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ガラス転移温度(Tg)とは?意味・融点やHDTとの違い、測定方法を解説

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こんにちは。「吉田SKT」ブログ編集チームです。

樹脂材料のカタログや技術資料を見ると、「Tg 150℃」といった数値が記載されていることがあります。

Tgはガラス転移温度(Glass Transition Temperature)を表し、樹脂の温度特性を理解するうえで重要な指標です。特に、寸法精度や剛性、高温環境での安定性が求められる部品では、材料選定の判断材料として活用されています。

樹脂の耐熱性を考える際には、Tgのほか、融点(Tm)、荷重たわみ温度(HDT)、連続使用温度など複数の指標があります。それぞれが表す現象や評価方法を整理することで、カタログに記載された数値を設計条件に結び付けやすくなります。

この記事では、ガラス転移温度の基本から、Tg付近で起こる物性変化、融点やHDTとの違い、測定方法、材料選定での見方までわかりやすく解説します。

ガラス転移温度(Tg)とは

ガラス転移温度(Tg)は、樹脂の非晶部にある分子鎖の動きが大きく変化する温度域を表します。「ガラス転移点」と呼ばれることもあります。

低温側では、分子鎖の一部分であるセグメントの動きが小さく、樹脂は比較的硬い状態を示します。

温度が上昇してTg付近に達すると、セグメント運動が活発になり、弾性率、熱膨張、比熱などの性質が変化します。

融点(Tm)は、結晶性を持つ樹脂の結晶部分が溶融する温度です。Tgは主に非晶部の分子運動の変化を表すため、融点とは異なる現象を示しています。

Tg付近でも樹脂は固体の形状を保ちながら、硬さや変形のしやすさなどが変化していきます。

ポイント

  • ガラス転移は一定の幅を持つ温度領域として観測されます。
  • 材料データを比較する際には、Tgの数値とともに、測定方法や測定条件を確認すると材料特性をより正確に把握できます。

樹脂そのものの分類について確認したい方は、以下の記事も参考になります。

Tg前後で変化する樹脂の状態

Tgより低い温度域では、樹脂の非晶部は「ガラス状態」と呼ばれる状態にあります。

分子鎖の動きが小さく、一般に弾性率が高いため、荷重に対する変形量を抑えやすい状態です。

温度がTg付近まで上昇すると分子鎖の運動性が高まり、樹脂は徐々に柔軟な挙動を示します。さらに高い温度側では、非晶部にゴム状の挙動が現れます。

この変化に伴い、同じ荷重を受けた場合でも変形量が増えやすくなります。長時間荷重を受ける用途では、クリープや応力緩和も設計上の重要な確認項目になります。

Tgは、温度上昇によって樹脂の物性がどのように変化するかを把握するための指標として活用できます。

非晶性樹脂と部分結晶性樹脂におけるTg

樹脂の構造によって、Tgが材料特性に与える影響も変わります。

温度と弾性率の関係の模式図。非晶性樹脂はTgで弾性率が大きく低下し、部分結晶性樹脂はTgで一部低下した後、融点まで一定程度の剛性を保つ
図1 温度と弾性率の関係(模式図)

非晶性樹脂

PMMA(アクリル)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)などは代表的な非晶性樹脂です。

非晶性樹脂では、Tg付近で弾性率や熱膨張挙動が大きく変化します。そのため、寸法精度や剛性を求める部品では、Tgが材料選定の重要な指標になります。

非晶性樹脂はTgで弾性率が大きく低下するため、荷重たわみ温度(HDT)は一般にTgより低い温度になります。荷重を受ける部品で高温側の使用温度を検討する際には、Tgより低い値となるHDTを目安にします。

透明性を生かした光学部品でも、温度変化による寸法や内部応力の変化が性能に影響する場合があります。使用温度とTgの位置関係に加えて、部品形状や成形条件も確認します。

部分結晶性樹脂

PE、PP、PA、PET、PEEK、PTFEなどは、結晶部と非晶部が共存する部分結晶性の樹脂です。

非晶部にはTgがあり、結晶部には融点(Tm)があります。

温度がTgを超えると非晶部の分子運動が活発になります。結晶部は融点まで構造を維持するため、材料全体の高温特性には結晶化度や結晶構造も関係します。

PEEKは、この関係を理解しやすい樹脂の一つです。VICTREX PEEK 450Gの技術資料では、ISO 11357-2(DSC)によるガラス転移温度が開始点(onset)で143℃、中間点(midpoint)で150℃、ISO 11357-3による融点が343℃とされています。

