ある自動車部品メーカー様は、自動車用モーター部品を射出成形により製造する工程で課題を抱えていました。このモーター部品の原材料であるエポキシ樹脂は、溶融して金型に流し込まれます。しかし、金型には樹脂の付着を防止するための表面処理をしていたにもかかわらず、2,000ショットくらいから付着が始まり、頻繁な金型交換が必要だったのです。 メーカー様は生産性を改善しコストを低減したいと考え、ウェブで当社の情報をご覧になり、ご相談をいただきました。
この金型では、150℃という高温のなかで高圧力をかけ、溶融樹脂が流し込まれていました。この大きな負荷のかかる条件で、溶融したエポキシ樹脂と触れることによる摩耗もあり、表面処理の耐久性が落ちていました。 表面処理の持ちを良くするため、耐摩耗性に着目し、高い硬度を備えた被膜をつくる「バイコートⓇ NYK-01」を検討することとなりました。
最適な表面処理を見つけるため、いくつかの仕様でテストサンプルを用意し、それぞれの使用可能なショット数を確認しました。まず、当社へご相談いただく前に採用していた表面処理に相当する「バイコートⓇ NYK-11-S」では従来の表面処理と同程度の耐久性が確認されました。次に試した「バイコートⓇ TYS-03K」では数百ショットと短命でした。
最終的に、「バイコートⓇ NYK-01」が以前の表面処理と比べ約2倍の寿命を達成し、交換頻度を大幅に減らすことができました。
この成果が評価され、新規の金型にも採用されただけでなく、定期的なご依頼にもつながっています。表面処理の長寿命化により、生産性の向上とランニングコストの低減に貢献することができました。
樹脂の溶融樹脂のくっつき防止や耐摩耗コーティング
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