極自体を溶かしながら接合します。フラックスから生じるガスとスラグが溶融金属を大気から保護します。

機器構成が比較的簡単で、鉄鋼構造物や補修、現地工事に広く使われます。ガスシールドアーク溶接より風の影響を受けにくい点も長所ですが、強風下で無条件に施工できるわけではありません。施工基準や溶接材料の条件に従って、必要な防風対策を行います。

溶接後はスラグを除去します。多層溶接でスラグが残ると、スラグ巻込みや融合不良の原因になるため、各層の清掃が重要です。また、アーク長、棒の角度、移動速度が安定しないと、ビードの蛇行、アンダーカット、溶込み不足などにつながります。

CO2溶接・MAG溶接・MIG溶接

CO2溶接、MAG溶接、MIG溶接は、ワイヤを連続送給し、ガスで溶接部を保護する方式です。手でトーチを操作する半自動溶接だけでなく、自動機やロボットにも組み込まれます。

名称 おもなシールドガス 特徴
CO2溶接 炭酸ガス 鉄鋼に広く使われ、コストと溶込みを両立しやすい。条件によってスパッタが多くなる
MAG溶接 アルゴンとCO2、アルゴンと酸素などの活性ガスを含む混合ガス 鉄鋼に用いられ、アークの安定、溶込み、スパッタ、外観のバランスを調整しやすい
MIG溶接 アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス アルミニウムなどの非鉄金属に広く使われる。連続施工と自動化に向く

CO2は活性ガスであるため、分類上はMAGの一種と考えられます。ただし、日本の製造現場ではCO2溶接と混合ガスを使うMAG溶接を分けて呼ぶことが一般的です。このため、本記事の8種類の比較表では、CO2溶接とMAG溶接を1項目にまとめています。

いずれも風でシールドガスが流されると、気孔や酸化などが起こりやすくなります。ガス流量をむやみに増やすと周囲の空気を巻き込む場合があるため、適正流量を守り、風防や作業位置の見直しで対応します。

アルミニウムは合金の種類によって溶接性や割れやすさが異なります。材料選定を含めて検討する場合は、アルミニウム合金の特徴と種類も参考にしてください。

TIG溶接

TIG溶接は、溶けにくいタングステン電極でアークを発生させ、アルゴンなどの不活性ガスで溶融池を保護する方法です。多くの場合は、トーチとは別の溶加棒(溶接棒)をトーチ先端の溶融池へ加えます。電極と溶加材が分かれているため、入熱と溶加量を細かく調整できます。

スパッタが少なく、きれいなビードを得やすいため、ステンレスやアルミニウム、薄板、配管、精密部品などに使われます。一方、手作業では施工速度が比較的遅く、量産性を優先する場合はMIG・MAG溶接やレーザ溶接なども候補になります。ステンレスは鋼種によって溶接後の組織や耐食性への注意点が異なるため、ステンレス鋼の特徴・種類・選定方法もあわせて確認してください。

溶加材を使わず、母材だけを溶かして接合する「なめ付け」も可能です。なめ付けでも、継手形状、板厚、隙間、必要断面、材料の性質が適切なら、必要な強度や気密性を満たせる場合があります。溶加材を使うかどうかは「強度が必要なら必ず使う」と一律に決めず、設計と施工条件で判断します。

TIG溶接では、油分、水分、酸化皮膜、隙間、シールド不良が品質に影響します。ステンレス配管などで裏波(裏側まで溶け込んだビード)を形成する場合は、裏面側もガスで保護するバックシールドが必要になることがあります。

抵抗溶接(スポット溶接)

抵抗スポット溶接は、重ねた板を電極で挟んで加圧し、大きな電流を短時間流して接合する方法です。板と板の間を含む電流経路で生じる電気抵抗によるジュール熱で、接合部に「ナゲット」と呼ばれる溶融・凝固部を形成します。

基本工程は、加圧して板を密着させる、通電してナゲットを形成する、通電後も加圧を保って凝固させる、という流れです。短時間で繰り返し施工できるため、自動車ボディなど薄板の量産に適しています。

品質を左右する基本条件は、溶接電流、通電時間、加圧力です。さらに、板厚、材質、表面処理、板同士の密着、電極先端径、電極の摩耗や冷却も影響します。電極で両側から挟めること、必要な位置に電極を入れられることが適用の前提です。

