非鉄金属とは?8種類の特徴・用途一覧と鉄鋼との違い
こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。
非鉄金属とは、アルミニウムや銅など、鉄以外の金属を主成分とする金属材料の総称です。電線、自動車部品、電池など、身近な製品から産業設備まで幅広く使われています。
材料によって、軽さ、電気や熱の伝えやすさ、腐食への強さなどに特徴があります。代表例を用途と結びつけると、それぞれの役割をつかみやすくなります。
この記事では、非鉄金属と鉄鋼との違い、主な種類と用途、材料選定のポイントを紹介します。あわせて、金属部品の付着・摩擦・腐食への対策に用いるコーティングやライニングについても解説します。
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非鉄金属の定義と鉄鋼との違い
金属材料は、主成分に着目すると「鉄鋼材料」と「非鉄金属」に大きく分けられます。鉄鋼材料には鋼やステンレス鋼が含まれます。非鉄金属には、アルミニウムや銅などの金属に加え、それらを主成分とする合金も含まれます。合金は、金属にほかの元素を加えて、強度や加工性などを調整した材料です。
例えば、アルミニウム合金や黄銅は非鉄金属に分類されます。ステンレス鋼は鉄を主成分とするため、鉄鋼材料に分類されます。ニッケルやクロムを含むステンレス鋼も、主成分に基づいて捉えると位置づけが明確になります。
亜鉛メッキ鋼板は、鋼板の表面を亜鉛の被膜で覆った材料です。土台となる鋼板は鉄鋼材料、表面の亜鉛は非鉄金属にあたります。このように、部品の材料と表面処理を分けて捉えることが大切です。
非鉄金属は、軽さを生かすアルミニウム、電気を通しやすい銅など、求める特性に応じて使い分けられています。
金属全体の分類と代表的な材料の比較や、鉄鋼材料に分類されるステンレス鋼の特徴は、次の記事で解説しています。
非鉄金属の代表例一覧
まずは、工業製品で目にする代表的な8種類を紹介します。表の用途には、純金属として使うものと、合金や化合物の成分として使うものが含まれます。
| 種類 | 主な特徴 | 身近な製品・用途例 |
|---|---|---|
| アルミニウム(Al) | 軽く、熱を伝えやすい | 自動車や鉄道車両の車体、ラジエーター、エアコンのフィン |
| 銅(Cu) | 電気や熱をよく伝える | 電線、コネクタ、熱交換器 |
| 鉛(Pb) | 重く、やわらかい。X線・γ線の遮へいに利用される | 鉛蓄電池、放射線遮へい材 |
| 亜鉛(Zn) | 鉄鋼の防食に役立ち、合金は鋳造にも使われる | 亜鉛メッキ、ダイカスト用合金、乾電池 |
| ニッケル(Ni) | 耐食・耐熱合金や電池材料の成分になる | ステンレス鋼への添加、耐熱部品、メッキ、電池 |
| チタン(Ti) | 鉄鋼より軽く、海水などに対する耐食性が高い | 航空機部品、化学プラント、海水淡水化装置 |
| マグネシウム(Mg) | 構造材料として使う金属の中で特に軽い | 自動車部品、電子機器のケース |
| スズ(Sn) | 融点が比較的低く、接合や表面保護に用いられる | はんだの主成分、ブリキのメッキ |
同じ金属でも、合金の組成や熱処理、加工状態によって性質は変わります。表は材料の全体像をつかむための目安としてご活用ください。
代表的な非鉄金属の特徴と用途
アルミニウムや銅は、製品の本体や部品として使われる機会が多い材料です。亜鉛やニッケルのように、メッキや合金の成分として製品の機能を支える金属もあります。
アルミニウムとアルミニウム合金
アルミニウムは軽さが特長で、同じ体積で比べると重さは鉄のおよそ3分の1です。自動車の車体や地下鉄・新幹線の車体に使われるほか、熱を伝えやすい性質を生かして、自動車のラジエーターやエアコンのフィンにも用いられています。
用途に合わせて、薄板や押出材などの形に加工して使われます。
強度が必要な部品には、合金元素の添加や組織の制御によって強度を高めたアルミニウム合金が使われます。表面に形成される酸化皮膜は耐食性に寄与し、用途によっては、アルマイトなどの表面処理と組み合わせて使われます。
アルミニウム合金の系統(1000系~8000系)ごとの特性と用途は、次の記事にまとめています。アルミニウムの表面処理として代表的なアルマイトとメッキの違いもあわせてご覧ください。
銅と銅合金
銅は電気と熱をよく伝える金属です。電線やコネクタ、配電盤の部品、エアコンなどの熱交換器に使われています。
用途に応じて、銅にほかの元素を加えた銅合金も使われます。銅と亜鉛を主成分とする黄銅は、真鍮とも呼ばれ、水栓部品などに用いられます。切削加工が多い部品には、削りやすさを高めた快削黄銅などが選ばれます。
銅にスズとリンを加えたりん青銅は、ばね用の材料としても使われます。銅合金では、導電性に加えて、強度やばね性なども選定のポイントです。
鉛