出典:Victrex「VICTREX PEEK 450G データシート」

高温環境における剛性や寸法安定性を評価する際には、Tgとともに結晶性、高温時の機械物性、荷重条件などを確認します。

Tg付近で変化する主な物性

ガラス転移温度付近では、樹脂の分子運動が変化することで複数の物性に影響が現れます。

設計で特に確認したい項目は、弾性率、寸法安定性、クリープ、応力緩和などです。

確認する項目Tg付近で見られる主な変化
弾性率・剛性温度上昇に伴って弾性率が低下し、荷重による変形量が増える
熱膨張熱膨張係数の変化が現れる
寸法安定性熱膨張や応力緩和による寸法変化が現れやすくなる
クリープ荷重を受け続けたときの時間依存の変形が大きくなる
応力緩和締結部や嵌合部などの保持力が変化する場合がある
光学特性寸法や内部応力の変化が複屈折などの光学性能に影響する場合がある

寸法安定性への影響

精密部品では、わずかな寸法変化でも機能に影響することがあります。

たとえば嵌合部品では、温度上昇による熱膨張や応力緩和によって、保持力や組付け精度が変化する場合があります。

ビス締結部では、樹脂の変形に伴って座面の状態や軸力が変化することもあります。

温度変化を伴う用途では、最高温度に加え、温度サイクルや局所的な発熱を把握することで、実際の使用環境に近い評価ができます。

剛性とクリープへの影響

Tg付近では弾性率が大きく変化します。

高温環境で荷重を受ける部品では、強度とともに変形量も重要な設計項目になります。

また、樹脂は粘弾性を持つ材料です。一定の荷重を受け続けると、時間の経過とともに変形が進むクリープが生じます。

長期間使用する部品では、温度、荷重、使用時間を組み合わせた評価が材料選定に役立ちます。

光学部品への影響

レンズや透明カバーなどの光学用途では、寸法変化や内部応力の変化が光学性能に影響する場合があります。

成形時に生じた残留応力と分子配向は、複屈折にも関係します。温度履歴によって応力状態が変化すると、光学特性にも変化が現れることがあります。

発熱部品の近くでは部品内部に温度差が生じることもあるため、平均温度と局所的な温度分布の両方を確認します。

Tgと融点・HDT・連続使用温度の違い

樹脂の耐熱性に関する技術資料には、Tg以外にもさまざまな温度指標が記載されています。

それぞれの意味を整理すると、材料カタログの数値を比較しやすくなります。

指標主に表している内容材料選定での見方
ガラス転移温度(Tg)非晶部の分子運動が大きく変化する温度域剛性や寸法安定性などの変化を考える
融点(Tm)結晶部分が溶融する温度部分結晶性樹脂の高温特性や加工条件を考える
荷重たわみ温度(HDT)規定荷重下で標準試験片が一定量たわむ温度荷重を受ける材料の高温時の変形特性を比較する
連続使用温度長期間使用する際の温度の目安(JIS K 7226などで評価)実際の使用環境との適合性を検討する
RTI長期熱老化後の特定物性を評価するULの相対温度指数電気・電子用途などで長期熱特性を確認する

Tgと融点(Tm)

Tgは非晶部の分子運動が変化する温度域です。

融点(Tm)は、部分結晶性樹脂に含まれる結晶部分が溶融する温度を表します。

部分結晶性樹脂ではTgとTmの両方が存在するため、高温特性を考える際には両者の位置関係が参考になります。

Tgと荷重たわみ温度(HDT)

HDTは、JIS K 7191やISO 75に基づき、標準試験片に規定の曲げ応力を加えながら昇温し、一定のたわみに達した温度を測定する試験です。

材料が荷重を受けた状態での高温特性を比較する際に活用されています。

曲げ応力には1.80MPaや0.45MPaなどの条件があり、同じ材料でも荷重条件によってHDTは大きく変わります。カタログ値を比較する際は、試験荷重をそろえて確認します。

ガラス繊維で強化すると、部分結晶性樹脂ではHDTが大きく上昇し、融点に近づく場合があります。このときTgはほとんど変化しません。非晶性樹脂では、ガラス繊維を加えてもHDTの上昇は小さく、強化グレードでも一般にHDTはTgを下回ります。

