フッ素樹脂コーティングの検査
フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)の検査
フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)の最後の工程として塗膜の品質や機能を確かめるため、吉田SKTではさまざまな検査に対応しています。

お客様との取り決めにより実施するものもありますので、お気軽にご相談ください。

外観検査

膜厚測定検査

ピンホール検査

密着検査


外観検査
外観検査は、主に目視でフッ素樹脂コーティング塗膜の外観を確認します。
吉田SKTではご依頼いただいたフッ素樹脂コーティングが完成し、お客様のお手元に届くまでに必ず外観検査を行います。

外観検査の主なチェックポイント

塗膜外観検査では、次の3点についてチェックを行います。
  • コーティングの加工範囲
    加工後の塗膜が、打合せ事項及びご注文通りであるかを図面や個別仕様を参照し、目視で確認します。主にコーティングの施工範囲、マスキングのご指定がある場合は、その指定箇所と範囲を確認します。
  • 指定の塗料が使われているかの確認
    打合せ事項及びご注文書通りの塗料仕様であるかを確認します。主に、塗膜の色調や加工記録などで確認します。
  • コーティング膜表面の出来栄え確認
    主に目視や指触で確認します。異常の大きさに応じて、拡大鏡などを使用します。塗膜の表面全体を確認し、塗膜不良(クラック、異物付着、膨れ、剥れ、損傷など)がないことを確認します。

検査環境

JISに基いた独自の社内規定により検査環境の確認も行っています。検査環境は、拡散昼光もしくは蛍光灯下で500lx以上と規定しています。
膜厚測定検査
打合せなどで膜厚の取り決めをした場合、加工後の塗膜の厚みを測定し、打合せ及び注文書通りの厚みであるかを確認します。単位は「μm(マイクロメートル)」=1000分の1mmを用います。
膜厚は仕様や用途によって異なりますが、フッ素樹脂コーティングの場合は

通常用途:20~50μm程度
耐食用途:300μm以上

とすることが多いです。

膜厚検査の方法

膜厚検査では、主に膜厚計を使用します。この方法は塗膜に傷をつけることのない、非破壊タイプの検査です。

膜厚計では一般的に「プローブ」と呼ばれる探針を、金属基材上に処理された塗膜表面に垂直に押し当てることで、塗膜の厚みを測定します。そのため、プローブを測定面に対して垂直に押し当てることができる平面が必要になります。

下図のような形状や基材には通常の膜厚計が使用できません。
  • プローブを測定面に対して垂直に押し当てることができないような形状物
    (例)針金のような細い形状、プローブが入らないような溝内部など
  • 金属以外の基材
    (例)ガラス、樹脂など

膜厚計が使用できない場合は、測定可能なテストピース(ダミー板)を使用して測定する方法、加工前後の寸法を測定し算出する方法、切断し、断面を拡大して確認する方法などがありますので、ご相談ください。

膜厚計について

吉田SKTで使用している膜厚計には、測定方式によって2つのタイプがあり、基材の材質に応じて使い分けられています。
しかしいずれも金属基材のみに対応しているため、樹脂やガラス基材には別の方法を用いる必要があります。
  • 電磁式膜厚計
    (測定対象:磁性体(鉄、フェライト系ステンレスなど)基材上の非磁性皮膜)
    基材が鉄などの磁性(磁石がくっつく)金属の場合に使用します。
    磁石の入ったプローブの先端に磁性体を近づけると、磁石が磁性体を引き付けることに対する反作用(=電磁誘導)が起き、二者間の距離(=塗膜の厚み)の僅かな変化に対応してコイルを流れる電流量が変化します。プローブ先端の磁石が磁性体を引き付ける力は、基材までの距離(=塗膜の厚み)に比例するため、この性質を利用して塗膜の厚みを測ります。

    当社カタログから一部変更して転載

  • 渦電流式膜厚計
    (測定対象:導電性非磁性金属(アルミ、銅、ステンレスなど)基材上の絶縁性皮膜)
    基材がアルミやステンレスなどの非磁性(磁石がくっつかない)金属の場合に使用します。
    高周波電界によって非磁性金属表面に誘起される渦電流の大きさは、磁界・金属表面の距離(=塗膜厚み)によって変化します。この電気的相関性を利用して塗膜の厚みを測ります。

    当社カタログから一部変更して転載

膜厚計は定期的に校正を行った機器を使用し、測定基準や規格については、JISに準じた独自の社内規定に基づいて行っています。また測定位置や測定数に関しては、基材の形状、大きさ、用途により打合せや協議のうえ決定します。
ピンホール検査
打合せなどで、ピンホールレスの塗膜でと取り決めをした場合、加工後の塗膜に対してピンホール検査を行い、塗膜上にピンホールが存在しないことを確認します。