レーザ溶接

レーザ溶接は、集光したレーザ光を熱源として金属を溶かす方法です。高いエネルギー密度を利用し、条件が合えば高速で深い溶込みを得ながら、熱影響部や変形を小さく抑えられます。

薄板や精密部品、外観部品、自動化ラインに向きますが、「レーザなら必ず低入熱・低変形」という意味ではありません。出力、速度、焦点位置、ビーム形状、継手、材料によって結果は変わるため、実部品での条件確認が必要です。

一般に、突合せ継手の隙間や狙い位置のずれに対する許容範囲は小さく、部品精度と治具が品質の前提になります。溶加材の使用や、アークと組み合わせたハイブリッド溶接で適用範囲を広げる方法もあります。

また、レーザ光は目や皮膚に重大な障害を与えるおそれがあります。装置のクラスに応じて、遮へい、インターロック、管理区域、レーザー機器管理者(通達上の名称)、保護具などの安全対策を講じます。

スタッド溶接

スタッド溶接は、スタッドやボルトの端部と母材の間にアークなどを発生させ、短時間で溶着する方法です。片面から施工できるため、穴あけや裏側からのナット取り付けを減らせます。

建築分野では、鉄骨梁に頭付きスタッドを溶接して、鉄骨とコンクリートを一体化する用途などに使われます。デッキプレートを通して鉄骨梁へ施工する方法もあります。設備の支持金具や筐体内部の固定にも利用されます。

アークスタッド方式、CD方式、短時間方式などがあり、管理すべき条件は方式によって異なります。電流・時間だけでなく、突出し量、引上げ量、ばね力、母材厚さ、表面状態などを装置・スタッドメーカーの条件に合わせます。塗装、メッキ、錆、油分が接合面に残ると品質が不安定になるため、適用可否を事前に確認しましょう。

ろう接(ろう付け)

ろう付けは、母材をほとんど溶かさず、母材より融点の低いろう材を溶かして接合する方法です。適切な隙間に溶けたろう材が濡れ広がり、毛細管現象などによって接合部へ流れます。

一般に、ろう接は、溶加材の液相線温度が450℃以上のろう付け(硬ろう付け)と、450℃未満のはんだ付けに区別されます。ろう付けは、薄肉部品、配管、熱交換器、異種金属などで利用されます。

ろう付けの強度や耐熱性は、ろう材の種類だけでなく、母材、継手の重なり、隙間、接合面積、使用温度、荷重によって変わります。そのため、「融接より弱い」と一律に判断するのではなく、使用条件に対して継手を設計します。

フラックスは酸化物を除去し、濡れ性を助けます。ただし、真空ろう付けや制御雰囲気ろう付けなど、フラックスを使わない方法もあります。フラックス残渣が腐食に影響するか、洗浄が必要かは、フラックスの種類と使用環境に応じて確認します。

溶加材・ワイヤ・フラックス・シールドガスの役割

金属溶接の品質は、熱源だけでなく、溶加材、ワイヤ、フラックス、シールドガスの選定と管理にも左右されます。ただし、スポット溶接のように通常は溶加材を使わない工法や、真空中でフラックスを使わないろう付けもあり、必要な材料は工法ごとに異なります。

溶接材料 役割 管理のポイント
溶加材・ワイヤ 必要な溶接金属量を補い、強度、靭性、耐食性、割れにくさなどを調整する 母材、使用環境、施工法、規格に合う種類を選び、錆、油、水分を防ぐ
フラックス 酸化物の除去、濡れ性の改善、溶融金属の保護などを行う 吸湿や劣化を防ぎ、必要に応じてスラグや残渣を除去する
シールドガス 溶融金属や高温部を酸素・窒素などを含む大気から保護し、アークや溶込みを調整する ガス種、流量、漏れ、ノズル状態、風、トーチ距離を管理する

溶接部に入る水素は、大気だけでなく、母材やワイヤの水分、油、錆、吸湿した溶接材料などからも供給されます。とくに高強度鋼では、水素、母材の硬化性、継手の拘束、板厚、予熱・入熱などが重なると低温割れのリスクが高まります。