鉛は重く、やわらかく加工しやすい金属です。主な用途は、自動車用や定置用の鉛蓄電池です。鉛蓄電池には、鉛に加えて二酸化鉛などの鉛化合物も使われています。
また、密度が高くX線やγ線をよく吸収するため、医療や工業の分野で放射線の遮へい材として利用されます。
亜鉛
亜鉛は、鉄鋼を腐食から守るメッキ材料として広く使われています。亜鉛には、鉄よりも先に腐食して鉄を守る「犠牲防食」の働きがあります。
亜鉛は融点が419.5℃と比較的低く、亜鉛合金は、金型を使う鋳造方法の一つであるダイカストの材料にも使われます。このほか、乾電池の材料にも用いられます。
ニッケル
ニッケルは、ステンレス鋼の合金成分、耐熱合金、メッキなどに使われる金属です。ニッケル基耐熱合金はガスタービンに用いられ、ニッケルを含む非鉄合金は電子機器や海水淡水化プラントなどに使われています。
電池材料として使われるのは、主にニッケルを含む化合物です。ニッケル水素電池や、一部のリチウムイオン電池の正極材料に利用されています。
ニッケルは非鉄金属にあたり、ニッケルを添加したステンレス鋼は鉄鋼材料に分類されます。元素としてのニッケルと、それを含む製品の材質を分けると理解しやすくなります。
ニッケルメッキの一つである無電解ニッケルメッキの特徴や膜厚・硬度、ニッケル基合金であるハステロイとインコネルの違いについては、それぞれ次の記事をご覧ください。
チタン・マグネシウム・スズ
チタンは鉄鋼より軽く、海水などに対する耐食性に優れます。チタン合金は軽さと強度を生かして航空機部品に、純チタンは耐食性を生かして化学プラントや海水淡水化装置などに利用されます。
純チタンとチタン合金の違いや、加工時の注意点は、次の記事で詳しく解説しています。
マグネシウムは、構造材料として使われる金属の中で特に軽い材料です。一般には合金として、自動車部品や電子機器のケースなどに使われます。薄い切りくずや粉末は燃えやすいため、加工時の切りくず・粉じんの保管や集じんには注意が必要です。
スズは、電子部品を接合するはんだの主成分として身近な金属です。鋼板にスズをメッキした「ブリキ」は、缶などに用いられます。
非鉄金属の主な特性を比べるポイント
非鉄金属の性質を比べるときは、材料ごとに得意とする特性を捉えることが大切です。ここでは、軽さ、電気・熱の伝わりやすさ、耐食性の3つを取り上げます。
金属が電気や熱を伝えやすい理由や、合金にすると性質が変わる理由は、次の記事で説明しています。
軽さ
軽量化には、アルミニウムやマグネシウム、チタンなどが候補になります。同じ体積で比べた重さは、鉄に対してアルミニウムがおよそ3分の1、マグネシウムがおよそ4分の1、チタンがおよそ6割です。鉛のように重い金属もあるため、非鉄金属の中でも重量の差は大きくなります。
電気や熱の伝わりやすさ
電気や熱をよく伝える材料として、銅やアルミニウムが広く使われています。電線やコネクタ、熱交換器、エアコンのフィンなどが代表的な用途です。
フッ素樹脂などの被膜には電気絶縁性があります。金属部品に被膜を設ける場合は、通電する箇所への影響について考慮が必要です。絶縁を目的としたコーティングは、電気特性に優れた表面処理(コーティング)のページで紹介しています。
使用環境に応じた耐食性
耐食性は、腐食に対する強さを表します。アルミニウムは表面の酸化皮膜によって内部が保護されます。塩分を含む水滴が付く環境では、孔食と呼ばれる局部的な腐食が生じることがあります。
水分がある環境で異なる金属が接触すると、一方の金属の腐食が進みやすくなることがあります。これを「異種金属接触腐食」と呼びます。
孔食や異種金属接触腐食を含む腐食の種類と、その対策は次の記事で詳しく解説しています。
非鉄金属の主な用途とリサイクル
非鉄金属の使われ方は、材料ごとに特徴があります。JOGMECの「鉱物資源マテリアルフロー」では、銅は電線や伸銅品、鉛は鉛蓄電池、亜鉛は鉄鋼の防食、ニッケルはステンレス鋼などが主要な用途として紹介されています。伸銅品は、銅や銅合金を板、管、棒、線などに加工した製品です。
出典:エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)「鉱物資源マテリアルフロー2024 銅」
出典:エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)「鉱物資源マテリアルフロー2024 鉛」
出典:エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)「鉱物資源マテリアルフロー2025 亜鉛」
出典:エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)「鉱物資源マテリアルフロー2023 ニッケル」
アルミニウムは、回収した金属を原料として再利用しやすい金属です。鉛も、使用済みのバッテリーから回収されてリサイクルされています。アルミニウムのスクラップを溶かし直す際は混入した不純物を取り除くことが難しいため、再生材を使う場合も、合金成分や必要な品質を満たすことが前提となります。