コーティング仕様や基材に応じて、絶縁抵抗計やピンホールテスター、化学式検出法で検査を行います。これらの方法は塗膜に傷をつけることのない、非破壊タイプの検査です。

耐食フッ素樹脂コーティングのピンホールによるトラブル

通常のフッ素樹脂コーティング(膜厚:20~50μm)では、その塗膜上には目に見えない大きさの、基材まで達する無数の穴(ピンホール)が存在しています。

耐食性が求められる用途の場合、フッ素樹脂コーティングの塗膜にピンホールがあると、薬液がピンホールを通って基材(金属)に達してしまい、基材に腐食が発生したり、やがて塗膜はがれが生じる原因になったりします。

電気抵抗測定法(湿式)

絶縁抵抗計を用いた検査で、社内規定に基づいた絶縁塗膜に適用します。電解液を含ませたスポンジや布をつけた電極を試験機に取り付け、塗膜の上を、試験液を含ませた電極で走査します。塗膜にピンホールが存在すると、ピンホール内部に浸透した試験液を通じて流れる電流を試験機が検出し、「抵抗値0(ゼロ)」を表示します。

放電検出法(乾式)

専用のピンホールテスターを用いた検査で、社内規定に基づいた絶縁塗膜に適用します。検出器を接続し、塗膜の上を、電極の先端で走査します。塗膜にピンホールが存在すると、高い電圧がかかることにより空気の絶縁が破壊され放電が起こり、電流が流れます。ピンホールがない場合、塗膜の破壊電圧は空気の破壊電圧よりも大きいため、放電は起こりません。この電流の変化を検出器(ピンホールテスター)で捕らえることでピンホールの有無を確認します。試験電圧は、お客様と協議のうえ決定した電圧を優先します。

化学式検出法

専用の検出液を用いた検査で、膜厚が300μm以上の導電性塗膜に対して適用します。検出液を含ませたガーゼ等を塗膜上に設置し、ガーゼと基材(金属面)の間で30~40Vの電圧を1~2分間加えます。ピンホールが存在する場合、検出液がピンホール中に染み込み通電することで基材(金属)と反応し、ガーゼ上に赤い斑点として検出されます。この方法で用いる検出液は、鉄と反応するため、基材は鉄もしくはステンレスである必要があります。

ピンホール検査時は、定期的に校正を行った機器を使用し、判定基準や規格については、JISに準じた独自の社内規定に基づいて行っています。また試験電圧に関しては、お客様との打ち合わせや協議のうえ決定した電圧を優先します。
密着検査
フッ素樹脂コーティングを「機能膜」として利用するためには、塗膜と基材が強固に密着している必要があります。密着検査は、この密着の良し悪しを確認する検査です。主な方法として「碁盤目テープ法」「ピール強度試験法」などがあります。

密着検査は塗膜の破壊検査になるため、全ての加工品に対して行うわけではありません。事前にお客様との打ち合わせ、取り決めをした場合に限り、通常は同条件で加工したテストピースを使用した検査となります。

碁盤目テープ法

一般的に薄膜の塗膜に対して適用します。試験片上の塗膜にカッターガイドなどを用いて格子状の切り込みを入れて碁盤目を作り、その上からセロハン粘着テープを貼り、消しゴムでこすって塗膜にテープを密着させ、テープを瞬間的に引き剥がした後の試験片の塗膜面の剥離の状態を観察、評価します。




当社カタログから抜粋

ピール強度試験法

塗膜の厚みが300μm以上で、塗膜・基材間の接着力を測定する場合に適用します。試験片上の塗膜に10mm±0.2幅になるように、カッターナイフなどで刃先が試験片の素地に届くように切り込みを入れます。塗膜の端を剥がし、端面を治具でつかみ、一定の速度で90°剥離による引張試験を行います。

当社カタログから抜粋

資料ダウンロード

フッ素樹脂コーティングの検査について、より詳細な内容は当社カタログにも記載されております。
こちらからダウンロードしてご覧ください。

テフロンコーティングカタログ
株式会社 吉田SKT
〒451-0062 愛知県名古屋市西区花の木一丁目12番20号
TEL:052-524-5211 / FAX:052-524-5287
Copyright © YOSHIDA SKT CO.,LTD. All right reserved.
株式会社 吉田SKT
〒451-0062 愛知県名古屋市西区花の木一丁目12番20号
TEL:052-524-5211 / FAX:052-524-5287
Copyright © YOSHIDA SKT CO.,LTD. All right reserved.

ページトップへ