溶加材は、引張強さの数値が高いほどよいわけではありません。母材との強度差、靭性、溶接金属に含まれる拡散性水素の量、施工条件を含めて、適用規格や溶接施工要領書に基づいて選定します。

金属溶接方法の選び方

溶接方法を選ぶときは、最初から工法名を決めるのではなく、製品に必要な条件を整理します。おもな確認項目は次のとおりです。

  • 母材の材質、規格、調質状態、表面処理の有無
  • 各部の板厚、板厚差、継手形状、開先(溶接前に部材の縁へ設ける溝)、溶接姿勢
  • 必要な強度、疲労寿命、気密性、水密性、耐食性
  • 許容できる変形、熱影響、外観、仕上げの範囲
  • 単品・小ロットか、量産か。必要なサイクルタイム
  • 屋内・屋外、現地施工、片面施工などの作業条件
  • 設備、治具、作業者資格、検査方法、品質記録
  • 初期費用、材料費、施工時間、後加工、検査、不良対応を含む総コスト

鉄鋼では、炭素量や合金元素、熱処理状態によって硬化や割れのリスクが変わります。鉄鋼材料の基本から確認したい場合は、鉄と鋼の違い、種類・用途・選び方も参考になります。

条件別に候補を絞る

条件の例 候補になりやすい工法 選定時の確認点
屋外で鉄鋼の厚板や構造物を施工・補修したい 被覆アーク溶接など 風、姿勢、開先、予熱、溶接材料、要求資格
鉄鋼の製缶品を連続して効率よく溶接したい CO2溶接、MAG溶接 板厚、溶込み、スパッタ、ロボット化、シールド
アルミニウム部品の生産性を重視したい MIG溶接 合金系、酸化皮膜、ワイヤ送給、入熱、気孔
ステンレス薄板をきれいに仕上げたい TIG溶接、レーザ溶接 数量、隙間、変形、裏面シールド、治具、設備費
薄板の重ね継手を大量生産したい 抵抗スポット溶接 電極アクセス、打点位置、ナゲット、電極寿命
精密部品を高速・低変形で接合したい レーザ溶接 継手精度、狙い位置、反射、治具、安全設備
鋼板にボルトやスタッドを片面から付けたい スタッド溶接 方式、母材厚さ、表面状態、施工後の確認
母材をほとんど溶かさず、異種金属を接合したい ろう付け、固相接合、機械的接合など 濡れ性、金属間化合物、使用温度、腐食、継手強度

上表は候補を絞るための目安です。実際の製品では、試作と断面確認、強度試験、漏れ試験などを行い、合格した条件を溶接施工要領書や作業標準として固定します。

定量的に比較するための項目

工法ごとに使える板厚や施工速度は、材料、継手、設備出力で大きく変わります。そのため、一般的な数字だけで比較するより、候補となる加工業者や設備について、次の項目を同じ条件で確認する方法が確実です。

比較項目 数値・条件の例
材料・形状 材質規格、板厚mm、板厚差、継手長さmm、最小隙間・最大隙間mm、溶接姿勢
要求性能 引張荷重N、せん断荷重N、疲労回数、使用圧力、許容漏れ量、使用温度
寸法・外観 許容変形mm、寸法公差、ビード幅・高さ、焼けやスパッタの許容範囲
生産性 月産・年産数量、1個当たりの施工時間、段取り時間、設備稼働率
品質保証 外観検査、浸透探傷、放射線・超音波検査、断面試験、破壊試験、記録の保存期間
コスト 治具・プログラム費、材料費、加工費、仕上げ費、検査費、輸送費、不良・手直し率

同じ図面を複数社へ提示し、上記の条件と見積範囲をそろえると、単価だけでなく品質と量産性を含めて比較しやすくなります。

薄板溶接で起こりやすい問題と対策

「薄板」が示す板厚は業界や製品によって異なり、一律の境界はありません。共通する課題は、材料の熱容量が小さく、少しの条件変化でも穴あきや変形が起こりやすいことです。

  • 入熱を抑える:電流・電圧、パルス、施工速度、溶接長、溶接順序を見直す
  • 隙間を安定させる:切断・曲げ精度を上げ、治具や仮付けで位置を保持する
  • 熱を分散する:短い区間に分ける、対称に施工する、適切な裏当てや冷却治具を検討する
  • 表面を清浄にする:油、水分、錆、酸化皮膜を材料に適した方法で除去する
  • 工法を見直す:継手と数量に応じて、TIG、MIG・MAG、スポット、レーザなどを比較する