非鉄金属を選ぶときのポイント
部品に必要な特性を整理すると、材料の候補を絞りやすくなります。設計・調達の際には、次の項目が検討の出発点になります。
- 必要な特性:軽さ、強度、電気や熱の伝わりやすさなど、部品に求める役割
- 使用環境:温度、水分、接触する薬品の種類・濃度、洗浄方法
- 材質と加工状態:合金の種類、材料記号、熱処理や加工による状態
- 形状と加工方法:板・棒・鋳物などの形状、切削・曲げ・溶接などの加工
- 表面に必要な機能:付着の抑制、すべり性、耐食性、電気絶縁性など
候補材が決まった後は、必要な寸法や数量、入手できる形状などを踏まえた具体的な仕様の検討が必要です。同時に、使用中に部品表面で起こる付着や摩擦、腐食についても考えておくと、表面処理を含めた選定につながります。
アルミニウム合金や銅合金、チタンなど、素材ごとの加工時のポイントを知りたい方は、次の記事もご覧ください。
非鉄金属部品の付着・摩擦・腐食を改善する表面処理
アルミニウムの軽さや銅の熱伝導性を生かした部品でも、使用する工程によって、接着剤の付着、摺動部の摩擦、薬液による腐食などが課題になります。こうした表面の課題には、コーティングやライニングを組み合わせる方法があります。
コーティングは、部品の土台となる材料(基材)の表面に被膜を設け、必要な機能を付与する処理です。薬液と接する設備などでは、基材を保護するライニングが用いられます。両者の違いは、コーティングとライニングの違いで解説しています。フッ素樹脂を使う処理は、非粘着性、すべり性、耐薬品性を生かして、次のような課題への対策として検討できます。
| 表面の課題 | 検討する機能 | 用途・検討場面の例 |
|---|---|---|
| 接着剤や樹脂などが付着する | 非粘着性・離型性 | 粘着物に触れる治具や搬送部品 |
| 接触する部品の摩擦を減らしたい | すべり性・低摩擦性 | 摺動部品、ガイド、搬送部品 |
| 薬液などによる腐食を抑えたい | 耐食性・耐薬品性 | 薬液に触れる部品、タンク、配管 |
※上表は処理を検討する場面の例です。適用できる材質や形状、得られる効果は、処理の仕様と使用条件によって異なります。
※「検討する機能」の各項目から、その機能に優れた表面処理の紹介ページをご覧いただけます。
吉田SKTでは、こうした課題に応じたフッ素樹脂コーティングをご提案しています。薬液による腐食への対策としては、薬品の浸透を抑えることに着目したMYライニング®などを取り扱っています。ライニングを適用できるかどうかは、基材の材質や形状、薬液、温度などに応じた検討が必要です。
吉田SKTの処理ラインナップや、選定を支えるサービスを知りたい方には「機能性表面処理ガイド」をご用意しています。必要な表面機能に合う処理を検討する際にご活用ください。
コーティングを検討する際の確認事項
表面処理の仕様を決める際は、使うときの条件と、加工するときの条件の両方について検討が必要です。PTFEやPFAのコーティングでは、一般に400℃程度まで加熱して焼き付けるため、基材の熱変形や寸法の変化についても考慮が必要です。加工の流れは、フッ素樹脂コーティングの加工工程で紹介しています。
- 基材の材質・状態:合金の種類、熱処理状態、既存の表面処理
- 使用条件:温度、接触物、薬品の種類・濃度、接触時間、洗浄条件
- 摩擦の条件:相手材、荷重、速度、摩耗の状況
- 部品の形状と寸法:処理する面、膜厚を含む仕上がり寸法、組み付け条件
- 電気・熱への影響:通電部分、放熱面、絶縁が必要な箇所
耐食用途では、被膜が薄いと薬液が被膜を浸透して基材を腐食させることがあるため、用途に応じた膜厚の選定が必要です。事前のテストで、実際の使用環境に合った仕様かを確かめる方法もあります。
スズ・鉛・亜鉛など融点が低い金属やそのメッキ、高温で酸化膜ができやすい銅など、フッ素樹脂コーティングを施す基材の材質ごとの注意点は、次の記事で解説しています。
使用条件や現場の課題から表面処理を選ぶ考え方は、次の記事で紹介しています。
まとめ
非鉄金属には、アルミニウム、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、チタン、マグネシウム、スズなどがあります。軽量化にはアルミニウムやマグネシウム、導電・伝熱には銅など、材料ごとの特性と用途を結びつけると、全体像をつかみやすくなります。
部品を設計する際は、材質や加工方法とともに、使用環境や表面に必要な機能についても検討が必要です。付着・摩擦・腐食への対策では、フッ素樹脂コーティングやライニングも選択肢になります。
吉田SKTは、金属部品に必要な非粘着性・すべり性・耐食性などを付与する表面処理の加工を承っています。お使いの部品の材質、形状、使用条件、現在のお困りごとをお知らせください。図面や現物の状態をもとに、適用できる処理をご提案します。