ガラス繊維強化とHDTの関係の模式図。非晶性樹脂は強化してもHDTがTg付近にとどまり、部分結晶性樹脂は強化によりHDTが融点近くまで上昇する
図2 ガラス繊維強化とHDTの関係(模式図)

Tgは材料内部における分子運動の変化、HDTは規定された荷重条件における変形挙動を表す指標です。

実際の部品では形状、荷重、使用時間などの条件が加わるため、高温時の弾性率やクリープ特性も組み合わせて評価します。

Tgと連続使用温度・RTI

連続使用温度は、長期間にわたって材料や製品を使用するときの温度特性を考えるための指標です。

長時間の熱曝露では、酸化や分子構造の変化などによって材料特性が徐々に変化します。そのため、長寿命が求められる用途では、メーカーが公開する長期熱特性や熱老化データも重要な判断材料になります。

JIS K 7226(ISO 2578)など、長時間の熱暴露後の物性変化から温度限界を求める規格もあります。

RTI(Relative Thermal Index:相対温度指数)は、UL 746Bに基づいて長期的な熱劣化を評価する指標です。

RTIには、電気、機械(衝撃あり)、機械(衝撃なし)の3つの区分があり、試験した厚みごとに値が示されます。材料カタログでは、用途に合う区分と部品の厚みに近い値を確認します。

ガラス転移温度(Tg)の測定方法

Tgの測定には複数の方法があります。

代表的な方法として、DSC、TMA、DMAがあります。測定方法によって捉えている物性が異なるため、同じ材料でも得られるTgに差が生じる場合があります。

測定方法測定するものTgの読み取り方主な規格
DSC熱流(比熱の変化)ベースラインの段差の開始点・中間点などJIS K 7121、ISO 11357-2
TMA寸法変化(熱膨張)膨張曲線の傾きが変わる点ISO 11359-2
DMA弾性率・損失(粘弾性)E’の低下、E”やtanδのピークなどISO 6721-11

DSC(示差走査熱量測定)

DSCは、試料を加熱または冷却しながら熱流の変化を測定する方法です。

ガラス転移が起こると比熱が変化するため、DSC曲線上ではベースラインの変化として観測されます。

国内ではJIS K 7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」があり、プラスチックの融解温度、結晶化温度、ガラス転移温度の測定方法を規定しています。

国際規格では、ISO 11357-2:2020にDSCによるガラス転移温度の測定方法が定められています。

ガラス転移は温度域として現れるため、DSCでは開始側や中間点などの代表温度でTgを表す方法があります。JIS K 7121では、補外ガラス転移開始温度や中間点ガラス転移温度などの求め方が定められています。

DSC曲線の模式図。ベースラインの段差から、補外ガラス転移開始温度(onset)、中間点ガラス転移温度(midpoint)、補外ガラス転移終了温度を求める位置を示す
図3 DSC曲線とTgの読み取り位置(模式図)

メーカーの技術資料を比較する際には、onset(開始点)、midpoint(中間点)など、どの位置をTgとして採用しているかを確認すると材料間の比較がしやすくなります。

TMA(熱機械分析)

TMAは、温度変化に伴う試料寸法の変化を測定する方法です。

Tg付近では熱膨張の挙動が変化するため、寸法変化の傾きからガラス転移温度を評価できます。

TMA曲線の模式図。Tgの前後で寸法変化の傾き(線膨張係数)が変わり、2本の接線の交点をTgとする
図4 TMA曲線とTgの求め方(模式図)

ISO 11359-2:2021では、TMAによる線膨張係数とガラス転移温度の測定方法が規定されています。

寸法精度が重要な部品では、Tgと線膨張係数を組み合わせて確認することで、設計条件との関係を整理しやすくなります。

DMA(動的粘弾性測定)

DMAは、試料に周期的な変形を与えながら、弾性と粘性の温度変化を測定する方法です。

Tg付近では、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”、損失正接tanδなどに特徴的な変化が現れます。

DMA曲線の模式図。E'の低下開始、E''のピーク、tanδのピークの順に高い温度となり、どの特性で読み取るかによってTgの値が変わる
図5 DMA曲線とTgの読み取り位置(模式図)