アルミニウムでは、母材より融点が高い強固な酸化皮膜が溶融を妨げます。また、気孔はおもに水分、含水した酸化皮膜、油分などから溶融金属へ入った水素によって生じます。機械的な酸化皮膜除去だけでなく、脱脂、材料・溶加材の保管、シールドの管理を組み合わせることが重要です。

異種金属の溶接が難しい理由

異種金属の接合は、軽量化、耐食性、熱・電気特性の使い分けなどに役立ちます。一方で、同種金属より検討項目が増えるため、最初に「直接溶かして接合できる組み合わせか」を確認する必要があります。

  • 融点、熱伝導率、熱膨張係数が異なり、片側だけが過熱したり変形したりする
  • 溶けて混ざると、硬くてもろい金属間化合物をつくる組み合わせがある
  • 溶接金属の成分が変わり、割れや耐食性低下が起こることがある
  • 使用中に水分や電解液が触れると、異種金属接触腐食が起こることがある

異種金属接触腐食は、異なる金属が電気的に接続され、さらに水分などの電解質が存在すると進みます。溶接された金属同士は電気的につながっているため、溶接界面を絶縁することはできません。水や薬液を滞留させない構造、シーリング、適切なコーティング、材料の面積比などを含めて対策します。

関連記事:金属腐食とは?原因・種類・対策をわかりやすく解説

アルミニウムと鉄

アルミニウムと鉄を直接溶融させると、接合界面に硬くてもろいFe-Al系の金属間化合物ができやすくなります。低入熱・短時間で化合物層の成長を抑えることは重要ですが、それだけで安定した品質が得られるとは限りません。

用途に応じて、レーザブレージング、圧接の一種である摩擦攪拌接合などの固相接合、クラッド材、適切な中間材、ろう付け、機械的接合を比較します。試作では外観だけで判断せず、断面観察、接合強度、破断位置、腐食試験などを確認します。

ステンレスとチタン

ステンレスとチタンは、直接溶かして混ぜるとFe、Cr、NiとTiによるもろい金属間化合物が生じやすく、一般的な直接融接の組み合わせとしては非常に難しい材料です。チタン側のシールドを強化するだけでは、この金属学的な問題は解決できません。

爆発圧着や拡散接合でつくられたクラッド材、摩擦圧接、用途に合う中間材を用いた接合、ろう付けなどを検討します。加熱されるチタンは高温で酸素や窒素を取り込みやすいため、採用した工法に応じて清浄度と表面・裏面のシールドも管理します。

関連記事:アルミとステンレスの違いとは?強度・重さ・耐食性を比較し、見分け方も解説

よくある溶接不良と確認するポイント

不良の原因は1つとは限りません。材料、継手、設備、施工条件、作業者、環境の変化を記録し、順番に切り分けることが大切です。

不良 おもな状態 確認するポイント
溶込み不足 継手の必要な深さまで溶け込んでいない 電流・速度、開先、ルート間隔(継手の最深部に設ける隙間)、ワイヤ位置、母材厚さ
融合不良 溶接金属と母材、または層同士が十分に溶け合っていない 入熱、トーチ角度、移動速度、開先面の汚れ、層間清掃
気孔 溶接金属内にガスによる空洞が残る 油・水分・錆、ガス漏れ、流量、風、ノズル、材料保管
スラグ巻込み 溶接金属内にスラグが残る 層間清掃、開先角度、運棒(溶接棒の動かし方)、電流、ビード形状
割れ 溶接中または冷却後に亀裂が生じる 材料組み合わせ、水素、予熱・層間温度、入熱、拘束、溶加材
アンダーカット 溶接止端部(溶接金属と母材表面の境界)の母材が溝状に削られる 電流・電圧、速度、トーチ角度、狙い位置
スパッタ 溶けた金属粒が周囲へ飛散・付着する 電流・電圧、極性、ガス、ワイヤ、給電チップ、アーク長
変形・歪み 加熱と冷却による収縮で寸法や形状が変わる 入熱、溶接順序、継手配置、仮付け、治具、拘束、部材剛性

