ソレノイドと呼ばれる、電気エネルギーを信号にして機械的な直線運動に変換する装置では、プランジャ(可動鉄芯)を電気信号で動かし、その動きによって他の回路のスイッチのオン・オフを自動的におこなうリレー(継電器)の役割をします。ソレノイドは家電からFA機器などさまざまなところに使われていますが、車両関係にも使用される部品で、お客様のご使用環境では確実な動作を要求されていました。そのため、プランジャの動きを妨げるトラブルへの対策が必要でした。
通常は、プランジャの摩耗を防ぐためニッケルメッキや硬質クロムメッキといった表面処理が選ばれます。しかし、プランジャにメッキを加工しても摩耗は発生し、摩耗粉がメッキの硬い被膜とシリンダーの隙間に挟まり動作不良を起こしました。
そこで吉田SKTにご相談いただき、プランジャのスムーズな動きを促す摺動性と耐摩耗性に優れ、たとえ摩耗しても動作を邪魔しないコーティングを探りました。まずは摺動性や潤滑性に優れ、摩耗紛の発生によりプランジャの動きが妨げられない案としてフッ素樹脂コーティングを検討。例えばフッ素樹脂(PTFE)は固体潤滑材としても使用されるように大変滑りのよい材料ですが、メッキ材などと比べると柔らかい性質のため、耐摩耗性に懸念がありました。
さまざまな条件を考慮して、吉田SKTは”耐摩耗性に優れた樹脂”と“フッ素樹脂”による変性タイプのフッ素樹脂コーティングをご提案。お客様にてテストをしていただいたところ、摺動性と耐摩耗性を両立することがわかりました。摩耗紛は発生するものの、潤滑性に優れるフッ素樹脂の摩耗紛は、金属の摩耗紛とは異なり、プランジャの動きを妨げることがありません。
確実な動作を求める装置のソレノイドにご採用いただくことができました。
摺動性向上やフッ素樹脂コーティング
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