ISO 6721-11:2019では、動的機械特性を用いたガラス転移温度の測定方法が規定されています。

機械部品の材料選定では、Tgの代表値に加えて、温度上昇に伴って弾性率がどのように変化するかを見ることで、実際の使用条件との関係を把握しやすくなります。

同じ樹脂でもTgの値が変わる理由

Tgは樹脂の種類に加えて、分子構造や配合、試料状態、測定条件などの影響を受けます。

  • 分子量
  • 共重合成分
  • 可塑剤や添加剤
  • 結晶構造や非晶部の状態
  • 吸湿状態
  • 成形条件
  • アニールなどの熱履歴
  • DSCの昇温速度
  • DMAの測定周波数や測定条件

特に吸湿性を持つ樹脂では、水分量がTgに大きく影響する場合があります。

PA6(ナイロン6)は代表的な例で、吸収した水分が分子鎖の動きやすさに影響するため、吸湿量の増加に伴ってTgが低温側へ移動します。

材料データを比較する際には、樹脂名とTgの数値に加えて、測定方法、試料状態、グレードなどを確認すると比較の精度が高まります。

代表的な樹脂のTg

代表的な樹脂のTgを把握しておくと、材料候補を絞り込む際の参考になります。

樹脂構造Tgの代表的な目安
PMMA(アクリル)非晶性約105~120℃
PC(ポリカーボネート)非晶性約145~150℃
PET部分結晶性約70~80℃
PA6(ナイロン6)部分結晶性乾燥状態でおおむね50~70℃程度
PEEK部分結晶性約150℃(DSC中間点。開始点は約143℃)

※上表は樹脂系の特徴を把握するための代表的な目安です。グレード、添加剤、吸湿状態、熱履歴、測定方法などによって値は変化します。実際の材料選定では、採用するグレードの技術資料をご確認ください。

出典:PEEK:Victrex「VICTREX PEEK 450G データシート」/PET:Materials 2021, 14(6), 1470/PET:Materials 2018, 11(8), 1397

※PMMA、PC、PA6は、一般的な文献値をもとにした目安です。

Tgの一覧は、候補となる樹脂系を絞り込む際に役立ちます。

候補を絞った後は、採用するグレードについてHDT、高温時の弾性率、クリープ、長期熱特性などを確認することで、実際の使用条件との適合性を評価できます。

材料選定におけるTgの活用

Tgは、温度上昇によって樹脂の物性がどのように変化するかを把握し、材料候補を選定する際の指標として活用できます。

最初に確認するのは、部品が実際に到達する温度です。

周囲温度に加えて、以下の要素を整理します。

  • 自己発熱
  • 隣接する熱源からの伝熱
  • 冷却条件
  • 温度サイクル
  • 局所的なホットスポット

次に、その温度域で維持したい性能を確認します。

  • 寸法精度
  • 剛性
  • 嵌合保持力
  • 締結力
  • 摺動特性
  • 電気特性
  • 光学性能

維持したい性能に応じて、Tgとあわせて確認するデータは次のとおりです。

部品の条件Tgとあわせて確認するデータ
寸法精度を重視する熱膨張係数、応力緩和
荷重を受けるHDT、高温時の弾性率、クリープ特性
長期間使用する連続使用温度、RTI、メーカーの熱老化データ

材料選定では、使用温度とTgの関係から候補材料を整理し、必要な機能に応じて高温物性や長期特性へ評価範囲を広げると効率的です。

フッ素樹脂の耐熱性とTgの関係

吉田SKTでは、PTFE、PFA、FEP、ETFEなど、さまざまなフッ素樹脂を用いたコーティングを取り扱っています。

PTFEやPFAなどは結晶部と非晶部を持つ部分結晶性の樹脂です。温度による物性変化には、非晶部のガラス転移に加えて、結晶部の転移や融点、高温時の機械特性も関係します。

PTFEの非晶部では、約−110〜−70℃の低温側と約130℃付近の高温側に転移が報告されており、Tgは一つの値として扱いにくい材料です。また、PTFEは19℃付近と30℃付近で結晶構造が変化し、体積が変わります。これはガラス転移とは異なる結晶部の転移で、PTFE成形品の寸法精度に影響する場合があります。

PTFEの主な転移温度を温度軸上に示した図。非晶部の転移(低温側約−110〜−70℃、高温側約130℃)、19℃・30℃付近の結晶相の転移、最高使用温度の目安260℃、融点327℃
図6 PTFEの主な転移温度と最高使用温度

