処方箋で調剤される点眼薬のボトルを整列搬送する設備のトラブルでした。
シュートの上を点眼ボトルが次々と押し出されるかたちで搬送していましたが、シュートの平らな金属面ではボトルが密着してすべりにくく、搬送中に詰まったり、倒れたりして動かなくなることがありました。
無菌室のため人の出入りは極力少なくする必要があり、最低でも半年間ノーメンテナンスで使用できる、すべりを良くする表面処理を要望されていました。
すべり性に優れるフッ素樹脂コーティングでは、最初は良好でもボトルと擦れることで表面が研磨され、平らでつるつるの状態に摩耗すると、すべりにくくなり、トラブルが発生していました。
また、基材を下地処理して凹凸面を形成した上にコーティングをすることで接触面積を低減させる方法も検討しましたが、シュート基材にアルミ材やSUS材など異なる金属を使用していたため、基材の硬さの違いで表面粗度が大きく変化したり、材質によって加工が困難などの課題がありました。
「TPコーティング」の表面はすべてフッ素樹脂で構成されるため、多少摩耗してもフッ素樹脂の凸面が維持され機能が保たれます。
また基材材質の違いによる面粗度の差が出ることはありません。
結果、通常のPTFEコーティング(フッ素樹脂コーティング)に比べ10倍以上の寿命を達成。1年近くメンテナンスすることなくトラブルを防ぎ、無菌室の無人化に成功しました。
搬送設備のトラブル改善やTPコーティング
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