樹脂製ホースを成形する工程では、溶融した材料を押出成形した後、さらに成形(溶着)と搬送をおこなうため材料と接触しながら回転する治具があり、その治具には、フッ素樹脂コーティングがされていることが多くあります。フッ素樹脂コーティングの目的は、溶融し柔らかくなった材料がくっつかないようにする「非粘着性」と、治具が円滑に回転するよう支持部との間の「摺動性」を持たせるためです。今回のお客様でも、塩ビ製のホースを製造するラインで、板状に押し出された材料をらせん状に巻き取りながら搬送する治具に、フッ素樹脂コーティングを加工してお使いでした。ところがフッ素樹脂コーティングの傷みが早く、その製品を製造するたびに交換と再コーティングが必要で、生産効率を悪化させていることにお困りでした。
この工程では、溶融して押し出される塩ビの温度はおよそ100℃で、柔らかい状態となっており、治具への付着が起こりやすい状況にありました。
また、治具の再コーティング頻度を減らすことで、生産効率を上げ、コストを抑えることが求められていたため、コーティングの長寿命化が必要でした。
非粘着性の確保と摺動性、耐摩耗性の向上を同時に実現するため、弊社では「バイコート®」と「フッ素樹脂コーティング(R3CR-033)」の2種類をご提案し、両者を比較検討いただきました。
「フッ素樹脂コーティング(R3CR-033)」は「バイコート®」に比べてコストを抑えられ、治具に対する加工性が高いこともわかりました。さらに、現在お使いのフッ素樹脂コーティングと比べ、耐用寿命が約3倍まで延びることが確認され、お客様の課題であった治具の交換頻度やメンテナンスコストの削減に大きく貢献できることがわかりました。結果として生産効率が飛躍的に向上。長期的なランニングコストの低減につながり、課題の解消につながりました。