出典:『プラスチック材料講座(6)ふっ素樹脂』日刊工業新聞社(1969年初版、1978年第3版)pp.21–27、吉田SKT「PTFEとは」

吉田SKTの既存コンテンツでは、代表的なフッ素樹脂について以下の最高使用温度を紹介しています。

フッ素樹脂最高使用温度の目安
PTFE260℃
PFA260℃
FEP200℃
ETFE150℃

※吉田SKT「フッ素樹脂とは」に掲載している代表値です。コーティング仕様によっては、これより低い温度を目安とする場合があります。実際の使用条件は、基材や使用環境などによって異なります。

フッ素樹脂コーティングの選定では、温度条件とともに必要な機能を整理します。

  • 非粘着性
  • 低摩擦性・すべり性
  • 耐薬品性
  • 電気絶縁性
  • 耐熱・耐寒性

コーティングとして使用する場合は、樹脂の種類に加えて、塗膜構成、膜厚、下地処理、基材、形状、使用環境なども性能に関係します。

使用温度と必要な機能を整理することで、用途に適したフッ素樹脂やコーティング仕様を検討しやすくなります。

フッ素樹脂の種類と特徴を詳しく知りたい方へ

PTFE、PFA、FEP、ETFEは、それぞれ温度特性や加工特性に違いがあります。用途に合った材料を検討する際には、各フッ素樹脂の特徴を比較すると選定しやすくなります。

ガラス転移温度(Tg)に関するよくある質問

Tgを超えると樹脂はどのように変化しますか?

Tg付近から非晶部の分子運動が活発になり、一般に弾性率が低下します。

その結果、荷重による変形、クリープ、応力緩和などの挙動にも変化が現れます。

部分結晶性樹脂では結晶部が形状保持に寄与するため、Tgより高い温度域でも一定の剛性を維持する材料があります。

使用条件を検討する際には、高温時の機械物性、HDT、クリープ、融点、長期熱特性なども確認します。

TgとHDTはどのように使い分けますか?

Tgは、非晶部の分子運動が変化する温度域を表します。

HDTは、規定荷重を受けた標準試験片の変形挙動を評価する指標です。

材料内部の熱的な変化を把握する際にはTg、荷重を受けた材料の高温特性を比較する際にはHDTが参考になります。

実際の設計では、使用温度、荷重、形状、使用時間などの条件に合わせて複数のデータを組み合わせます。

カタログによってTgの数値が異なる理由は何ですか?

Tgは測定方法、測定条件、試料状態、グレードなどによって変化します。

DSCでもonsetとmidpointでは異なる温度になります。DMAでは、貯蔵弾性率やtanδなど、評価に用いる特性によってもTgの代表値が変わります。

カタログ値を比較する際には、測定方法、測定条件、Tgの定義を合わせて確認すると材料間の違いを整理しやすくなります。

Tgが高い材料にはどのような特徴がありますか?

一般にTgが高い樹脂は、非晶部の分子運動が活発になる温度も高くなります。

そのため、高温域で寸法安定性や剛性が求められる用途では、材料候補を選ぶ際の重要な指標になります。

実際の高温特性には、結晶性、融点、強化材、高温時の弾性率、クリープ、熱老化なども関係します。用途に応じて必要な物性データを組み合わせて評価します。

まとめ

ガラス転移温度(Tg)は、樹脂の非晶部で分子鎖の運動性が大きく変化する温度域です。

Tg付近では、弾性率、熱膨張、クリープ、応力緩和などの挙動が変化します。そのため、寸法精度や剛性が求められる樹脂部品では、材料選定の重要な判断材料になります。

耐熱性を検討する際には、Tg、融点、HDT、連続使用温度、高温時の機械物性、長期熱特性などを組み合わせることで、実際の使用環境に合わせた評価ができます。

フッ素樹脂についても、PTFE、PFA、FEP、ETFEなど種類によって温度特性や機能が異なります。

吉田SKTでは、使用温度、基材、形状、接触する物質、必要な機能などを確認し、用途に合わせたフッ素樹脂コーティングをご提案しています。

付着物の離型、すべり性の向上、薬品による腐食対策、電気絶縁、高温環境で使用する部品など、表面に関する課題がございましたらご相談ください。

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