お客様では、新たに受注したエラストマー製品を押出成形によって生産することになり、試作生産を開始しました。ところが、高温のエラストマーが金型にくっついてしまい、押し出しの際に製品不良となっていました。
エラストマーをスムーズに金型から押出成形するためには、型の製品面に非粘着性を与えるコーティングが必要でした。
当初は非粘着性と耐摩耗性を両立した「バイコート®」をご提案しました。試作品の生産は成功し、いったんは「バイコート®」をご採用いただきました。
しかし、試作が終わり量産化の段階になると、生産中に溶融樹脂のカスである目ヤニが発生。より非粘着性の高いコーティングで不良の発生を防ぎたいとのご要望がありました。
高温で押し出されるエラストマーは、付着性が高く、フッ素樹脂の非粘着性でも付着が防ぎきれないことがわかりました。
べとべとした粘着物への非粘着性に優れる「MRSコーティング」をご提案しました。
試作時のコーティングで製品不良が発生する期間はわかっていましたので、それ以上の期間で使用してもコーティングの効果が続く寿命を目指して、テストを開始しました。
「MRSコーティング」では、目ヤニの発生は定期的にありましたが、非粘着効果が高いため金型に付着することなく製品不良を防ぐことに成功しました。また、効果も半年ほど持続し、試作時のコーティングの約6倍の寿命を実現しました。