ピロー包装とは、キャンディーや菓子パンなどの食品を始め、幅広い商品で目にする包装方法です。筒状のフィルムに製品を詰めながら、両端をヒートシーラーで溶着し、溶着部分を刃物でカットしていきます。今回の事例では、切断面をギザギザにするため、刃物にギザ刃が採用されていました。 このカット工程において、ヒートシール後の熱で柔らかくなったフィルムのカスや製品が、ギザ刃に付着して目に詰まることで製品不良が発生していました。そのため、刃に詰まったフィルムカスや製品を毎日清掃し除去する必要があり、しかも使用時の温度が160℃程度でフィルムの焦げ付きなどもあったため、金ブラシで強く擦って清掃しなければなりませんでした。
この日常的なメンテナンス作業の負担を軽減し、製品不良を低減するとともに、刃物の再研磨周期を延ばしてランニングコストを削減することを目指しました。
軟化したフィルムや製品の付着、しかも高温下で焦げ付きも起きるという激しい付着を防ぎ、メンテナンスの頻度や負荷を軽減するため、吉田SKTの非粘着性や耐久性に優れた処理「MRS-014」「MRS-102」「バイコート® NYF-11S」の3種類を選定し、ご提案しました。
各コーティングで試作したところ、薄膜のため刃物の切れ味に影響が少なく、「MRS-102」に比べ高硬度の「MRS-014」で効果が見られたため、採用いただきました。
その結果、製品不良が低減し、清掃方法も金ブラシから樹脂ブラシで軽くこする程度に変更でき、作業時間の大幅な短縮につながりました。さらに、刃物自体の切れ味を保つために必要な再研磨の周期も長くなり、ランニングコストの低減を実現できました。
また、再研磨も同時に請け負うことにより、刃物メンテナンスプロセスの簡素化と納期短縮にもつながり、お客様の業務効率向上に貢献しています。