「不良が出たら、まず電流を上げる」「ガス流量を増やす」と決めつけると、別の不良を招くことがあります。直前に変わった材料ロット、隙間、消耗品、ガス、作業場所、条件値を記録と照合し、原因を切り分けましょう。

溶接作業に必要な資格と安全対策

溶接では、感電、アーク光、やけど、ヒューム、火災・爆発、酸素欠乏、レーザ光などの危険があります。必要な教育・資格と安全対策は、工法、設備、材料、作業場所によって異なります。

対象 実務で確認する内容
アーク溶接等の業務 事業者は、対象業務に労働者を就かせるとき、労働安全衛生法令に基づく特別教育を行う必要がある
可燃性ガスと酸素を使う溶接・溶断・加熱 原則として、ガス溶接技能講習を修了した者など、法令で定められた資格者が従事する
溶接技能者資格 JIS・WESなどに基づく技量資格。すべての溶接作業に一律で必要な法定資格ではないが、適用法規、工場認定、発注仕様書で求められる場合がある
レーザ溶接 レーザ機器のクラスに応じて、管理者、管理区域、遮へい、インターロック、保護具などを定める

金属アーク溶接等で発生する溶接ヒュームは、特定化学物質として規制の対象です。作業内容や作業場に応じて、全体換気・局所排気、濃度測定、適切な呼吸用保護具、フィットテスト、健康診断、作業主任者など、必要な措置を確認します。

  • 溶接方法に適した遮光保護面、保護眼鏡、難燃性保護衣、手袋を使用する
  • ケーブル、ホルダー、電撃防止装置、接地、濡れた作業環境を点検する
  • 可燃物を除去・養生し、火花が届く範囲と裏側も確認する
  • タンクや配管は残留物を確認し、洗浄・置換・測定など所定の手順を守る
  • 狭い場所では、シールドガスによる酸素欠乏を含めて換気と監視を行う
  • 母材、メッキ、被膜、溶接材料から発生する有害物質を事前に確認する

法令や通達、適用規格は改正されることがあります。実際の作業では、最新の法令、設備メーカーの取扱説明書、発注仕様書、社内安全基準を確認してください。

溶接後に表面処理を行う場合の注意点

溶接した基材に塗装やコーティングを行う場合は、溶接部の仕上げも表面処理の品質に影響します。とくに耐食用途では、溶接部の隙間、巣穴、スパッタ、アンダーカットが、被膜欠陥や早期劣化の原因になることがあります。

コーティング面の溶接部は、用途に応じて全周溶接とし、ビードを平滑に仕上げます。また、ろう付けやはんだ付け、亜鉛・すずなどのメッキを含む基材は、コーティングの焼成温度で溶融・劣化する可能性があるため、事前確認が必要です。

吉田SKTでは、表面処理を前提とした製缶基材や切削加工品の製作も承っています。すでに製作済みの基材は、図面や写真をもとに表面処理に適した形状かを確認し、必要に応じて修正箇所をお知らせします。これから製作する場合は、原則として製作図面をご用意いただき、焼成時の熱影響やコーティング被膜の厚みによる寸法への影響などを事前に確認します。

金属溶接のまとめ

金属溶接は、熱、圧力、またはその両方を利用して金属部材を一体化する接合法の総称です。母材を溶かす融接だけでなく、スポット溶接などの圧接、ろう付けなどのろう接もあります。

工法選定では、材質と板厚だけでなく、継手形状、必要強度、気密性、変形、外観、数量、作業場所、設備、検査、総コストを整理します。一般的な工法比較で候補を絞り、試作と検査で条件を確認したうえで、作業標準として固定することが品質安定への近道です。

薄板や異種金属では、低入熱だけで解決しない問題があります。隙間、治具、材料の清浄度、金属間化合物、腐食、後工程まで含めて接合方法を選び、必要に応じてろう付け、固相接合、機械的接合も比較しましょう。

また、溶接後にコーティングを行う場合は、溶接部の隙間や欠陥、焼成温度への適合も重要です。吉田SKTでは、表面処理を前提とした基材の設計確認に加え、ご相談に応じて製缶基材や切削加工品の製作も承っています。